「間(ま)の音」とは何か? カリモク家具とオーディオブランド OJASが紡ぐ空間体験スピーカー
オーディオ&サブカルライター/杉浦みな子
カリモク家具は、東京・西麻布の「KARIMOKU RESEARCH CENTER」にて、2026年2月21日(土)〜6月5日(金)までの間、「Survey 03:FORM FOLLOWS FEELINGS」と題した展示を開催する。ニューヨークを拠点に活躍するオーディオデザイナー・Devon Turnbull(デヴォン・ターンブル)と同氏が率いるオーディオブランド“OJAS”との協働で、音と空間の関係性を探求する特別なスピーカーが紹介される。テーマは「間の音 — Between Space & Sound —」。
“木とつくる幸せな暮らし”を追求する「KARIMOKU RESEARCH」
カリモク家具が運営する「KARIMOKU RESEARCH」は、家具の開発だけに留まらず、同社が長年培った木工への知見を活かした様々なものづくりを通じて、「木とつくる幸せな暮らし」というミッションを追求するプロジェクトだ。

異なる文化圏や時代、また業種など様々な人々が考える豊かな暮らしのあり方を見つめ直し、「木とつくる幸せな暮らし」について探求しながら、調査や開発という一連の過程を発信している。核となるのは「Survey=調査」の活動。長年培った技術とリサーチの成果を組み合わせ、多彩なパートナーと共創することで、家具にとどまらないアウトプットを生み出してきた。
そんなKARIMOKU RESEARCHが発表する4回目の「Survey」として展開されるのが、今回の展示だ。オーディオデザイナーのDevon Turnbullをリサーチャーに迎え、「機能とは何か?それは私たちをどう感じさせるのか?」という問いのもと、2025年より着手した共同プロジェクトの成果が発表される。
日本文化の「間(ま)」と音響哲学の接点
Devon氏はカリモク家具の工場を訪れた際に、自身の音響哲学と日本の木工技術の深い親和性を見出したという。

その成果として、本展では「間の音ー Between Space & Sound ー」By OJAS Tokyo and Karimoku Furnitureと題し、Devon氏が日本文化の「間(ま)」という概念と音響哲学の接点に見出した、空間と音の関係性を探求する。
日本文化における「間(ま)」とは、存在と存在の間に生まれる緊張と調和を意味する。そして音もまた、「間」なくしては存在し得ないものだ。音とは空気の振動であり、その振動が伝わる空間=間があって初めて、我々の感覚に届く。音源と聴き手の間、壁と壁の間、静寂と音の間。これらの「間」が適切に設計されることで、感情を揺さぶる音楽体験が形づくられるのだ。本展は、そんな異なる「間」の在り方を体験できる場として設けられる。
それは、スマートホームの思想とも重なるものだ。心地よい空間とは、単に物理的な広さや家具の配置だけで作られるものではない。音、光、空気の流れが「適切な間」を保ち、生活にゆとりと落ち着きを与えることで実現する。カリモク家具とOJASの取り組みは、まさにこうした五感で感じる居心地のよさを音の領域から可視化し、体験として届ける試みとも言えよう。
現地では、今回のプロジェクトから誕生した「Sanjo」「Rokujo」「Nurikabe」の3つのスピーカーに加え、同氏がデザインしたチェアシステム、そして3次元加工技術で木製化した大型ホーンスピーカーなどが展示される予定だ。 これまで合板を主材としてきた“OJAS”ブランドのスピーカーに、カリモク家具の精緻な技術が加わったことで、新たな音響表現と工芸的品質が結実した。


会場は全3フロアで構成され、1階「THE ARCHIVE」ではドットパターンの意匠を纏った茶室を模した空間「サウンドハウス」による瞑想的なリスニング体験を、2階「THE MATERIALS LAB」ではダイナミックな木製ホーンを備えたリスニングルームを展開し、地下1階「THE STUDY」では仕上げの違いがもたらす表現の変容を提示。
また、レコード店「春の雨」による選定販売や、雑誌「MJ無線と実験」のアーカイブ展示など、多角的なパートナーシップを通じてDevon氏の重層的な世界観が紐解かれていく。
<開催概要>
会期:2026年2月21日(土) ~ 6月5日(金)
会場:KARIMOKU RESEARCH CENTER (〒106-0031 東京都港区西麻布2丁目24-2)
営業時間:12:00 – 18:00
休館日:土・日曜(2月21日(土)は除く)、およびゴールデンウィーク(5月1日(金)~ 5月5日(火))
アクセス:東京メトロ表参道駅 A5番出口より徒歩10分
協力:株式会社ナイスカンパニー、嶋ゞ、誠文堂新光社、春の雨、堀井七茗園、WHITELIGHT
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オーディオ&サブカルライター
杉浦みな子
1983年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。在学時は映画研究会で映像制作に勤しみつつ、文芸評論家・福田和也教授に師事。2010年よりAV・家電メディアの編集/記者/ライターとして13年間従事し、音楽とコンシューマーエレクトロニクス系の分野を担当。2023年独立。音楽・オーディオ・家電から、歴史・カルチャーまで幅広いテーマで執筆中。実績はこちらから→https://sugiuraminako.edire.co/