【スマートホーム/ホームオートメーション特集】CRESTRON×LUTRONで実現する「住まいの知性」──Home Automation Lab「COMFORCE」が示すホームオートメーションの最前線
fy7d(エフワイセブンディー)代表/遠藤義人
去る10月18日に6年ぶりに開催された第24回『Living Wellness in Luxury®』アフタヌーンパーティ。「AI時代のラグジュアリー・ウェルネスライフ」と題したあまたのプレゼンテーションの中で、来場者のもっとも注目を集めたもののひとつが、ホームオートメーションのデモンストレーションだった。本稿では、そのプログラムを担ったHome Automation Lab「COMFORCE(コンフォース)」株式会社に話を訊いた。
実は企業レベルの複雑なシステムだった! COMFORCEが担った高度統合プログラム
4ゾーンの映像・音響・照明を1台のタブレットで。AV over IPとブランド独自ソフトの共存という難題
まず話を聞いたのは、チーフプログラマーの松下優さん。
当日、会場を4つのエリアに分けて、映像と音声、照明を、ひとつのタブレットで一元制御するシステムをプログラミングした人物だ。
具体的にプログラムの相談があったのは、開催1ヶ月前だったという。
「4つのゾーンに分けて照明とオーディオ・ビジュアルを制御するもので、ざっとお話を聞いたところ2〜3日でできそうな印象でした。
それぞれのブランド機器がもともとスマートコントロールできるものなので。
ところが今回の会場では、それぞれのブランドさまも自社のソフトを使って独自のプレゼンテーションをできるようにしたいとのことで複雑になってしまいました。AV over IPが絡んでいたので…」
AV over IPとブランド独自ソフトの共存という難題
AV over IPとは、今回の場合、ホームオートメーションを司るCRESTRON(クレストロン)を主に使って、音と映像をIP(ネットワーク)変換し、宅内LANを通じてマルチモニタリングする(様々な場所に映像や音を配信する)システムのこと。
通常はそれをCRESTRON単体で行えばシンプルなのだが、その他のAVシステムのソフトウェアを尊重しながら行わねばならなかった点で特殊だったという。
「結局、ぎりぎりまで調整しました。本番は一発勝負ですし、わたし自身が操作するわけでもないので気を遣いました。
このようなプログラムで実際のお宅に導入することは今後ないと思いますが、とても勉強になりました」



第24回『Living Wellness in Luxury®』詳細レポート(中編)~インテリアとホームオートメーションが融合
ホームシアターからホームオートメーションへ──COMFORCEが向かう新たなステージ
従来のホームシアターインストールとは根本から異なる世界
広いワンルームで行われたイベントだったが、プログラムは企業に導入するレベルの内容だったと代表の前野憲一さんが言う。
「たくさんの部屋それぞれにモニターと音響システムがあり、別々のコンテンツを配信する。それらをPCひとつで操作できるシステムになっております。
コロナ禍を契機に増えた非接触型の会議システムがその例です。
これは、これまでのホームシアターのように、部屋がひとつに決まっていて、映像をテレビとプロジェクターで切り替えるだけというものとはまったく違います」


同社は、「ホームシアター工房名古屋」名義でホームシアターカスタムインストール(設計・施工)業務も古くから行っている。
従来よりホームシアターのシーンチェンジの手法としてホームオートメーションは行っていたが、今後はむしろホームオートメーションを主体に展開していきたいと意気込む。
ショールーム改装で体験価値を再構築
「クレストロンのホームオートメーションシステムを使えば、カーテンや照明の制御、床暖房・エアコン、給湯、電動シャッター、ガレージまわりなど家全体の弱電系を一枚のタブレットで制御できます。
また、LUTRON(ルートロン)を使った外光と照明の制御なども行えます。
来年にはそうした一連の仕組みの素晴らしさをもっとお客さまに実感していただけるように、ショールームもリニューアルする予定でおります。
顔認証でご予約のお客さまをご案内し、照明とともにホームシアターシステムやBGMでお迎えする…といったイメージを想定しております」




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COMFORCEの理念──Comfortable Spaceをつくる技術と思想
会社名の「COMFORCE」は、Comfortable Spaceをもとにした造語。
この名のとおり、これまでキャリアを重ねてきたホームシアターインストールもイエナカの空間全体を豊かにするホームオートメーションのひとつとして、大きな魅力を放つことになるだろう。

【スマートホーム/ホームオートメーション特集】スマートホームの“知性”を設計する──システムインテグレーター(SI)とは何者か?
コンフォース株式会社
愛知県名古屋市千種区千種3-35-8 HP吹上ビル5F
TEL:052-880-9996
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fy7d(エフワイセブンディー)代表
遠藤義人
ホームシアターのある暮らしをコンサルティングするfy7d(エフワイセブンディー)代表。ホームシアター専門誌「ホームシアター/Foyer(ホワイエ)」の編集長を経て独立、住宅・インテリアとの調和も考えたオーディオビジュアル記事の編集・執筆のほか、システムプランニングも行う。「LINN the learning journey to make better sound.」(編集、ステレオサウンド)、「聞いて聞いて!音と耳のはなし」(共著、福音館書店。読書感想文全国コンクール課題図書、福祉文化財推薦作品)など。