2025年、ラグジュアリー住宅におけるスマートホームの到達点【前編】―― LWL onlineが選ぶスマートホームシステム(Home OS)3選
取材/LWL online編集部
2025年は、日本のスマートホーム史において明確な転換点として記憶される一年となった。それは、スマートホームが「IoTガジェットの集合体」から、建築に組み込まれた住まいの知性=Home OSへと進化した年である。LWL onlineではこの変化象徴する存在として、Lutron HomeWorksとHOMMA、二つのスマートホームシステムに注目した。そしてこの潮流を俯瞰する存在として、Home OSの原点とも言えるCrestronを加え、2025年時点での「スマートホームシステム3選」を選出する。
2025年、ラグジュアリー住宅におけるスマートホームの到達点【後編】―― スマートホームシステムインテグレーター3選
「操作する家」から「理解する住まい」へ──2025年を画したHome OSのメルクマール
2025年は、日本のラグジュアリー住宅におけるスマートホームの位置付けが、決定的に変わった一年だった。
これまでは便利なIoT機器を足し合わせる時代が続いていたが、スマートホームにおけるパラダイムが静かに切り替わり始めた。
スマートホーム=住宅そのものに知性が組み込まれる――Home OSという思想が具体的に現実解として立ち上がった年でもある。
LWL onlineはこの転換点を単なるトレンドとしてではなく、住宅の価値基準が更新されたメルクマールとして捉えたい。
光、温熱環境、空気、セキュリティ、そしてエンターテイメント。
それらが個別に制御されるのではなく、住まう人の状態や時間の流れに寄り添いながら、ひとつの環境として振る舞う。
2025年、日本でもその思想を体験可能なレベルで提示するシステムと、それを実装する担い手がそろいはじめた。
本稿では、前編で2025年を象徴するスマートホームシステム3選を通じて、Home OSが何を変えたのかを読み解き、
後編で、それらの思想を現実の空間へと昇華させる、現時点でお薦めできるスマートホームシステムインテグレーターを紹介する。
スマートホームは住まいの完成度を決定づける「住宅の知性」である。
2026年を目前に控えたいま、ラグジュアリー邸宅の最前線で何が起きているのか――その現在地を、このふたつの記事を通じて総括する。

スマートホームシステム3選
Crestron Home OSの原点にして、今なお業界標準

Crestronは、スマートホームという概念がまだ一般化する以前から、建築・AV・ITを横断する「統合制御」の思想を築いてきた、事実上の業界標準とも言える存在だ。
「Home OS」の元祖と言える存在である。
北米を中心に、欧州、南米、豪州、アジア、そしてこの日本でも既にラグジュアリー邸宅では「アイコン」とも言えるほど、多数の実績を積み重ねている。
照明、窓廻り、空調、AV、セキュリティを一つの制御体系で束ねるCrestronの設計思想は、単なる利便性ではなく、住宅全体を「ひとつのシステム」として成立させる。
特にラグジュアリー邸宅においては、施主のライフスタイルや建築意図に合わせて柔軟にカスタマイズできる拡張性と、10年単位での運用に耐える堅牢性、そして新しいプロトコルなどの技術へのいち早い対応などの柔軟性が高く評価されている。
「操作する住まい」から「意図を汲み取る住まい」へ——その進化を最も早く、そして確実に体現してきたプラットフォームと言えるだろう。
Lutron HomeWorks 光・温熱・空気を統合する「住まいの知性」

Lutronはもともと、ラグジュアリー邸宅における調光装置の代名詞とも言える存在であり、その名を決定づけたのが「GrafikEye QS」であった。
光量を精緻にコントロールすることで空間の表情を設計する——Lutronは早くから「光を建築の一部として扱う」という思想を具現化してきたブランドである。

さらに、電動遮光システム「Sivoia QS」を組み合わせることで、LUTRONは照明だけでなく、外光を含めた「住まいの光環境全体」をトータルでコーディネートする存在へと進化した。
人工照明と自然光、昼と夜、晴天と曇天。そのすべてを連続した環境として捉え、トーンを整える——このアプローチは、結果として住まいの質そのものを変えてきた。
2025年に日本でローンチしたHomeWorksは、その思想をさらに一段押し進めたシステムである。
従来の「ライティングコントロール」に空調制御を統合することで、光・温熱・空気という、人が快適さを感じる本質的要素を横断的に扱うことが可能になった。
これまでの調光・調色・シーン制御に加え、外光を取り込む遮光制御や空調との連動により、時間帯や季節、さらには居住者の生活リズムに応じた環境を自動で構築する。
重要なのは、HomeWorksは多機能化しているが、多機能化が前面に出ていない点だ。
システムの存在を意識させることなく、空間の完成度を静かに引き上げる——HomeWorksの注目したい点はここにある。
2025年、LutronはHomeWorksによって、単なる照明制御システムを超えて、体験を環境レベルで設計するための基盤となり、スマートホームが「設備」から「建築に内在する環境設計」へと移行しつつあることを象徴する存在となった。
HOMMA 住まいが人を理解する、Built-in Intelligenceの現在地

HOMMAは、日本人起業家が率いるチームが住宅設計とテクノロジーの知見をもとに、「住宅に最初から組み込まれる知性=Built-in Intelligence」を具現化する、次世代型スマートホームシステムである。
起業した時点から「Home OS」という概念をベースに、米国で実績を積み重ねてきた。
基本的にはローカルネットワークで完結しているので、クラウド依存型スマートホームとは異なるスタンスである。
後付けのIoT機器を寄せ集めるのではなく、建築設計の初期段階からHome OSの存在を前提とするそのアプローチは、スマートホームを単なる「便利な設備」ではなく、「住宅構造の一部」として捉えている点に大きな特徴がある。
HOMMAのシステムは、照明・空調・遮光・セキュリティといった住宅設備に加え、多数のセンサーによって得られるデータを統合的に扱う。
人の動き、時間帯、外光、室温、さらには生活リズムまでを継続的に読み取り、その家に住む人にとって最適な環境を先回りして提示する設計思想は、従来の「操作するスマートホーム」とは明確に一線を画すものだ。
実際に体験すると、そこにはスイッチやアプリを操作する感覚はほとんどない。
気づけば照明が変わり、窓廻りが整い、空間全体がいつでも「今の自分にとってちょうどいい状態」へと自然に移ろっていく。
HOMMAが描くのは、テクノロジーを感じさせないまま、住まいが人を理解し、寄り添う住宅体験である。
それはまさに、「操作しない住まい」「説明されない知性」という、新しいラグジュアリー邸宅のかたちだ。
2024年秋の日本ローンチを経て、2025年はHOMMAという存在が、日本市場においてHome OSという概念を思想ではなく、実際に体験可能な現実解として提示した年だったと言える。
スマートホームの次章を静かに、しかし確実に示した存在として、強い印象を残した。


そして、スマートホームは「設備」ではなくなった
前編はここで終わる。
後編では、これらのシステムを現実の空間へと昇華させる「スマートホームシステムインテグレーター3選」を紹介する。
Home OSは、誰が設計し、実装するかによって、その価値が決定的に変わる。
2025年、ラグジュアリー住宅におけるスマートホームの到達点【後編】―― LWL onlineが選ぶスマートホームシステムインテグレーター3選
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