【スマートホーム/ホームオートメーション特集】スマートホーム攻略FAQ|Home OS・統合プラットフォーム・プロトコルまで一問一答で理解する「建築統合型スマートホーム」全20問
取材/LWL online編集部
本記事では、LWL onlineが提唱する「建築統合型スマートホーム/ホームオートメーション」の要諦を、ガジェット型スマートホームとの違いから住宅OS(Home OS)、統合プラットフォーム(Crestron/Control4)、プロトコル(KNX/BACnet/DALI他)、配線計画、UIデザイン、セキュリティ、赤外線がNGな理由まで、一問一答形式で徹底解説。 建築家、デザイナー、インテリアコーディネーター、プランナー、デベロッパーなど、建築のプロユーザーが“実務で使える知識”として、今日からそのまま活用できるスマートホーム基礎編の決定版としている。
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■住まい全体の概念理解(OS/概念系)
Q1. ガジェット型スマートホームと、建築統合型ホームオートメーションは何が違うのか?
A.
ガジェット型スマートホームは「個別の家電をアプリで操作する」ことにフォーカスした仕組みです。
一方、建築統合型ホームオートメーションは、照明・空調・シェード・電気錠・セキュリティ・シャッター・プール管理・サウナ管理・マルチルームオーディオなどを統合プラットフォーム=住宅OS(Home OS)で一元制御します。
強電/弱電、配線計画、プロトコル選定、各機器の連動など、建築段階から統合するため、本質的に全く異なり、操作性・信頼性・拡張性のすべてが桁違いとなります。
全くの別物として捉えておくとよいでしょう。
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Q2. 「住宅OS(Home OS)」とはどのような概念で、なぜ必要なのか?
A.
住宅OS(Home OS)とは、住まいの各設備(照明・空調・遮光・防犯・AV・エネルギー管理等)を統合制御する住まいの頭脳レイヤー(最上位階層)です。
設備が増えるほど個別操作では限界が生じます。
たとえば400㎡規模の邸宅では、空調だけでも十数〜数十台になることが一般的で、個別操作は非現実的です。
住宅OSは
- センサー(温湿度・照度・在室・空気質)
- 自動制御ロジック
- UI(タッチパネル等)によるグルーピング
- 住宅設備・家電
などを統合し、「住まいが自律的に整う」状態を実現します。

Q3. ラグジュアリー邸宅で“自律的に動作する住まい”を実現するために必要な要素は?
A.
操作不要の住環境には次の6要素が欠かせません。
- 統合プラットフォーム(住宅OS)
- プロトコル設計
- センサー類(照度・温湿度・在室・空気質)
- シーン制御プログラム
- 高信頼ネットワーク
- 自動制御ロジック
これらを建築段階から統合することで初めて「知性を宿した住まい」が成立します。
Q4. Crestron/Control4などの統合プラットフォームとは何か?
A.
異なるメーカーの住宅設備や家電を横断し、住まい全体を単一のUIとロジックで制御する「住宅OS(Home OS)」です。
照明・空調・AV・遮光・セキュリティなどを統合し、ラグジュアリー邸宅に不可欠な「建築レベルの一元制御」を実現します。
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Q5. 建築設計段階でスマートホーム/ホームオートメーションを計画するメリットは?
A.
配線・電源・天井高・設置位置・機器スペースなどを最適化できるため、美観・性能・操作性が最大化されます。
後付けでは絶対に到達できないレベルの統合が可能になります。
Q6. 「プロトコル設計」とは?誰が担うべきか?
A.
照明・空調・遮光・防犯などの通信方式・制御方式・統合方法を設計する行為です。
建築家やデザイナーだけで対応するのは困難で、設備設計者とスマートホームインテグレーターが主導する必要があります。
日本では質の高いインテグレーターが極めて少ないため、迷われた際は info@lwl-style.com までご相談ください。確かな技術を持つ専門家をご紹介します。

Q7. ガジェット系スマートホームでは赤外線で家電を操作しますが、Home OSでは赤外線が「絶対にNG」と言われるのはなぜ?
A.
赤外線(IR)は建築統合型に求められる
- 信頼性
- 双方向性
- 状態把握
の3要件を満たせないためです。
要点は以下の通りです。
① 状態が取得できない(致命的)=建築には絶対に不適合
赤外線は一方向通信のため、
「今エアコンがONなのか? 冷房なのか? 設定温度は何℃なのか?」
という“現在の状態”を取得できません。
そのため、
- OFFのつもりが実はON
- 冷房のつもりが暖房のまま
- 設定温度がズレる
といった「状態ズレ」が必ず生じます。
建築レベルのUXにおいて致命的であり、使いものにはなりません。
「Home OSは空間の状態を管理する」というLWL onlineのスマートホーム/ホームオートメーションの思想と真っ向から矛盾します。
② 動作保証ができない=「動作保証ができない」ため、ラグジュアリー邸宅の品質基準を満たさない
赤外線は人間が機械にリモコンを向けて使う前提の技術であり、
- 反射角度
- 距離
- 配置
- 遮蔽物
- 受光部の個体差
など、多数の環境要因で動作可否が変わります。
統合型プラットフォームが要求する6文字「常時安定動作」を担保することは不可能です。

③ シーン制御との相性が最悪
複数の機器を一斉に動かすシーン制御では、赤外線は「連続発射のタイミング」がズレやすく、
- 照明は消えたのに空調が反応しない
- ブラインドは動いたのにAV機器は無反応
など、シーンの破綻が頻発します。
これは制御では使いものにはなりません。建築空間の操作体系としては失格です。
④ 「点ではなく線で制御する」建築OSと思想が合わない
Home OSの本質は、空間全体の状態を統合して管理する“線”の制御です。
一方、赤外線は個別機器だけを一方向で操作する“点”の制御という思想です。
この構造的な非対称性により、赤外線はHome OSの思想と根本的に相容れません。
⑤ 代替手段がすべて上位互換=代替手段(Echonet Lite、BACnet、Modbus、JEM-Aなど有線接点)が確実・正確・双方向
統合型プラットフォームでは、
- Echonet Lite(日本の住宅設備のプロトコル)
- Modbus(業務用/空調)
- BACnet(業務用/空調)
- JEM-Aなど有線接点(信頼性要求エリア)
- RS485/Ethernet(高信頼制御)
などの双方向・状態把握可能なプロトコルを用います。
つまり、「赤外線を使う必要がないし、使った瞬間に品質が落ちる」ので、わざわざ赤外線信号をスマートホームで使うのは意味がありません。ここは譲れない基本線です。
なぜ赤外線がNGなのか? 最重要ポイントを繰り返します。
- 状態取得ができない(最大の欠点)
- 一方向通信で信頼性が低い
- 家電ごとに仕様がまちまち
- シーン制御で破綻が起こりやすい
- 建築の品質基準(99%安定動作)を満たせない
- 代替手段がすべて上位互換
LWL onlineの連載でも示しているとおり、「赤外線(IR)制御はガジェット型の手法。建築統合型に持ち込んではいけない」というのが結論です。
【短期集中連載スマートホーム/ホームオートメーション~The Luxury Intelligent Residence】第一回:住まいに知性が宿るとき
■ プロトコル(KNX / BACnet / DALI ほか)
Q8. 主要プロトコルにはどのようなものがあるのか?
A.
非常に多くのプロトコルがありますが、主要なものとしては以下になります。
- KNX:欧州標準。照明・空調・遮光など広範囲をカバー。
- BACnet:空調・ビル管理向け。大型物件で強い。
- DALI:照明制御専用。1灯単位で明るさ・色温度を管理。
- Echonet Lite:日本の住宅設備や家電のプロトコル。
- Modbus:高信頼の産業用プロトコル。
用途に応じて最適解が異なります。

Q9. Thread/Matterは建築統合型とどう関係する?
A.
Thread/Matterは主に後付けIoTガジェット用のプロトコルで、LWL onlineが定義する建築統合型とは別領域です。
互換ハブを介すことで統合プラットフォーム=Home OSに取り込むことは可能です。
ただし、わざわざIoTガジェットを建築統合型プラットフォーム=Home OSに取り込むメリットは現状ではありません。
Q10. Echonet Liteはどのような役割を担う?
A.
日本の空調・給湯・床暖房など住宅設備に広く採用されているプロトコルです。
APIが公開されているため、Crestron/Control4などのHome OSによる統合制御が可能です。
Q11. 異なるプロトコル同士を一元管理するには?
A.
Crestron/Control4を中核に据え、コントローラー(例:Crestron CP4)で各種モジュールを介してKNX・BACnet・DALI・Modbusなどを束ねる構成が一般的です。

Q12. 空調(エアコン)連携が“最難関”といわれる理由は?
A.
メーカーごとに仕様が統一されておらず、
- BACnet
- Modbus
- Echonet Lite
など複数方式が混在するためです。
ただしCoolAutomationの日本上陸により、ほぼすべての空調を有線・双方向で統合できる環境が整いつつあります。

Q13. センサーのデータはどのように活用される?
A.
在室・動線・空気質・温湿度などをHome OSが解析し、照明・空調・遮光・セキュリティモードなどの自動制御に直結します。
センサーは住まいの“知性の源泉”です。
■ UI/UX/インターフェイス
Q14. タッチパネル・スマートスイッチ・アプリはどのように役割分担される?
A.
- タッチパネル:家全体を俯瞰する“司令塔UI”
- スマートスイッチ:生活動線にある“最速アクセスUI”
- アプリ:外出先からの操作、細かい設定
この三位一体でUXが飛躍的に向上します。

Q15. 住まいにおけるUIデザインは何に注意すべき?
A.
情報量・階層構造・シーン構成・動線最適化が重要です。
UIは“壁面のデザインの一部”として捉えることが必要です。
【短期集中連載スマートホーム/ホームオートメーション~The Luxury Intelligent Residence】第3回 ラグジュアリー邸宅の核となるのはインターフェイス
Q16. 顔認証・生体認証・在室検知などのセンサーはどこまで使える?
A.
在室判定、個人識別、動線予測、照度変化検知などに活用できます。
現状は照明・空調・セキュリティとの連動が最も実用的です。

■ 導入・施工・コスト・維持管理
Q17. スマートホーム導入費用はどのように構成される?
A.
- 機材費
- 配線/電源工事
- 施工/プログラミング
- ネットワーク構築
- 調整/保守
で構成され、住宅規模に比例して増加します。
Q18. スマートホームインテグレーターを選ぶ際の判断基準は?
A.
実績、プロトコル対応能力、建築との協働経験、プログラミング品質、アフター対応の5点が必須です。
LWL onlineでは第三者として適切なインテグレーターをご紹介できます。
問い合わせ先:LWL online編集部
info@lwl-style.com

Q19. 将来拡張性を確保するための配線計画とは?
A.
空配管、予備LAN、天井点検口、機器スペース、バックボーン容量の確保が重要です。
熟練インテグレーターであれば、これらを図面に確実に落とし込みます。
Q20. 停電やネット障害時にスマートホームはどう動作する?
A.
建築統合型はローカル制御が主軸のため、ネット障害時でも家の中は通常通り動作します。
停電対策としてはUPSで中枢機器を保護します。
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取材
LWL online 編集部