コルビュジエの色彩を宿すスイッチ──独JUNGが提示する、ラグジュアリー住宅のためのスマートスイッチ
fy7d(エフワイセブンディー)代表/遠藤義人
先日、東京ビッグサイトで開催されたJAPAN BUILD TOKYOの会場を徘徊していたところ、美しいカラーパレットに一瞬で目を奪われたのが、独のスイッチJUNG(ヨン)を扱うプライム・スターのブースだ。JUNGは独シャルクスミューレで1912年に創設されたスイッチメーカー。扱う商品は、照明スイッチのみならず、タッチパネル、ブラインド制御、セキュリティシステムなど多岐に亘る。独自社工場で開発・製造した製品は、そのシンプルな意匠性とは裏腹に、革新性と多彩な機能を備え、精密な加工が特長。また、耐久性に優れ、SDGs、エコに資することを理念としている。
高い意匠性と、それを支える職人の技
LS 990に集約された70mm角の美学と、モジュラー方式
まず目に付くのが意匠性だ。
代表製品であるボタン部分70mm角の四角いスイッチLS 990シリーズをはじめ、基本的にこのサイズに統一。
これを埋め込むためのフレームを2連〜5連繋ぎ、スイッチのほか、トグルスイッチ、コンセント、ロータリースイッチを選んで組み合わせるモジュラー方式になっている。
たくさんのスイッチが壁にガタガタに並ばないので、高級住宅やマンション、ホテル、博物館や美術館などの空間で視覚的障害にならない。


コルビュジエ「Les Couleurs」全63色を採用する唯一のスイッチ
コルビュジエのカラーパレット63色を全て使っているのがミソ。
家具などでもライセンス供与を受けてコルビュジエのカラーパレットを採用しているものは6社あるが、いずれも1色から多くて11色など。
全色使う例はないという。
コルビュジエのカラーパレット同士はどう組み合わせても統一感があるのが特長だから、同系色でないスイッチを上手く組み合わせるのはコーディネーターの腕の見せどころといえる。


熟練職人による塗装と、財団認証を経た本物のカラー品質
製品はひとつひとつ熟練の職人が塗装しているという。
それよりもっと驚いたのが、塗り上がった製品を財団に送り、正しいカラーかどうか確認されなければ出荷できないんだとか。29150円という価格が安く思えてくる。
そのほか最近人気なのは、LS990のメタル仕上げ。
ステンレスやアルミ、真鍮など、いずれもプリントでなくホンモノの素材を用いており、細いフレームも角を曲げ加工して、まるでアイロンを当てたワイシャツのような美しい仕上がりに惚れ惚れする。


ホームオートメーションこそ誰もが使えるスイッチが必要
タブレットでも音声でもない、「触れる操作」の価値
ホームオートメーションで操作する場合、通常はiPadのようなタブレットやiPhoneなどのタッチパネルで集中制御が行われる。
また、音声認識デバイスも一時はもてはやされたが、恥ずかしいのかあまり使われなくなった模様。
触れたら動作するハードキーの心地よさや感覚は、スマートデバイスではなく紙の本を買って読みたいわたしにとっても、親しみがある。
子どもから高齢者まで使える、住宅スイッチの普遍性
スマートデバイスのように自由かつスムーズに機器を連動させたいが、部屋の入り口ではシンプルに手でハードキーで操作したいというニーズは確かにある。
とくに子どもからお年寄りまで家族みんなが使う住宅の照明スイッチや、不特定多数が使う公共施設ではなおさらだ。
そこでスマートスイッチの出番である。JUNGのスイッチはKNXオートメーションシステムの一翼を担う。
デジタルスイッチでネットワークを通じ、照明、ブラインド、空調、床暖房などを制御できる。
そうした使い勝手を再現するため、会場では、シーン制御でブラインドと照明を連動させるデモンストレーションを行っていた。






プライム・スター株式会社
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fy7d(エフワイセブンディー)代表
遠藤義人
ホームシアターのある暮らしをコンサルティングするfy7d(エフワイセブンディー)代表。ホームシアター専門誌「ホームシアター/Foyer(ホワイエ)」の編集長を経て独立、住宅・インテリアとの調和も考えたオーディオビジュアル記事の編集・執筆のほか、システムプランニングも行う。「LINN the learning journey to make better sound.」(編集、ステレオサウンド)、「聞いて聞いて!音と耳のはなし」(共著、福音館書店。読書感想文全国コンクール課題図書、福祉文化財推薦作品)など。