壁の中に、劇場級のサウンドを。KEF最新THXインウォール「Ci5120QLM-THX」「Ci3120QLM-THX」の実力
取材/LWL online編集部
英国オーディオブランドKEFが、THX認証を取得した新世代インウォールスピーカー「Ci5120QLM-THX」「Ci3120QLM-THX」を発売した。第12世代Uni-QドライバーとMAT(メタマテリアル吸収技術)を搭載し、埋込型ながらトールボーイに迫る高音質を実現。海外で一般化するホームシアターの“インウォール化”を日本でも加速させる注目モデルだ。
英国オーディオの品格と革新──KEFというブランドのDNA

英国ケント州メイドストーン。緑の丘陵と羊牧場に囲まれた静謐な土地で、KEFは1961年に誕生した。創業者レイモンド・クックはもともとBBCのエンジニア。音の忠実度を徹底的に追求する放送局の思想が、KEFというブランドの根底を形づくっている。
一般的に“高級スピーカー”と聞くと大型のトールボーイを思い浮かべがちだが、KEFの革新性はむしろ、限られた空間に高音質を凝縮する発想にある。
その象徴がUni-Qドライバーだ。
トゥイーターをミッドレンジの中心に配置し、点音源化を図ることで、部屋全体に均一な音を届ける KEF の代名詞ともいえる技術である。
第12世代へと進化したこのUni-Qという技術は、トゥイーター背面の不要音を99%吸収する「MAT」(メタマテリアル吸収技術)と組み合わさり、音の透明感と情報量をさらに押し上げた。
この思想が、今日のKEFのあらゆるシリーズ──フロア型、ブックシェルフ、サブウーファー、そして今回のテーマである埋込スピーカー=カスタムインストールスピーカーへと継承されていく。
埋込スピーカーは世界では「当たり前の選択肢」
日本では、スピーカーと言えば“床置き”“棚置き”が主流だが、欧米の住宅では埋込スピーカーが一般化している。
とりわけハイエンド邸宅では、リビング、ダイニング、キッチン、ベッドルーム、バスルーム、エントランスや廊下まで、家中のあらゆる空間にスピーカーを埋め込むことが珍しくない。
ハイエンドホームシアターであっても、埋込スピーカーを使用するケースは多い。
日本でもラグジュアリー邸宅では複数の空間で音楽を再生する、マルチルームオーディオという設えが定着しつつある。
壁面や天井に機器を露出させず、空間の造形を損なわないこと。
そのうえで“音楽”は家の静脈のように各部屋へ循環していく──。
こうしたラグジュアリー文化において、埋込スピーカーは「隠すための妥協」ではなく、むしろ洗練された住宅に必須のインテリアパーツとして成立している。
海外で支持厚いKEFの埋込スピーカー
世界的なカスタムインストール(CI)市場において、KEFの埋込スピーカーは最も信頼されるブランドのひとつだ。
その理由は単純で、“音が良い”という評価が揺るがないからである。
一般的に埋込スピーカーは、設置条件や壁材の影響を受けやすく、音質がスピーカーボックス(箱)があるタイプの音には劣るとされてきた。しかしKEFはその固定観念を覆してきた。
点音源Uni-Qによる広いスイートスポット、MATによる音場の透明度、振動を制御するデカップリング構造。これらが組み合わさることで、「壁に埋まっているのに、音像は空中に立ち上がる」という不思議な感覚が生まれる。
KEFのCiシリーズは、建築家・デザイナー・カスタムインストーラー(施工者)の三者から同時に支持される珍しい存在で、「見た目の美しさと音の良さを両立できる」という決定打として、海外の邸宅ではしばしば“全室KEF仕様”が組まれる。
今回登場したCi5120QLM-THX/Ci3120QLM-THXは、そのCiシリーズのなかでも最上位カテゴリーに位置づけられる。


新製品「Ci5120QLM-THX / Ci3120QLM-THX」の本質──“壁の中に収まるリファレンス”
1.「 第12世代Uni-Q × MAT」~スピーカーの“存在”が消え、音だけが浮き立つ
本機の特長はKEF最新の第12世代Uni-Qである。
ツイーター背面の迷宮状素材MATが不要音を99%吸収し、高域の濁りを極限まで排除する。
そのため、声のニュアンスや弦の細かな倍音、映画の効果音の定位といった音の微細なディテールが驚くほどクリアに再生される。
「壁の中にあるのに、そこにスピーカーが“在る”と錯覚する」という感覚を覚えるのは、このUni-Q+MATの組み合わせによる。

2. ロングスローベース×最適化された3ウェイ設計~コンパクトなのに深く沈み込む低音
Ci5120QLM-THXには120mmバスドライバーを4基、Ci3120QLM-THXには2基搭載する。
壁内部でありながら想像を超える低域の量感を確保。単なる“埋込”の枠を大きく超え、トールボーイ型の物理的アドバンテージに迫るエネルギーを実現している。
さらに3ウェイ構成とクロスオーバーが綿密に最適化され、各帯域が相互干渉することなく高度に分離し、レンジの広さと精度を両立する。
3. THX®認証を取得──映画館レベルの基準を家庭に
Ci5120QLM-THXは「THX Ultra」、Ci3120QLM-THXは「THX Select」認証を取得。
映画館の基準レベルを家庭レベルに落とし込むためのテストをクリアしたことを示しており、特にアクション映画やSF作品で音圧の迫力と定位の正確さが発揮される。
“壁の中にあるのに、劇場クラス”。
その矛盾を成立させてしまうのが、今回のモデルの核心だ。
4. 建築に溶け込むUTBフレーム──建築家が扱いやすい要素がそろう
塗装可能なマグネットグリル、極薄ベゼル(UTB)、防滴・防塵のIP64。建築家が扱いやすい要素が丁寧にそろっている。
露出スピーカーでは到底叶わない、“壁の存在を変えない音響設計”を可能にする仕様である。
建築に埋め込むレファレンススピーカー
日本ではまだ、「埋込スピーカーは便利だが、音質は床置きに劣る」という誤解が根強く残っている。
しかし、今回のCi5120QLM-THX/Ci3120QLM-THXに触れると、その固定観念は覆されるだろう。
壁の中に収まるデザイン。空間を邪魔しないミニマルさ。そして、KEFが積み重ねてきた60年の技術が生む高音質。
もはや「建築に埋め込むレファレンススピーカー」と呼ぶべき存在だ。
海外で“全室スピーカー”が当たり前なように、日本でも、空間と音が自然に結びつくライフスタイルは確実に広がっていく。
そのメルクマールとなる埋込スピーカーである。
| 項目 | Ci5120QLM-THX | Ci3120QLM-THX |
|---|---|---|
| スピーカー | 3ウェイ: 100mm Uni-Q、19mmトゥイーター(MAT)、120mmウーファー×4 | 3ウェイ: 100mm Uni-Q、19mmトゥイーター(MAT)、120mmウーファー×2 |
| インピーダンス | 4Ω | 4Ω |
| 外形寸法 | 186W×818H×96D㎜ | 186W×536H×96D㎜ |
| カットアウト寸法 | 163W×795H㎜ | 163W×513H㎜ |
| 質量 | 9.7kg | 6.2kg |
| 価格(税込) | 242,000円(1台) | 198,000円(1台) |
| 販売 | KEF Music Gallery TOKYO / 正規販売店 / オンラインストア | |
- KEF JAPAN直営のショールーム
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