究極の炊飯器、誕生。タイガー「土鍋ご泡火炊き」の120台限定プレミアムモデルが特別販売
オーディオ&サブカルライター/杉浦みな子
タイガー魔法瓶(以下、タイガー)から、“これまでの常識を覆す特別な炊飯器”を謳うリミテッドモデルが登場。120台限定で特別販売される。炊飯器という日常道具を、ひとつの工芸品として再定義したこのモデルは、まさに理想だけを追い求めた家電のひとつのカタチだ。
土鍋という原点に、技を尽くしたプレミアムモデル
今回登場したのは、タイガーの圧力IH炊飯器の超プレミアムラインとなる2シリーズ。TIGERリミテッドモデル「土鍋ご泡火(ほうび)炊き JRX-MC型」と、TIGERリミテッドモデル「土鍋ご泡火炊き JRX-BC型」だ。

いずれもタイガー土鍋炊飯器の20年目を機に企画されたもので、120台限定の完全受注生産となる。2025年11月4日より公式オンラインストア(https://www.tiger-corporation.com/ja/jpn/product/limted-ricecooker/)にて予約受付スタート。価格は195,000円から。
その特徴は、「タイガー魔法瓶の技術を詰め込んだ理想とする炊飯器を届けたい」という思いのもと、通常品ではあり得ない量産効率を度外視したプレミアム仕様としていること。
内釜の仕様、組み立て・仕上げ工程、外装の質感まで、量産モデルでは諦めざるを得なかったレベルの高い精度を達成している。まさに従来の家電とは一線を画する、“クラフト家電”と言えるだろう。
内釜精度という“見えない基盤”のこだわり
2006年に業界で初めて内なべに本物の土鍋を採用した「土鍋炊飯器」を発売して以来、そのクオリティを高めてきたタイガー。三重県四日市市の伝統工芸「四日市萬古焼」の土鍋を内釜として採用しているのが特徴で、「土鍋だからできる大火力+やさしい泡立ち」でご飯一粒ひと粒の粒立ちを引き出す仕組みとしてきた。


ここで注目したいのが、内釜=土鍋の寸法精度だ。一般的な土鍋は焼きの工程で、通常10%程度縮むため、モノによって公差が大きくなることが多くある。しかしタイガーの炊飯器の場合、量産モデルの時点で、「土鍋内釜の内径誤差を±1.0mm以下に抑える」という高い精度をすでに達成しているのがポイント。
……が、なんと今回のリミテッドモデルJRX-MC型では、それを「誤差0.09mm以下」の次元にまで高めたという。約20~24時間をかけて、熟練した職人が一つ一つ丁寧に削り出し、切削工程では防衛分野でも使われるような高精度な加工機も使用するこだわりぶり。道具としての使い心地の良さを、最大限まで追求している。
組み立て・塗装まで、職人の技が光る
次に、組み立てや外装仕様にも手を尽くしている。炊飯器製造に長年携わる技術者が1人で一気通貫で組み立て作業を担当。お米のおいしさを左右する圧力については、本製品専用の圧力チューニング用装置を使用し、1台1台圧力を確認・調整し、より精度高く圧力をコントロールできるように、最大90分かけてチューニングする。1日に製造できるのは最大2台というから、まさに“一点もの”状態の生産体制だ。
さらに、本体の塗装においても従来の「黒/白」といった炊飯器的カラーから逸脱。「Material Color Series(マテリアルカラー)」「Bright Color Series(ブライトカラー)」という2系統を設け、ムーンサーフェイス・アンドロメダ・タイタンという素材感の強い色合いや、オーロラホワイト・サンセットレッド・サンライズイエローというパッと華やぐ彩りを展開している(各色10台限定生産)。






塗装はロボットによる施業に加え、色と部品に応じて職人が手吹きにて1つずつ塗装し、6層もの重ね塗りを行い、立体感を出ている。さらに、従来は実現が難しかったステンレスへの着色も実現。加えてJRX-MC型は、カタフレームにも着色技術の採用と反転液晶を採用することで、一層の高級感を演出している。



もはやそれは、ただご飯を炊く機械ではなく、“世界観を持って炊き上げる炊飯器”。そんな表現がふさわしい。量産品ではたどり着けない理想のカタチ、そして限定120台の完全受注生産というレア感が、その物語性を高めている。タイガー魔法瓶の100年を超える技術力が結集した、まさにプレミアムな炊飯器と言えよう。
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オーディオ&サブカルライター
杉浦みな子
1983年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。在学時は映画研究会で映像制作に勤しみつつ、文芸評論家・福田和也教授に師事。2010年よりAV・家電メディアの編集/記者/ライターとして13年間従事し、音楽とコンシューマーエレクトロニクス系の分野を担当。2023年独立。音楽・オーディオ・家電から、歴史・カルチャーまで幅広いテーマで執筆中。実績はこちらから→https://sugiuraminako.edire.co/