浮遊するターンテーブルAudio-Technica「Hotaru」誕生──音と光がひとつになる、オーディオテクニカの新しい美学
取材/LWL online編集部
Audio-Technica(オーディオテクニカ)が発表した新作ターンテーブル「Hotaru(ホタル)」は、アナログ再生、サウンドデザイン、そしてLEDライティングをこれまでにないレベルで融合させた“浮遊するオールインワン・ターンテーブル”だ。
世界1000台限定。音・光・デザインが溶け合う、オールインワンのアナログ体験
世界1000台限定という希少性と、磁気反発による宙に浮く構造、音と光が共鳴する幻想的な再生体験。
本稿では、LWL online が国内で最初にお披露目した背景とともに、Hotaruが象徴する「もっと、アナログになっていく。」という新たなオーディオの潮流を、技術・デザイン・空間の視点から総合的に読み解く。
Hotaru──「音楽を、光とともに纏う」ためのターンテーブル
Hotaruは、Audio-Technicaが今年春に掲げたプログラム「analog 〜 naturally」の一環として開発された。
ミラノデザインウィークで初披露され、世界的デザイン賞「A’ Design Award」で最高峰のプラチナ賞を受賞。
その後ニューヨークでは「茶道」の精神と掛け合わせたサウンド・インスタレーション「Garden of Temporal Traces」で世界を鮮やかに魅了した。
その名に込められたのは、日本文化に根ざした「蛍」の儚く静謐な光の美。そして、Hotaru はまさに、その蛍のように、静かに、しかし強烈に、空間を包み込む。

Hotaruとは何か──“浮遊するターンテーブル”が拓く新しいアナログの世界
LED × サウンド × 浮遊構造。Hotaruの全体像
最初にHotaruのプロフィールを簡単に説明しよう。
Hotaruとは何か──。
Hotaruは多彩な LED ライティング、ターンテーブル、そしてスピーカーを一体化した、世界でも類を見ないオールインワンのアナログ・サウンドシステムだ。
最大の特徴は、Audio-Technica が長年培ってきた技術を大胆に昇華させた 「磁気反発による浮遊構造」。
ターンテーブル部分が宙に浮くことで、スピーカーの振動、床からの微細なノイズ、外部環境の揺らぎ──そうした「音の敵」を可能な限り排除し、アナログレコードに刻み込まれた繊細なニュアンスを損なうことなく忠実に描き出す。
さらに、本体内部の構造設計を緻密に最適化し、限られた筐体の中で最大限のスピーカー容量を確保。
その結果生まれたのは、煌めく中高域の透明感と、重心の低い豊潤な低域が共存するサウンドである。
これが一体型とは到底思えないほどのスケール感と力強さを獲得した理由だ。
そして、レコードにそっと針を落とす瞬間──
音と光が溶け合う「幻想的な空間」が立ち上がる。
静かに浮遊するレコードの円盤。その下で柔らかく、時に鮮烈に変化する灯り。Hotaru は、音楽を「聴く」体験から、「戯れる」体験へと押し上げる。
光で情景を描き、音の余韻を光のゆらぎで包み込みながら、空間そのものを舞台に変えてしまう──。
これがHotaru の「プロフィール」である。

WL online が国内最速で目撃したHotaru──アートピースとしての存在感
第24回LWLアフタヌーンパーティでの初披露
Hotaruが国内のイベントで最初にお披露目されたのは、10月18日に開催された第24回Living Wellness in Luxury®アフタヌーンパーティ。
第24回『Living Wellness in Luxury®』詳細レポート(中編)~インテリアとホームオートメーションが融合
コンセプトモデルのように、静かに、確かにそこにあった。
宙に浮くターンテーブルと、その足元に広がる柔らかな灯り。
それは、単なるオーディオ機器という枠を超えた、空間を演出するアートピースだった。
パーティに参加した建築家やデザイナーからは絶賛の声を浴びる。

Analog Market 2025で再確認した熱気
その後、同社が主催する『Analog Market 2025』でもHotaru に再会した。
来場者の目が一斉に集まり、聞き入る人、写真を撮る人、ため息を漏らす人。
そこには、音楽を聴覚だけでなく、「視覚と空間」を含めて楽しみたいという、静かな熱気を肌で感じた。
新しい時代の「音のラグジュアリー」はまさにここから始まるという印象を受けた。
アナログが呼吸する都市へ~『Analog Market 2025』取材レポート
磁気反発のテクノロジー──“浮遊”を支える仕組み
振動を断つための革新的構造
Hotaru がただ美しいだけのオブジェではないことは、技術仕様を見れば明らかだ。
その技術と美学は、以下のような点に鮮やかに表れている。
- 磁気反発による浮遊構造によるターンテーブルの宙への浮遊
強力なマグネットによる浮遊構造の採用により、支柱とターンテーブルが接触せず、振動の影響を最小限に抑える。この設計により、針先が捉えるレコードの音溝をより正確にトレースし、繊細なニュアンスまでも再現可能。 - オールインワン構造:ターンテーブル+アンプ+スピーカー
レコードプレーヤー、アンプ、スピーカーを一体化。 - 音楽と連動する照明
20色のカラーパレットを搭載。また、常時点灯する「ベーシックモード」、滑らかに光が移ろう「グラデーションモード」、音の波を光として捉える「リンクモード」の 3 種類を搭載し、空間をまさに蛍のように照らし出す。 - 高品位トーンアームと特別仕様カートリッジ
カーボンファイバー製ストレートトーンアームを採用。ブラックボディ特別仕様の カートリッジ「AT-VM740xML」を搭載。MM/MC カートリッジへの交換も可能。音質と柔軟性の両立を図る。



アナログの豊かさを取り戻す。Hotaruが象徴するラグジュアリーの本質
触覚・温度感・ゆらぎが生む感性価値
当サイトがHotaruの登場を歓迎する理由は、単に「かっこいい」「きれい」「話題性がある」というわけではない。
Hotaruからは、「時間の豊かさ」と「ラグジュアリー」という価値観が読み取れるためだ。
リビングや書斎、寝室——どこに置いても、Hotaru は光と音で、その場の空気を変える。
名作家具、あるいはアートのような存在である。
しかもアナログプレーヤーだからフィジカルな音楽体験を提供する。
針を置く、その瞬間。わずかな動作さえも、音と光のきらめきとともに空間を変えていく。
手間をかけて、時間をかける。サブスクでは得られない「触覚」「重み」「温度感」。
「もっと、アナログになっていく。」を体現する
Audio-Technicaは60周年を機に「もっと、アナログになっていく。」というメッセージを発した。
このメッセージは、単なる再生メディアの選択ではなく、人間の感性の在り方そのものを示している。
デジタルが均質な快適さを提供する一方で、アナログは「ゆらぎ」「手ざわり」「温かさ」といった、人の心身に響く要素を取り戻すための鍵となる。
Hotaruはさらに光という要素で視覚にも響く。
針を落とし、レコードが回り、光が揺れる。
浮かぶターンテーブルと照明、そしてスピーカーが視覚と聴覚に語りかけ、心に贅沢な時間と体験をもたらす。
Hotaruは「もっと、アナログになっていく。」を体現したオブジェ・ソノールである。

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LWL online 編集部