家の中で“寒さ”を我慢する時代は終わり。住まいの温度から考える冬の健康リスクと最新暖房の話

オーディオ&サブカルライター/杉浦みな子 

日本の冬は寒い。しかもそれは、屋外の話だけではない。日本の住宅は、家の中そのものが寒いのだ。リビングは暖かいのに、廊下や洗面所、浴室は冷え切っている──。そんな温度差のある暮らしが日常的だった。この事実に、どれだけの人が自覚的だろうか。日本の住宅が抱えるこの課題と、それを解決する最新暖房器具の潮流について考えてみたい。

冬の我が家は寒くて当然……ではない

先日、掃除機や暖房器具で有名な家電メーカーのダイソンが、マスコミ向けにひとつのリリースを発信した。内容は、「寒い住環境における健康リスクに着目し、日本独特の“部屋を暖めない”寒さ対策を見直す必要性」を説くものだ。 

そう、日本では長らく「冬は寒くて当たり前」という感覚が共有されてきた。しかし、テクノロジーが進化した今、必ずしも我慢し続ける必要はないのである。 

近年のラグジュアリー住宅や高級ホテルでは、「ウェルネス」のキーワードを重視している。単なるデザインや設備の豪華さではなく、室内の温度や空気環境を重要素として捉え、最新のスマートホーム技術でその快適性を担保する考え方になっているのだ。 

実際問題として、家の中で暖かい場所と寒い場所を行き来する生活は、身体に想像以上の負担をかける。とくに冬場に問題となるヒートショックは、温度差が大きい住環境で起こりやすい。これは高齢者だけの話ではなく、すべての世代にとって無関係ではないリスクである。 

ダイソンの発表によれば、大阪府内のリハビリテーション施設の高齢者を対象に調査を行ったところ、秋と比べて寒い冬の方がパフォーマンスが低下する傾向があり、特に握力や片足立ちテストの結果の悪化が見受けられたという(Hayashi Y, Schmidt SM, Malmgren Fänge A, Hoshi T, Ikaga T. Lower Physical Performance in Colder Seasons and Colder Houses: Evidence from a Field Study on Older People Living in the Community. Int J Environ Res Public Health. 2017 Jun 17. )。 

さらに、寒い家に住んでいる人は部分的に暖める暖房器具しか使用せず、家での活動範囲に限りがあることから、暖かい家に住んでいる人よりパフォーマンスが悪いことも分かっているという。 

このような身体的パフォーマンスの衰えは、最悪の場合、転倒等の事故に繋がり健康寿命を縮めるリスクを高める。少しでも長く健康寿命を保つことを考えるなら、冬場に部屋を暖めて快適性を保つことは大事な要素なのだ。 

最新の空調家電が、“暖かく快適な住まい”を後押し

実際に数字で見ても、アメリカやイギリスではリビングの平均室温が18度以上である一方、日本の2190世帯の平均室温を確認したところ、リビングが平均16.8度、脱衣所は13度、寝室は12.8度だったということが分かっているのだとか(Umishio W, Ikaga T, Fujino Y, Ando S, Kubo T, Nakajima Y, Hoshi T, Suzuki M, Kario K, Yoshimura T, Yoshino H, Murakami S. Disparities of indoor temperature in winter: A cross-sectional analysis of the Nationwide Smart Wellness Housing Survey in Japan. Indoor Air. 2020 Nov;30(6):1317-1328. )。 

世界保健機関(WHO)が「住まいと健康に関するガイドライン」で、冬の住宅は最低でも室温18度を保つことを推奨している中、上述の調査における対象世帯のうち9割が18度を下回っていたという結果には、日本人にとって「自宅の寒さ」がいかに無意識の日常となっているかが見受けられる。もちろんこれは見過ごして良い問題ではなく、高齢化社会の日本だからこそ改善していく必要がある。 

そう、「冬は寒くて当たり前」とか「少し我慢すればいい」といった感覚は、快適性だけでなく、健康の観点からも、見直す時期に来ている。特に今は、最新のスマートホームが備える空調設備や家電の進化が、その考え方を後押しする時代だ。 

「Dyson Hot+Cool™ HF1 remote link pre-heat ファンヒーター」

今回のプレスリリースを発表したダイソンも、まさに自社の空調家電で、常に空気と温度を快適に保つ提案をしている。同社のパワフルなファンヒーター「Dyson Hot+Cool™ HF1 remote link pre-heat ファンヒーター」は、独自のAir Multiplier™テクノロジーを搭載し、部屋全体を速くすみずみまで暖める工夫がなされている。 

本体にはLCDディスプレイが搭載されているため、常に室内の温度を目視できるのもポイント。さらに「自動温度制御機能」にも対応し、室内が設定温度を達成すると一時的に温風モードが停止してエネルギーを効率よく活用する。電気代が気になる昨今に嬉しい省エネ機能だ。

そのほか、アプリ連携により、帰宅中に室内を暖めておくことができるなど、常に室温18度をキープできるようなテクノロジーも搭載されている。 

これは、ラグジュアリー住宅の思想とも通じる機能性だ。「どこにいても、同じように心地よい」という均質さこそが、住まいの質を底上げする。目に見えるインテリアだけでなく、目に見えない空気や温度まで整えることは、これからの上質な住まいの条件のひとつとなっていくであろう。 

冬を快適に過ごすために、当たり前の工夫 

こういった最新の暖房器具を取り入れることは、決して過剰な贅沢ではない。それは、日々の体調管理のひとつであり、暮らしのストレスを減らすための選択だ。朝起きた瞬間に冷えを感じたり、夜に浴室へ向かうときに身構えたり……、そうした小さな不快や緊張が積み重なることで、冬は「疲れる季節」になってしまう。 

しかし暖かさが行き渡った空間は、身体だけでなく、気持ちにも余裕をもたらす。それは、「ラグジュアリー」という言葉が本質的に内包する「豊かさ」そのもの。室内の温度を快適に保つため、空調設備や暖房器具を整えることは、暮らしの質を高める工夫のひとつなのだ。住まいの豊かさを高める基準のひとつとして、「温度をデザインすること」が加わる時代になりつつある。 

  • オーディオ&サブカルライター

    杉浦みな子

    1983年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。在学時は映画研究会で映像制作に勤しみつつ、文芸評論家・福田和也教授に師事。2010年よりAV・家電メディアの編集/記者/ライターとして13年間従事し、音楽とコンシューマーエレクトロニクス系の分野を担当。2023年独立。音楽・オーディオ・家電から、歴史・カルチャーまで幅広いテーマで執筆中。実績はこちらから→https://sugiuraminako.edire.co/

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