【スマートホーム/ホームオートメーション特集】なぜ「IoTガジェット型スマートホーム」は、住宅インフラになりえないのか?

 取材/LWL online編集部

クラウド依存型IoTガジェットタイプのスマートホームを住宅インフラとして採用することの限界とリスクが近年は明確になりつつある。本稿では、スマートホームの象徴的存在とも言える「スマートロック」を例にとって、「なぜIoTガジェットは住宅インフラになり得ないのか」を検証し、建築統合前提で設計されたAkuvoxと電気錠によるローカル完結型スマートホームの可能性を考察する。

「サービス終了」で、玄関が開かなくなった日

海外のスマートホームコミュニティで、ある出来事が静かな衝撃をもって語られた。
クラウド依存型スマートホーム/スマートロックのサービス終了により、アプリ経由で操作していた住宅設備が一斉に沈黙したのだ。

ハードウェアは壊れていない。
だが、クラウドサービスが終了した瞬間、スマートホームは成立しなくなった。

スマートロックは物理的な鍵で回避できたが、このサービス終了によって、便利だったはずの先進設備が生活リスクに変わるという現実を突きつけられた。

この出来事は、ひとつの根源的な問いを浮かび上がらせる。
住宅という長期にわたって使用される生活インフラを、 クラウドサービスにどこまでゆだねてよいのか、という問いである。

クラウド依存型スマートホームには「サービス終了」というリスクがある

スマートロックが象徴する、IoTガジェットと住宅インフラの齟齬

スマートロックは、スマートホームという言葉を一般に浸透させた象徴的存在だ。
スマートフォンで解錠でき、暗証番号や生体認証にも対応する。
後付けでき、導入も容易。利便性は疑いようがない。

しかし、ラグジュアリー邸宅や建築の文脈で語ろうとすると、スマートロックはどこか居心地が悪い。

スマートロックが「サービス型デバイス」であるという事実

なぜなら、多くのスマートロックが、クラウド前提・アプリ前提の サービス型デバイスとして設計されているからだ。
前提となる要件を整理すると、以下になる。

  • サービス継続が前提
  • ネットワーク常時接続が前提
  • ベンダーの事業判断が住宅機能に直結する構造

住宅インフラとクラウドサービスの時間軸の不一致

また、数十年使われる住宅のインフラとは、決定的に時間軸が合わない。あくまでもガジェットである。
こうした事実が、建築家やデベロッパーなど、 建築関係者を「スマートホーム」から遠ざける要因のひとつになっている。

玄関は単なる出入り口ではない。「住まいのインターフェース」である

玄関が担う4つの役割(動線/認証/状態遷移/セキュリティ)

そもそも玄関とは何だろうか?

玄関とは単なる出入口ではない。
外部と内部を切り替え、人の帰宅や外出を検知し、 照明・空調・セキュリティの状態を切り替える起点であり、 住人とゲストを識別する認証ポイントでもある。

玄関とは、住まいの状態が遷移する最初のインターフェースなのだ。

この役割を担う装置に求められるのは、 新しさよりも、確実性と持続性、そして建築との整合性である。

建築統合前提という思想――Akuvoxという選択

この文脈で注目したいのが、顔認証ドアホンをラインアップするAkuvoxだ。
以前、LWL onlineでも紹介したことがある。

Akuvoxが切り拓く次世代スマートインターフォン

「スマートロック」と「IPドアステーション」の決定的な違い

Akuvoxは一般的には「スマートロック」あるいは 「スマートインターフォン」に分類されがちだが、その出発点は大きく異なる。

鍵のデジタル化を目的としたIoTガジェットではなく、建築に組み込まれることを前提とした「IPドアステーション」として設計されている点が最大の違いだ。

クラウド「も」使えるが、クラウド「に依存しない」設計

映像・音声・認証・解錠を一体で扱い、制御はローカルネットワークを基本とする。
もちろん、クラウドを使用することも可能だが、ベースはあくまでローカルネットワークであり、クラウドを必須としない。

Home OSと論理的に接続できる点に、 建築統合前提という思想が表れている。

状態制御ノードとしての玄関と、HA対応電気錠の役割

3系統リレー出力がもたらすセキュリティ設計の自由度

Akuvox製品の特徴のひとつが、複数系統のリレー出力を備えている点である。
これは単なる多機能化ではない。
3系統のリレー出力により、認証結果に応じて、「主動線の電気錠」「サブエントランスやゲート」「セキュリティ解除や別ゾーン」といった 異なる状態遷移を発生させることができる。

電気錠が担う「物理的に確実な制御」

ここで実際の施解錠を担うのは、クラウドに依存しないHA対応の電気錠だ。
通電・無通電という物理的に確実な制御を行い、停電時や障害時の挙動も建築側で設計できる。

HA対応の電気錠であれば、状態のフィードバックも取得可能である。
この構成において「スマートロック」は、ようやく生活インフラとして成立する。

実例で見る、ラグジュアリー別荘における建築統合型セキュリティ

以前見た例を示そう。

ガレージ脇に1台、玄関前に1台、シェルター入口に1台。
計3台の顔認証タイプのAkuvoxが設置された、海辺のラグジュアリーな別荘での事例だ。

電気錠が設けられたドアは、ガレージ、庭園、玄関、別棟、シェルター入口など、10扉以上に及んでいた。

顔認証で入ることができるのは家族のみ。顔認証ではすべての電気錠を解錠できる。
別荘の管理会社はカードによって電気錠を解錠できるのだが、一部の部屋を解錠することはできない。
例えば、カードではシェルターやワイン室(ワインセラー)、最上階のラグジュアリーベッドルームの電気錠は解錠できない。
また、定期的に入る庭師や工事業者にはその都度QRコードが発行され、庭園と電源や制御盤など機械室も兼ねた広大なガレージまでは入ることができるようにセットアップされていた。

庭師は庭園までしか入れないような設定も可能だ

QRコードが発行できることから理解できるように、Akuvoxはクラウドも使用しているのだが、クラウド依存ではなく、ローカルネットワーク上で完結する。
そのため、建築との相性は良い。

結論~IoTガジェットは、ラグジュアリー邸宅のインフラにならない

スマートロックは、スマートホームの入口として重要な役割を果たした。
だが同時に、住宅インフラにIoTガジェットを持ち込むことの 限界と危うさも明確にした。

ラグジュアリー邸宅に求められる条件は、「クラウドに依存しないこと」「ローカルで完結できること」「建築と同じ時間軸で語れること」、この3つだ。

Akuvoxのような建築統合前提の「スマートロック」「スマートインターフォン」と、電気錠を核としたローカル制御はその現実的な解のひとつである。

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