【スマートホーム/ホームオートメーション特集】スマートホームは「システムインテグレーター(SI)選び」で9割決まる── こんなSIを選べば必ず成功する、8つの判断ポイント
取材/LWL online編集部
建築統合型スマートホーム/ホームオートメーションの成否は、どの機器を選ぶかでも、どのUIを採用するかでもない。誰に設計と実装を任せるか──SI(システムインテグレーター)選びで9割が決まる。本記事では、先に紹介した「やってはいけない設計」の逆サイドとして、このSIを選べば必ず成功すると言い切れる判断軸を8つに整理。
ネットワーク、建築理解、人員体制、サポートまで含め、スマートホームを「住宅インフラ」として成立させるためのSI選びを解説する。
ポイント1 スマートホームを「便利なアイテム」ではなく「住宅インフラ」として語れるか
最初に確認すべきは、そのSIがスマートホームをどう定義しているかである。
これは具体的な技術の話ではなく、より根幹にある思想の問題だ。
スマートホームを「便利なアイテムの集合」として説明するSIは選ぶべきではない。
照明、空調、遮光、セキュリティ、AVを、住宅インフラとして語れるかどうかが重要な見極めポイントとなる。
- 建築と切り離して説明していないか
- 「後付けでもできます」と安易な話をしていないか
例えば操作端末の話。
スマートホームを住宅インフラとして捉えているSIであれば、
スマートフォンのUIの話に終始するのではなく、
壁に設置するスイッチや操作子の話も必ず出てくるはずだ。
建築統合型スマートホームは「便利さの追求」ではない。
住宅の振る舞いそのものを決めるインフラである。
具体的な技術論以前に、ベースとなる思想の確認が不可欠だ。

ポイント2 建築とIT、両方の言語を理解し翻訳できるか
スマートホームは、建築とITが真正面から交差する稀有な領域である。
そのため、建築とITの双方を理解しているかどうかは、極めて重要な見極めポイントとなる。
最低限、以下の3点は確認したい。
- 建築図面を読み、施工工程を理解しているか
- 配管・配線の種類や納まりについて話ができるか
- ネットワークや制御の話を、建築関係者にもわかる言葉で説明できるか
優れたSIは、建築家と話すときは「建築の言葉」で、エンジニアと話すときは「ITの言葉」で会話ができる。
この翻訳能力こそが、スマートホームの品質を決定づける。
一人で両方を解するSIがいれば理想だが、そうでない場合でも、建築に明るいスタッフとITに精通したスタッフがチームとして機能している企業に依頼すべきだ。

ポイント3 ネットワークを「家庭用の延長」で考えていないか
以前、スマートホームのネットワークについて詳しく解説した記事を掲載した。
ネットワーク設計はSIの思想が最も露骨に表れるポイントである。
ネットワークを単なる「インターネットにつなぐ手段」と捉えているSIは、建築統合型スマートホームには向かない。
見極めのポイントは以下だ。
- 業務用ルーター・マネージドスイッチを前提としているか
- VLANによるネットワーク分離を当然の前提としているか
- PoE/PoE++を含めた電源計画まで視野に入れているか
「家庭用ルーターでも十分ですよ」という説明が出た時点で、そのSIは候補から外すべきである。
業務用ネットワーク機器は家庭用に比べて高額だが、なぜ高額になるのかを説明できないSIは、そもそも論外だ。
スマートホームにおけるネットワークは、生活を制御する基盤インフラである。
ポイント4 図面をもとに会話ができるか
建築統合型スマートホームは、その名の通り「建築」と一体である。
図面に落ちないものは現場で必ず破綻する。
最低限、以下の図面・資料を扱えるかを確認したい。
- 配線図
- 機器配置図
- ラック構成図
- ネットワーク構成図
- システム系統図
CADを使って自ら描ける、あるいは設計者と図面ベースで議論できるかどうかは、極めて重要な境界線だ。
「現場で調整します」「臨機応変に対応します」という言葉は通用しない。
臨機応変は当然として、基盤となる設計図面があって初めて成立する。
スマートホームは職人芸ではない。設計技術によって成立する分野である。

ポイント5 社内に専任エンジニアが存在するか
営業や調整役だけで構成されたSIは長期的なパートナーにはなり得ない。
以下の点を必ず確認したい。
- 実際に設定・実装を行うエンジニアが社内にいるか
- ネットワークや制御を理解した技術者が常駐しているか
- 問題発生時、誰が実際に手を動かすのかが明確か
技術を外注せず、自ら責任を持つ体制を構築しているかどうかが重要だ。

ポイント6 取り扱い領域が「点」ではなく「面」になっているか
建築統合型スマートホームは部分最適では成立しない。
「照明制御だけ」「AV/ホームシアターだけ」「セキュリティだけ」「ネットワークだけ」。
こうした「点」のSIは建築統合型スマートホームには向かない。
照明、空調、窓まわり、セキュリティを横断的に調整する視点を持つSIに任せるべきである。
一部領域を協力業者に依頼すること自体は問題ない。
例えば「AV/ホームシアター」を協力業者に依頼するケースはありうる。
ただし、その場合でも、スマートホーム全体を俯瞰し、管理・監督できる立場でなければならない。
「それは別業者です」が多いほど、スマートホームは確実に破綻へ向かう。

ポイント7 複数のスタッフがいて、企業として成立しているか
対象はIoTガジェット型ではなく、建築統合型スマートホームだ。
住宅インフラの領域であり、ライフサイクルは10年、20年と長い。
継続的なサポートが前提となる以上、たとえばひとり親方のように、属人化してしまうのでは常に不安がつきまとう。
かつて、クラウド依存型スマートホームが危険であることを指摘したが、同様に「人」に依存しすぎる体制もリスクが高い。
複数のスタッフがいて、各邸宅のシステム構成やプログラム内容を企業として管理できている必要がある。
属人化は避けて、チームで動ける体制を構築している企業に依頼すべきである。
建築統合型スマートホームでは、組織として継続できる体制かどうかを必ず見極めたい。

ポイント8 導入後のサポートを具体的に説明できるか
スマートホームは、導入して終わりではない。
契約前に、以下を具体的に説明できるかを確認すべきだ。
- トラブル時の連絡経路
- リモート対応の可否
- 定期点検・保守の有無
これらが契約書に明記されているかどうかも重要なチェックポイントとなる。
メンテナンス契約がある場合は、内容と責任範囲、費用体系まで説明が必要だ。
「何かあったら呼んでください」はありえない。
誰が、どこまで、いくらで、どう対応するのかを明示できるSIを選びたい。
結論 SI選びとは「成功する構造」を選ぶ行為である
スマートホームにおけるSI選びは、単なる業者選定ではない。
「設計思想」「技術力」「人員体制」「サポート責任」「時間軸」、これらを総合して、成功する構造そのものを選ぶ行為である。
この8つのポイントを満たすSIに出会えたなら、スマートホームは高い確率で成功する。
前回の「やってはいけない設計」を回避し、今回の8つの条件を満たすSIを選ぶこと。
それが、本当に価値あるスマートホームを実現する最短ルートだ。
なお、お薦めのSI企業を以下に挙げておく。
建築統合型スマートホームを検討するのであれば、まずは下記のSIに相談すべきだろう。
なお、下記記事もあわせてお読みいただきたい。
-
-
取材
LWL online 編集部