サスティナブルな最先端の素材で次世代へ~バスタブブランド HIDEOショールーム~
fy7d(エフワイセブンディー)代表/遠藤義人
日本が世界に誇るバスタブブランドJAXSON(ジャクソン)と同じデザイナーが手掛ける新ブランドHIDEO(ハイデオ)。豪華な意匠と機能を備え光沢感のある前者と、シンプルで無駄を削ぎ落としたマットな後者は、両極端のようにも見える。しかしそこには共通の理念が息づいており、後者は前者の歴史を受けたものだった。
JAXSONからHIDEOへ
デザイナーである創業者・清水秀男さんが、自身の名を冠して2021年に創設したHIDEO の製品は、高級インテリア家具としてのバスタブを追究し、2022年から2025年まで毎年、独のデザイン賞German Design Awardをはじめ10もの世界的なアワードを受賞している。


そんなHIDEOは、国内のグッドデザイン賞を多数受賞したJAXSONと何が違うのだろうか。
そもそもHIDEOも、日本人が古来より持つ「お風呂に入る」という文化……親と子あるいはパートナーとのコミュニケーションや、ひとり静かに一日を振り返りつつゆったりと疲れを癒やすといった精神性……に資することをモットーにデザインされている点で、JAXSONと変わりはない。
もっともHIDEOの場合、JAXSONで培った43年の経験が最初からデザインに生かされているため、出発点がまず違う。
また、この近年、海外では主流となっている新素材、ソリッドサーフェスを採用したことで、これまでのアクリル成形では難しかった繊細な表現も可能になり、理想のカタチにしやすくなったという点が挙げられる。
HIDEOでは2種類の素材を採用しており、ひとつは、より繊細な造形が可能な高純度のアクリルモノマー、LAR(リキッドアクリリックレジン)、もうひとつは水酸化アルミニウムを主成分とする鉱物フィラーとトウモロコシ由来の植物性樹脂で構成された素材、クリスタルプラントという。メイド・イン・イタリーのクリスタルプラントは、いまや世界的常識となっているサスティナビリティ思想に沿っている。
こうした条件が揃い、水を得た魚のように、コンパクトで薄い白磁のように端正なバスタブを次々と生み出すことができた。「これがあることで家全体が豊かになる」といっていいほど、HIDEOのバスタブは、住空間の中心に位置づけるべき存在となったのだ。
ディテールにこだわる
そんなHIDEOの製品を具体的に紹介しよう。注目すべきは、一見シンプルで意匠重視に思えるも、お風呂を愉しむための入り心地と、そのための安全性の担保に意が注がれている点。ディテールとともに解説する。





Theaterをコンセプトとした3シーターのバスタブ。リビングシアターのようにコミュニケーションを楽しむためのバスタブで、アームレストも装備され足湯などさまざまなシーンが想定できる。German Design Award 2023 受賞



Archiproducts Design Awards 2024受賞。「INFINITY」(型番IN-2160)に改良を加え、リサイクル可能なトウモロコシ由来のサスティナブルな素材を採用。海外、とくにヨーロッパで進むサスティナブルな思想に沿ったもの




「INFINITY」(型番IN-2160)
体を預けたとき背中にフィットする曲線と、アームレスト、フットレストは承前。包み込まれるような安心感を生むフォルムが特長。2人向かい合って入浴しても快適で安定した入り心地が評価され2023年German Design Award 2023 SPECIAL受賞



このように、一体成形された「アームレスト」や「フットレスト」が、JAXSONに備わるジェットバスや金物類とはまた別の魅力を放つHIDEO。「座り心地」「安全性」「意匠」の3つが融合した家具としてのデザインがシンプルかつ力強く表現されており、JAXSON以上に清水さんの矜持を感じさせる。
納入例



Hotel norm air.





[問い合わせ先]
HIDEO TOKYO
- 住所:東京都港区赤坂3丁目3-3住友生命赤坂ビル1F
- TEL:03-5797-7507
- 営業時間:10:00 – 18:00(予約制)
- 定休日:土曜日、日曜日、祝日
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fy7d(エフワイセブンディー)代表
遠藤義人
ホームシアターのある暮らしをコンサルティングするfy7d(エフワイセブンディー)代表。ホームシアター専門誌「ホームシアター/Foyer(ホワイエ)」の編集長を経て独立、住宅・インテリアとの調和も考えたオーディオビジュアル記事の編集・執筆のほか、システムプランニングも行う。「LINN the learning journey to make better sound.」(編集、ステレオサウンド)、「聞いて聞いて!音と耳のはなし」(共著、福音館書店。読書感想文全国コンクール課題図書、福祉文化財推薦作品)など。