髙島屋と龍村美術織物、ミラノデザインウィーク2026「フォーリサローネ」に共同出展。「CASA TATSUMURA」で帯の美をインテリアへ

 

髙島屋と龍村美術織物が、イタリア・ミラノで開催されるミラノデザインウィーク2026の「フォーリサローネ」に共同出展し、新たなインテリアコレクション「CASA TATSUMURA(カーサ タツムラ)」を発表する。会期は2026年4月21日から26日まで。会場は、ミラノ市内のMaurizio Baldassari Showroom。

今回披露されるのは、エントランスホール、リビングルーム、ダイニングルーム、ベッドルームを彩る全6種類のラインアップだ。髙島屋と龍村美術織物がともに手がけるオリジナルブランド「龍村錦帯」が2027年に100周年を迎えることを機に始動した、新たな取り組みとなる。

龍村錦帯100周年を前に始動する「CASA TATSUMURA」

今回の発表は、帯地の世界で培われてきた意匠を住空間へと展開する試みとして位置づけられる。

エントランスホール、リビングルーム、ダイニングルーム、ベッドルームという日々の居場所に、美術織物の華やぎと品格を持ち込むことで、和装にとどまらない新たな表現領域を切り開こうとしている。
ニュースとしてまず注目すべきは、髙島屋と龍村美術織物が、この挑戦の舞台としてミラノデザインウィークを選んだ点だろう。

世界のデザイン関係者が集まる場で、日本の工芸とインテリアの接点を問う構成になっている。

日本橋髙島屋 呉服売場

龍村平藏と髙島屋、百年を超える協業の系譜

この協業の背景には、きわめて長い時間をかけて築かれてきた関係がある。

龍村錦帯の起点は、1927年に初代・龍村平藏が髙島屋で開催した「第1回錦帯作品展」に遡る。
さらにその前史として、初代平藏は丸亀屋を経営していた叔父・田村太兵衛のもとで呉服と織物業を学び、1894年に18歳で京都にて独立。1898年には、太兵衛が初代大阪市長に選出されたことを契機に丸亀屋が閉じられ、髙島屋がそれを譲り受ける形で大阪へ進出した。
この大阪出店は髙島屋の飛躍の契機となり、平藏にとっても織物業拡大の好機になったという。こうして育まれた信頼関係の延長線上に、現在の「CASA TATSUMURA」がある。

「錦帯」と称する龍村屈指の帯地が髙島屋のみで扱われてきたことは、この関係の深さを象徴している。代々の龍村平藏と髙島屋が重ねてきた協業は、いま「帯」という身体に寄り添う工芸から「住まい」という空間へと表現の射程を広げつつある。

日本文化の継承が過去の形式を守ることだけでなく、新しい場へ移し替えることによっても成立しうることをこのプロジェクトは提示している。

川村明子氏とカリモク家具が支える、新たな空間表現

CASA TATSUMURAの総合プロデュース兼デザインには、東京と富山の二拠点で活動するEightablish Inc.のクリエイティブディレクター、川村明子氏を起用。川村氏はブランド全体の構想と、今回発表される家具群のデザインを手がける。

また、家具・照明器具の制作では、カリモク家具株式会社と株式会社ワイ・エス・エムが参画する。髙島屋と龍村美術織物は、カリモク家具の木工技術や素材を生かす姿勢が、CASA TATSUMURAの方向性と日本文化継承の考え方に適うと位置づけている。

織物を主役に据えながら、それを支える家具の構造や重厚感、ディテールをどう成立させるか。そこでは、単に伝統意匠を貼り付けるのではなく、美術織物の品格を損なわずに空間として成立させる設計力が問われる。
意匠、木工、照明、ブランディングがそれぞれ独立するのではなく、ひとつのインテリア体験として統合されている点に注目したい。

The An-Don

行燈、屏風、格天井。日本の美意識を現代の家具へ

デザインの核にあるのは日本美の二つの相貌だという。
ひとつは「禅」に象徴される静かなミニマリズム。もうひとつは、黄金のきらめきや躍動感をたたえた華やかな美。その両方を現代の方法で称えるという視点から、五代続く龍村平藏の織物意匠が、日本の伝統建築や家具の語彙と接続されている。

具体的には、「行燈」は和紙を通した柔らかな光と美術織物の鑑賞を両立させるフロアライトとして再構成され、「屏風」は可動性と機能性を備えた「移動可能なアート」として捉え直される。
さらに、日本建築において格式を担ってきた「格天井」の立体的な格子は、見上げるための意匠から、手元で愛でるテーブルへと翻訳された。伝統的な造形語彙をそのまま復元するのではなく、現代の住空間に適した家具へと置き換えていく「翻訳」がこのコレクションの見どころである。

帯は本来、身体に寄り添う工芸である。CASA TATSUMURAが示すのは、その美が住空間に入り込み、光や家具、室内の構成そのものと響き合う可能性である。

帯は本来、身体に寄り添う工芸である。CASA TATSUMURAが示すのは、その美が住空間に入り込み、光や家具、室内の構成そのものと響き合う可能性である。
和装の世界で磨かれてきた意匠、素材、技術を、現代のインテリアとしてどう生かすか。
ミラノという国際的なデザインの舞台で発表される今回のコレクションは、日本の工芸を過ぎ去った時代の保存対象ではなく、現在進行形の空間表現として世界に向けて提示する試みとして注目される。

The Byou-Bu
The Gou-Buchi high / low

出展概要

出展:株式会社髙島屋、株式会社龍村美術織物
出展期間:2026年4月21日〜4月26日
会場:Maurizio Baldassari Showroom
所在地:Via Solferino, 14, 20121 Milano
現地運営:Westerlies Inc.
家具・照明器具制作:カリモク家具株式会社、株式会社ワイ・エス・エム
総合プロデュース・広報:株式会社エイタブリッシュ

五代 龍村平藏(龍村育・1973〜)
四代龍村平藏の長男。代々の龍村平藏が和装の世界で培ってきた美意識、美的感覚、織り技術の素晴らしさを世界に広めるべく、「和の躍動 和の解放」を理念に、さまざまなクリエイターや職人と協業し、インテリアやアート作品として発表している。ディオール2025年フォールコレクションでは裂地が採用され、2026年にはCASA TATSUMURAを発表する。

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