HOMMA×たなべの杜、松江で始まる建築融合型スマートホーム

 取材/LWL online編集部

自然素材のぬくもり、庭とのつながり、そして光や風が整えられた住空間。その心地よさは建築だけで完結するものではない。いま求められているのは、住まいの意匠や素材感を損なうことなく、光や空気、温熱環境、安全性までを建築と一体で設計し、暮らしの質そのものを底上げしていく技術である。

たなべの杜が島根県松江市で実現した新たなモデルハウスは、自然素材のやさしさと建築融合型スマートホームが無理なく結びつくことで、家時間と生活体験の質をどこまで高められるのかを示す注目の事例だ。

自然素材の住まいに、知性はどう溶け込むのか

「スマートホーム」と聞いて、スマートフォンで照明を点ける、あるいはスピーカーに話しかけて空調を動かす光景を思い浮かべるなら、そのイメージはいったん脇に置いた方がいい。

LWL onlineが繰り返し語ってきたのは、家電やガジェットを便利に操作するための仕組みではない。光、空気、温度、動線、安全・安心、そして時間の流れまでを含めて、住まいそのものが知性と自律性を帯び、そこに暮らす人に先回りして環境を整えていくことだ。すなわちスマートホームとは、知性を宿した住まいのことである。

シリコンバレー発のスマートホーム企業HOMMAと、島根・松江で自然素材の住まいを手がけるたなべの杜が組んだ今回のモデルハウスは、そのあり方を端的に示す事例といえる。

西日本初、HOMMAを採用した松江のモデルハウス

島根県松江市西持田町に開設されたこの住まいは、HOMMAの建築統合型スマートホームシステムを採用した西日本初のモデルハウスとして、2026年2月7日にオープンした。

たなべの杜が大切にしてきたのは、木のぬくもり、庭とのつながり、そして日々の暮らしが自然と整っていく住空間である。このモデルハウスもまた、2LDKの木造住宅として計画され、光、風、素材、庭まで含めて「暮らしが自然と整う」体験を目指している。

単なる展示空間ではなく、住まいの時間そのものを体感するための場として設計されている点が印象的だ。

HOMMAが描く「建築統合型スマートホーム」という思想

LWL onlineではこれまでHOMMAを、後付けのIoTガジェット型スマートホームとは一線を画す、建築統合型スマートホームの担い手として追ってきた。HOMMAが掲げるのは、センサーや照明、シェード、空調、セキュリティを建築段階から統合し、住まい全体をひとつのHome OSとして成立させる思想である。

その思想のもとで実現されるのは、住まい手が都度操作する家ではなく、住まいのほうが人の動きや生活リズムに寄り添いながら、自律的に環境を整えていく家だ。

「操作しない家」「建築に内包された知性」というテーマが、HOMMAには通奏低音のように流れている。

人の動きを検知して照明が自動で作動する

自然素材の家づくりと先進技術が出会った背景

今回の協業の起点となったのは、2025年3月に山陰合同銀行が主催した「ごうぎんスタートアップフェス2025」だったという。たなべの杜が模索していたのは、従来型のモデルハウスの延長ではない、暮らしやすさと不動産価値の向上を両立する新しい住宅提案だった。

自然素材の家づくりに、建築とテクノロジーを融合させるHOMMAの思想が重なったことで、今回の導入が実現した。

ここで重要なのは、テクノロジーが自然素材の世界観を壊すのではなく、むしろその快適性や完成度を背後から支える存在として位置づけられていることだ。

庭と木と光で整える、たなべの杜らしい住空間

住まいの設計にも、たなべの杜らしい美意識が宿る。

モデルハウスは三面道路という敷地条件を生かし、建築計画に先立って外構と庭の設計からスタート。植栽とフェンスによって外部からの視線をやわらかく遮りながら、LDK、ウッドデッキ、庭がゆるやかにつながる構成が採られている。床材には無垢のナラ材を用い、造作の建具や収納、キッチンなども随所に取り入れることで、木の温度感と空間の一体感を丁寧に立ち上げた。

テクノロジーを前景化するのではなく、あくまで建築と素材の体験を主役に据える設計となっている。

Built-in Intelligenceが支える、操作に追われない暮らし

そこに組み合わされるHOMMAの「Built-in Intelligence」は、建築統合型スマートホームを具体化する仕組みだ。設計段階からセンサー、照明、シェード、空調、オートロックなどを一体的に計画し、建築そのものに知性を組み込んでいく。

人の動きを感知して照明が自動で点灯・消灯するハンズフリー機能や、自然光の移ろいに合わせて照明を時間帯ごとに調整するサーカディアンライティングなどが実装され、居住者はアプリの設定や音声指示に煩わされることなく、入居初日から整った環境を享受できる。

これはまさに、HOMMAが目指す「黒子のように空間を支えるテクノロジー」そのものだろう。

家時間の質を高める、自然素材と建築統合型スマートホームの融合

たなべの杜の河野潤氏は、この住まいを「忙しい日常の中でも、家にいる時間を心地よく整える住まい」をテーマに設計したと語る。

田部家の社有林の木や島根県産材を構造材として使用し、無垢材や塗り壁などの自然素材を随所に採用。動線計画や収納、光と風の取り入れ方まで丁寧に設計し、そこへHOMMAの照明・空調・防犯の統合制御を重ねることで、快適性、省エネ性、将来性を兼ね備えた住まいを実現したという。

スマートホームは、便利な操作を増やすためのものではない。住まい手が家に合わせるのではなく、住まいの側が人のリズムに寄り添いながら、光や空気、温熱環境を静かに整えていくものである。

その意味で、たなべの杜の新モデルハウスは、建築統合型スマートホームが自然素材のやさしさと調和しながら、家時間の質を高め、生活体験の質そのものを引き上げていくことを示した好例である。

木のぬくもり、庭とのつながり、光の移ろい、そして何も意識せずとも整う住環境。建築とテクノロジーが無理なく結びつくことで、この住まいは日々の暮らしを、より心地よく、より豊かなものへと導いている。

■ たなべの杜のモデルハウス概要

  • 所在地: 島根県松江市西持田町182-16
  • オープン日:2026年2月7日
  • 構造・規模:木造2階建て(延床面積 107.64㎡)

【導入機能】
自動照明・ハンズフリー機能:歩くだけで自動点灯
サーカディアンライティング:自然光に合わせて生活リズムを整える
カスタムライティング:シーンに応じて自在に光を調整 これらにより、入居者に手間なく洗練された光の空間を提供

株式会社 たなべの杜
• 
代表者:代表取締役 河野 潤
• 所在地:島根県松江市玉湯町湯町785-2
• 設立:2019年
•WEBサイト:https://www.tanabenomori.com/

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