【スマートホーム/ホームオートメーション特集】特集記事目次+超入門者向けQ&A10問

 取材/LWL online編集部

スマートホーム/ホームオートメーションをめぐるLWL onlineの記事は、気づけば相当な本数になりました。 IoTガジェットの違和感、サービス終了のリスク、建築に組み込まれるHome OSという思想、オープンプロトコルの重要性、そしてラグジュアリー住宅と資産価値の関係——。 それらはすべて、「住まいに知性をどう宿すべきか」という一つの問いに収束しています。

本特集では、これまでLWL onlineが発信してきたスマートホーム/ホームオートメーション関連の記事と、初めての方にも理解できる超入門Q&Aを整理し、Home OS時代の全体像を俯瞰できる目次としてまとめました。

断片的な情報ではなく、「思想としてのスマートホーム」を読み解くためのガイドとして、ぜひ活用してください。

【特集目次】

≪世界観≫
ガイド~「特集プレリュード」住まいに知性が宿る、住宅OS時代の到来
世界観~マニフェスト:スマートホームの答えは「住宅OS(Home OS)」
スマート・ウェルネス・ホームとは何か?── Home OS時代に進化するラグジュアリー邸宅の新基準【2026】

≪基礎知識≫
基礎知識~スマートホーム/ホームオートメーション全20FAQ
基礎知識~スマートホームの核心「プロトコル設計」とは何か?
基礎知識~システムインテグレーター(SI)とは何者か?
スマートホームは2つの系譜に分かれる── Fieldbus・ローカル制御が導く「Your home is yours.」という思想
富裕層住宅がクラウド依存型スマートホームを避ける理由
そもそもプロトコルとは?

≪歴史≫
Home OSの源流を辿る──原点は実は「ホームシアター体験の質向上」
スマートホームの先駆者・レジェンド花村勇氏インタビュー

≪クローズ・アップ~システム/システムインテグレーター(SI)≫
HomeWorks 徹底解剖:ルートロンが切り開く「光 × 空気 × 建築」を統合するHome OS
CoolAutomation。どんなエアコンも一括制御!──スマートホームに必須の空調の司令塔
テクノロジーが“住まい”を再定義する~HOMMAが描く、ラグジュアリー・スマートホームの未来
Home Automation Lab「COMFORCE」が示すホームオートメーションの最前線

≪ノウハウ≫
スマートホームで「やってはいけない設計」7選
2025年、ラグジュアリー住宅におけるスマートホームの到達点【前編】―― LWL onlineが選ぶスマートホームシステム(Home OS)3選

2025年、ラグジュアリー住宅におけるスマートホームの到達点【後編】―― スマートホームシステムインテグレーター3選
スマートホームの成否はネットワークで決まる

≪アラート≫
スマートホームをめぐる問題── 赤外線、トグル、そして状態不可視
スマートロックをめぐる問題。なぜ「IoTガジェット型スマートホーム」は、住宅インフラになりえないのか?
クラウド依存型スマートホームはリスクだらけ。建築統合型Home OSという最適解

≪プロトコル研究≫
KNXとは何か──分散制御がラグジュアリー邸宅で選ばれ続ける理由
BACnetとは何か──ビルディングオートメーションがラグジュアリー邸宅へ降りてきた理由
プロトコル「DALI」とは何か?── 照明を「演出」から「建築要素」へ引き戻した制御思想
Modbusとは何か?── スマートホームを支えるプロトコル思想の総まとめ
日本のスマートホーム規格「ECHONET Lite」── ローカルスタンダードプロトコルが抱える宿命
Matterとは何か?スマートホームの誤解を解く

≪イベントレポート≫
KNXフォーラム東京2025開催レポート――オープンプロトコルが切り拓く・スマートホームの未来
JAPAN BUILD TOKYOの講演に見る、オープンプロトコルの重要性

【スマートホーム/ホームオートメーション連載~The Luxury Intelligent Residence 目次】

第1回住まいに知性が宿るとき
第2回米国邸宅文化に学ぶ「住まいの頭脳」
第3回ラグジュアリー邸宅の核となるのはインターフェイス
第4回  建築の質を決める「インテリジェンス」としてのライティング

スマートホーム超入門Q&A10

Q1.
建築統合型スマートホーム(ホームオートメーション)とは何ですか?

A
建築統合型スマートホームとは、照明・窓廻り・空調・換気・セキュリティシステム・顔認証ドアホン・エレベーター・シャッター・オーディオ・プールのろ過・ワインセラー・サウナ・チラー・各種アラートなど住宅設備を統合制御し、住まい全体を一つのシステムとして機能させる概念です。
LWL onlineでは、後付けのIoTガジェットを使いDIYでつくるスマートホーム(=IoTガジェット型スマートホーム)ではなく、ラグジュアリー邸宅に建築統合型プラットフォーム(CrestronやLUTRONのHomeWorksなど、クラウドに依存しないオートメーションシステム)が予め組み込まれた「知性を宿した住まい」建築統合型スマートホーム(ホームオートメーション)として捉えています。
その最大の特徴は、建築に統合される形でローカルネットワーク上のプラットフォームとなり、あたかも知性が宿ったかのように、住宅設備を自律的に動作させる点になります。

「建築統合型スマートホーム」全20 FAQ

Q2
IoTガジェット型スマートホームと、建築統合型スマートホーム(ホームオートメーション)の違いは何ですか?

A
両者とも「スマートホーム」という言葉を使っていますが、全く別のものと考えてください。
細かい違いまで挙げていくとキリがありませんが、IoTガジェット型スマートホームと建築統合型スマートホーム(ホームオートメーション)の最大の違いは、「住宅に対する捉え方」の差となります。
前者は、スマートスピーカーやスマートロック、センサー付き家電など、個別の「便利な機器」を後付けで住宅に追加していく発想がもとになっています。
操作性や即効性には優れる一方、多くがクラウド依存で、サービス終了や仕様変更によって機能が使えなくなるリスクを常に内包しています。
また、基本的には「ガジェット」ですので、住宅という長期使用を前提としたインフラに対して、耐久性や継続性の面では脆弱だと言わざるを得ません。
一方、建築統合型スマートホームは、照明・空調・遮光・セキュリティなどを建築段階から一体的に設計し、住まい全体を一つのシステムとして機能させます。
Home OSと呼ばれる統合型プラットフォームのもと、KNXやBACnetなどのオープンプロトコルを基盤として、メーカーや機器の更新を前提とした柔軟性と長寿命性を備え、操作する住まいではなく、住む人に寄り添い自律的に振る舞う住まいを実現します。

IoTガジェット型スマートホームはスマート家電とスマートロックを中心に「操作の便利さの追求」が起点にありますが、建築統合型スマートホームは「体験価値の向上」と「資産価値の向上」が重視されます。

Home OSの源流を辿る──「ホームシアター体験の質向上」から始まり、CEDIAが育んだ

Q3
住宅側から見て、IoTガジェット型スマートホームの問題点は何ですか?

A
IoTガジェット型スマートホームを住宅という人間のインフラという観点から検証すると、問題点は数え切れないほどあります。
そもそもIoTガジェット型スマートホームは、DIYで家電をまとめて動かすことが目的であり、スマート「ホーム」というよりスマート「家電」ですので、わざわざ無理に「住宅」という人間のインフラに関連付ける必要はありません。
特に注意を促したい問題点はIoTガジェット型スマートホームがクラウド依存のシステムであることです。クラウド依存型のシステムはサービス終了や仕様変更によりもともとのスマート機能が使えなくなるリスクがあります。
家電ならばともかく、住宅は人の生活のインフラですから、住宅設備に関しては、サービスが終了してもともとの機能が使えなくなるようなモノを導入すべきではありません。

また、IoTガジェット型スマートホームはIoTですので、当然インターネットに依存しています。
しかし、インターネットが途切れても住宅設備は機能し続けなくてはなりません。
そのため、ローカルネットワーク上で動作する必要があります。
「Your home is yours」が根本の思想になります。
これは実はHome assistantの哲学も同様ですが、生活の基盤は外部環境に左右されてはなりません。
ちなみに、話は飛びますが、Matterを待たずとも、Home assistantをUIに使用すればローカルネットワークで完結します。

なぜ「IoTガジェット型スマートホーム」は、住宅インフラになりえないのか?
スマートホームがある日突然「ただの置物」になる⁉

Q4
Home OS(住宅OS)とは何ですか?

A
Home OSとは、文字どおり、住宅設備全体を制御・統合するためのシステムです。
個別機器を操作するのではなく、建築レベルで住環境を制御する基盤として機能します。
海外のラグジュアリー邸宅で一般的に使用されているCrestronやLUTRONのHomeWorks、あるいはHOMMAのスマートホームシステムなどが代表的な存在です。

これらの建築統合型プラットフォームシステムがHome OSに相当します。

なお、このHome OSの下位レイヤーに、KNXやBACnet、あるいはECHONET Liteなどのオープンプロトコルが位置して、住宅設備を制御します。

スマートホームの答えは「住宅OS」。統合プラットフォームが提示する“本物のホームオートメーション”

Q5
オープンプロトコルはなぜ重要なのですか?

A
スマートホームにおいてオープンプロトコルが重要とされる最大の理由は、特定メーカーや特定サービスへの過度な依存(ベンダーロックイン)を避け、住まいを長期にわたって「進化させ続けられる」構造を確保できる点にあります。
KNX、BACnet、DALIといったオープンプロトコルは、通信仕様が公開され、複数のメーカーが共通のルールで機器を開発・接続できる仕組みです。
そのため、将来的に設備機器を入れ替えたり、新しい機能を追加したりする際も、既存のシステム全体を破棄する必要がありません。
住宅は数十年単位で使われる資産であり、10年経たずに陳腐化・終了する可能性のあるクラウドサービスや専用アプリ前提の仕組みとは時間軸が根本的に異なります。
オープンプロトコルを採用することで、住宅設備を「一時的なガジェット」ではなく、「建築インフラ」として成立させることが可能になります。
長寿命で拡張性の高いスマートホームを実現するうえで、オープンプロトコルは不可欠な基盤技術です。

スマートホームの核心は「プロトコル設計」

Q6
スマートホーム導入で失敗しやすいポイントは何ですか?

A
最も多い失敗は、個別のIoT機器を場当たり的に導入してしまうことです。
全体設計がないまま機器を増やすと、操作が複雑化し、将来的な拡張や更新が困難になります。
スマートホームは「最初の設計思想」が最重要です。
そのためには、信頼できる実績のある建築統合型のシステムと、実績のあり、優れたSI(システムインテグレーター)が在籍するインテグレート企業と出会うことが重要です。

なお、スマート「ホーム」の「ホーム」部分を重視する場合は、建築統合型プラットフォームが必須です。

Q7
日本の住宅でも本格的なホームオートメーションは可能ですか?

A
はい、可能です。
日本でも海外でも同様ですが、建築統合型を検討するのであれば、後付けIoTに頼らず、配線・制御方式・プロトコルを含めた設計段階からの検討が重要になります。
新築・リノベーション時に建築と一体で考えることが成功の鍵です。

Q8
誰にスマートホームの設計や導入を相談すべきですか?

A
家電量販店や単一メーカーではなく、建築・設備・制御を横断的に理解するスマートホームのシステムインテグレーター(SI)や専門家への相談が望ましいです。
住まい全体を一つのシステムとして設計できるかが重要な判断基準となります。
日本でもスマートホームの実績を持つSIの企業はいくつかあります。ハナムラSUMAMOコンフォースの3社が日本の建築統合型スマートホームの御三家と言われ、実績を持っているので安心できます。
また、Home OSという概念をシリコンバレーで提示し、集合住宅を中心に北米で実績を重ね、日本に進出してきたHOMMAも選択肢だと言えるでしょう。

日本のスマートホームの「原点」をつくった男 ──レジェンド、ハナムラ・花村 勇 氏

新宿・OZONEにあるハナムラのショールーム。GLAS LUCE × Smart Home

Home Automation Lab「COMFORCE」が示すホームオートメーションの最前線

コンフォースのショールーム。コンフォースはホームシアターインストーラーからホームオートメーションのシステムインテグレーターに発展してきた

HOMMAが描く、ラグジュアリー・スマートホームの未来

HOMMAのショールーム。HOMMAはホームシアターセミナーの開催も予定している
「HOMMA Built-in Intelligence Session vol.1」 

Q9
ラグジュアリー住宅においてスマートホームはどんな価値を持ちますか?

A
ラグジュアリー邸宅におけるスマートホームの価値は、派手な機能や利便性の誇示ではなく、住まい手が意識することなく快適さが保たれる「操作しなくてよい環境」を実現する点にあります。
照明、窓廻り、空調、換気といった要素が、時間帯や自然光、居住者の在室状況に応じてセンサーと自動的に連動することで、空間は常に最適な状態に整えられます。スイッチやアプリ操作に煩わされることなく、住まいそのものが居住者のリズムに寄り添う——その体験が、ラグジュアリー邸宅ならではの静かな豊かさを生み出します。
さらに、建築段階から設計されたスマートホームは、住宅の資産価値を中長期的に高める要素としても重要です。
オープンプロトコルを基盤とした拡張性の高いシステムは、将来的な設備更新や用途変更にも柔軟に対応でき、陳腐化しにくい住まいを実現します。結果として、再販時や賃貸時においても高い評価を得やすくなります。
真にラグジュアリーなスマートホームとは、テクノロジーの存在を主張することなく、空間の完成度と持続性を高めること。
日々の暮らしの質を高めると同時に、住まいを「使い捨てない資産」として成立させる——そこに、ラグジュアリー邸宅におけるスマートホームの本質的な価値があります。

Q10
本格的なAIの時代を迎えてスマートホームは将来どのような方向に進化しますか?

A
スマートホームは今後、単に設備を自動で制御する「自動化の住まい」から、住む人の心身の状態や生活リズムを理解し、健康と快適性を支える「スマート・ウェルネス・ホーム」へと進化していきます。その進化を支える中核が、AIとセンサー技術です。
これからの住まいは、時刻や操作指示に反応するだけでなく、睡眠・活動量・在宅状況・光環境・温熱環境といった多様なデータを統合的に捉え、照明・空調・遮光・音環境を自律的に最適化するようになります。
結果として、集中しやすい時間帯、深く休める夜、心身が整いやすい環境が、意識せずとも自然に用意されます。
重要なのは、健康管理を「管理」として押し付けないことです。数値を常に意識させるのではなく、暮らしの質そのものを底上げすることで、結果的にコンディションが整っていく——それがスマート・ウェルネス・ホームの思想です。
この流れの中で、スマートホームは単なる便利な装置の集合ではなく、建築に組み込まれたHome OSとして成熟していきます。
「自動化」から「知性化」、そして「ウェルネス化」へ。
スマートホームの未来は、住まいが人の健康と人生の質を静かに支え続ける、新しい住宅像へと向かっています。

【渡我部一成が語る暮らしの哲学】第2章:AI・スマートホームが切り拓く「次世代ウェルネス住宅」の最前線

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    LWL online 編集部

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