ジャン・プルーヴェ「アントニー」復刻。Vitraが年内限定のリミテッドエディションを発売──シリアルナンバー付きの特別仕様
fy7d(エフワイセブンディー)代表/遠藤義人
20世紀を代表する建築家・ジャン・プルーヴェが学生寮のためにデザインした名作チェア「アントニー」が、Vitraよりリミテッドエディションとして登場。生前プルーヴェ本人が使っていた“Rouge Corsaire”のフレームカラーと、パイン材の美しい木目を活かした仕上げで蘇る。年内オーダー分のみシリアルナンバーが付与される特別仕様だ。価格は352,000円(税込)。
ジャン・プルーヴェ自身が実際使用していたカラーを採用
今回ヴィトラが発売する「アントニー」は、背もたれと座面の木部に木目が美しいヨーロッパ産のパイン材をナチュラルなワックス仕上げで採用。
金属のフレーム部にはジャン・プルーヴェが生前実際使用していたRouge Corsaire (ルージュ コルセール、海賊の赤の意)のパウダーコート仕上げを施している。





ヴィトラのチーフデザインオフィサーであるクリスチャン・グロッセンは、次のようにコメントしている。
「ジャン・プルーヴェのデザイン、技術的な合理性とデザインとしての美しさが絶妙に調和しています。『アントニー』のリミテッドエディション、彼の代表的なデザインのひとつを通じて、その功績に敬意を表するものです」
ヴィトラが権利獲得のきっかけとなったチェア
フランスのデザイナーで建築家、エンジニアのジャン・プルーヴェは、1950年代初頭、パリ近郊のアントニーに計画された大学都市の学生寮150室の椅子として「アントニー」をデザイン、製造した。頑丈かつ個性的なこの椅子は、オフィスや待合室、リビングルームなどにも幅広く使われるようになった。
滑らかな曲線を描く成形合板の座面を特徴的な金属フレームがしっかりと支える「アントニー」は、ジャン・プルーヴェの作品の中でも比較的後期の家具でありながら、「ヴィトラ デザイン ミュージアム」が所蔵するコレクションに最初に加えられた椅子。
そのため、現在7000点を超える家具コレクションの中でも特別な存在とされている。

また、1980年代にヴィトラの現・名誉会長ロルフ・フェルバウムがプルーヴェ作品の蒐集と研究を始めたきっかけも、パリを訪れた際に出会ったヴィンテージの「アントニー」だった。
それもあって、1950年創業のスイスの家具メーカーであるヴィトラは、2000年にプルーヴェファミリーと交渉を開始して全プルーヴェ製品の復刻と製造、販売権を獲得し、今日に至る。
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- ※2025年10月より年内オーダー分までの期間限定発売、すべての製品シリアルナンバーつき
- ※日本では常設の「ヴィトラ スペース」を有するプレミアムパートナーのSEMPREとCONNECT、ヴィトラの直営である公式オンラインショップのVitra Online Shop での限定発売
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fy7d(エフワイセブンディー)代表
遠藤義人
ホームシアターのある暮らしをコンサルティングするfy7d(エフワイセブンディー)代表。ホームシアター専門誌「ホームシアター/Foyer(ホワイエ)」の編集長を経て独立、住宅・インテリアとの調和も考えたオーディオビジュアル記事の編集・執筆のほか、システムプランニングも行う。「LINN the learning journey to make better sound.」(編集、ステレオサウンド)、「聞いて聞いて!音と耳のはなし」(共著、福音館書店。読書感想文全国コンクール課題図書、福祉文化財推薦作品)など。