現代版の金継ぎ!? 再生PETの線で繋ぐ成形オブジェ
fy7d(エフワイセブンディー)代表/遠藤義人
近未来的な意匠ながら、どこかクラシカルでロマンティック。DESIGNART TOKYO会場で心奪われたのは、昨年につづき出展した「130(One Thirty)」だ。近未来的でありながら、どこか工芸的な温度を宿す――。再生PETを“線”として操り、立体を再構築するデザインブランド「130(One Thirty)」。素材循環と造形美が出会う、日本発の新しいクラフトテクノロジーがここにある。
光と体の距離を測り直す
いちから3次元に構築して、要らなくなったらまた粉砕してゼロに戻し、違う形に構築し直すーーこうした工程をすべて自社で行えるのが強みの株式会社MafnaRecta(マグナレクタ)のデザインブランド「130(ワンサーティ)」。昨年ISSEY MIYAKEとコラボレーションしたマネキンで注目を集めたが、今年は光と体の距離をもう一度測り直すインスタレーション「Orbit of Calm」を行った。
デザイナーの加藤大直(ひろなお)さんは次のように語りました。
「世の中のプロダクトは、ほぼ面で構成されています。確かに面=二次元は非常に生産性が高く、艶やかな美しいものが生産できますが、その反面、わずかな傷がついただけで商品価値を失ってしまいます。その点、このような棒状を格子にしたプロダクツであれば、折れてもその場で修復できます。壊れても価値を損なわないし、新しい色で直してもいいわけです」
まさに、現代版の金継ぎというわけだ。
素材は再生PETで、軽量かつ強度が高く、片手で移動できる。



きわめて日本的な、面でなく線で繋ぐ構造物
加藤さんはもともと国内初の3Dプリンターを開発・製造・販売する会社を創業した人物。3Dプリンターは大きなものが作れないことから試行錯誤を重ね、棒状のフレームを継いで立体を作る造形技術に辿り着いたというわけだ。
「今年のミラノサローネでデビューし、1日に2500人、のべ1万7000人に来場いただきました。循環という発想がイタリアやフランスの方々に好評だったんです」
透明ゆえ黒子にもなるし、かとおもえばしっかりしたフォルムで自身を主張するオブジェにもなるし、建築物に匹敵するような大きなものにもなる。線で繋ぐ構造物は、壁で構成されてきた西洋由来の住宅建築物と対比すれば、まこと日本的である。そうした極めて日本的なものがヨーロッパで評価を受けたことは、誇らしくもある。


加藤さんによれば、この「130」の技術は、溶けるものなら大抵の素材で応用できるという。ゴムでも、木材を混ぜたりもできるなど、汎用性が高い技術なのも魅力だ。
線を操ることで、あらゆるデザインが構築できる。日本発世界への日本らしい技術が見える展示だった。
[問い合わせ先]
130 powered by 株式会社MagnaRecta
東京都中央区日本橋本町4-6-10、サトービル 1F
https://www.130onethirty.com
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fy7d(エフワイセブンディー)代表
遠藤義人
ホームシアターのある暮らしをコンサルティングするfy7d(エフワイセブンディー)代表。ホームシアター専門誌「ホームシアター/Foyer(ホワイエ)」の編集長を経て独立、住宅・インテリアとの調和も考えたオーディオビジュアル記事の編集・執筆のほか、システムプランニングも行う。「LINN the learning journey to make better sound.」(編集、ステレオサウンド)、「聞いて聞いて!音と耳のはなし」(共著、福音館書店。読書感想文全国コンクール課題図書、福祉文化財推薦作品)など。