デザインと音響が融合した新たな体験価値へ~サンゲツ×槌屋×槌屋ティスコ~“音の出るファブリック”で空間が語りはじめる
取材/LWL online編集部
株式会社サンゲツは、槌屋株式会社および槌屋ティスコ株式会社と共同で、音響発生機能を備えたインテリア素材「音の出るファブリック」の商品化に向けた開発をスタートした。この革新的な布状スピーカー技術は、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)の技術を応用。空間デザインとサウンドの融合による新たな空間価値の創出を目指す。
布が奏でる ― “静寂の中の音”という新しい美学
「音の出るファブリック」は、サンゲツが展開するカーテンや椅子生地などのインテリアファブリックに、布状スピーカー技術を組み込むことを想定した“音響機能搭載ファブリック”。空間デザインと音響演出の融合により、新たな空間価値の創出を狙うとしている。
布状スピーカーの基本技術は、特殊なフィルムと電極シートを積層した構成で、柔軟性に優れる点が特長である。
布全面に配された無数の小さな発音体が面全体から均一に音を放射し、特定の場所に偏らない音場形成を可能にするという。特に中高音域の再現性に優れ、自然で心地よい音を空間全体に行き渡らせる。
布全体が発音体として機能し、音が一点に集中せず空間全体に均一に広がることで、自然で包み込むような音場を形成する。中高音域の再現性に優れ、聴くというよりも「空間が音を呼吸する」ような感覚をもたらす。
さらに、長尺のファブリックを設置することで、通行者に音が追随するようなインタラクティブ演出も可能となる。
建築空間と人の動きを連動させる“サウンドスケープ”としての応用も期待されている。
産総研技術 × 名古屋発モノづくりの共創
このプロジェクトは、産総研が開発した布状スピーカー技術のライセンスを槌屋および槌屋ティスコが取得し、サンゲツがファブリックとしてのデザイン性・素材表現を融合させる形で進行。
研究・設計・デザイン・製造が三位一体となった“モノづくり共創”モデルといえる。
槌屋グループは、高機能ブラシや工業用テキスタイルなどを手がける精密加工のスペシャリスト。
サンゲツがもつインテリアデザインの知見と掛け合わせることで、「聴覚に訴える空間デザイン」という新領域が拓かれる。
サンゲツの新戦略 ― 空間の感性価値を拡張する
サンゲツは2025年度よりイノベーション戦略室を新設。
従来の壁装・床材・ファブリックの供給にとどまらず、空間を通じて人の感性に働きかける“スペースクリエーション企業”への進化を掲げている。
今回の共同開発はその象徴的プロジェクトであり、「やすらぎと希望にみちた空間を創造する」という企業Purposeのもと、感性と技術の架け橋として未来のインテリアを構想している。
3社は今後、商業施設・住宅・ホテルなどへの導入を見据えた実証実験と試作開発を進める。
将来的には、照明・映像・香りといった要素と統合し、“五感で感じる建築空間”の創出を視野に入れている。
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LWL online 編集部