ユナイテッドアローズが人型ロボットの服を開発。GMOと共同で「G1」専用ウェアを発表
取材/LWL online編集部
ユナイテッドアローズとGMO AI&ロボティクス商事は2026年10月20日、人型ロボット(ヒューマノイド)向けのオリジナルウェアを共同開発したと発表した。対象は中国Unitree Roboticsの人型ロボット「G1」。ジャケットやパンツ、Tシャツ、スカーフの4アイテムを展開する。
ファッションがロボットのある暮らしを変える。
ロボットの関節の可動域や排熱に配慮しながら、ファッションとしての美しさを追求した今回の取り組み。そこから見えてくるのは、ロボットの「装い」が新たなデザインの対象となり、やがて住空間の一部になっていく未来だ。
ユナイテッドアローズ、初の人型ロボット専用ウェアを開発
ロボットに服を着せる。その発想自体はシンプルだが、そこには人とロボットの新しい関係をデザインするという、興味深いテーマが隠されている。
日本を代表するセレクトショップブランドのひとつ、ユナイテッドアローズが、GMOインターネットグループのGMO AI&ロボティクス商事(以下、GMO AIR)と共同で開発したのがヒューマノイド専用のオリジナルウェアだ。
ユナイテッドアローズが人型ロボット向けのウェアを手がけるのは今回が初めて。GMO AIRが推進するヒューマノイドの社会実装に、ファッションブランドならではのデザインと服づくりの知見を取り入れた。
対象機種は、中国のロボットメーカーUnitree Roboticsが開発する「G1」。身長約132cmのコンパクトな人型ロボットで、柔軟に動く関節構造を備えている。
今回のウェアは、ジャケット、パンツ、Tシャツ、スカーフの4アイテムで構成されている。デザインには「ユニセックス」と「ユニフォーム」という考え方を取り入れ、ロボットに親しみや個性を与えながら、人と接する空間にもなじむ装いを追求した。

関節の可動域や排熱にも対応。人型ロボット「G1」のための服づくり
人間用の洋服を小さく仕立て直したのではなく、ロボットならではの身体構造に合わせて、服そのものを設計している点が目を引く。
ユナイテッドアローズのデザイナーとGMO AIRのロボットエンジニアは、実際にG1の機体を確認し、関節の動きや身体のバランス、排熱などを検証しながら開発を進めたという。
ヒューマノイドの関節は人間とは異なる角度で動き、モーターやギアへの衣服の巻き込みにも注意が必要になる。さらに、動作中の機体から生じる熱を逃がすため、通気性や放熱を考慮した構造も求められる。
そこで、ジャケットやパンツには裏地を省くなどの工夫を採用し、身体の動きを妨げない形状としながら、服として自然で美しいシルエットを目指した。
特にG1は、待機姿勢などで身体を大きく折りたたむことがあるため、上下がつながった服では動きに対応しにくい。ジャケットとパンツを分けたセットアップとすることで、この課題にも対応した。
カラーはG1のメタリックな質感と調和するライトグレーを選択。未来的なロボットの存在感を残しながらも、落ち着いたトーンでまとめている。

機械としての機能性と衣服としての審美性。今回のコラボレーションの意義は、この二つの要素を融合させているところにあるのだろう。
コンセプトは「HELLO G1」。服がロボットに親しみを与える
ユナイテッドアローズが公式サイトで公開した開発担当者へのインタビューでは、今回の取り組みの背景がより具体的に紹介されている。
開発にあたり、まず実際に動くG1を観察し、人間用のジャケットや子ども服を試着させるところから検討を開始したという。
開発チームが実感したのは服を着せるだけでロボットの印象が大きく変わるということ。金属のボディを持つロボットに洋服を着せると、それまで機械として認識されていた存在が、どこか親しみやすいものに見えてくる。この体験から生まれたコンセプトが「HELLO G1」なのだ。

デザインにはトラディショナルなファッションの要素を取り入れ、ワッペンやスカーフなどのディテールにもこだわった。ジャケットのボタンには貝を削り出したものをあえて採用するなど、服づくりの感性が息づいている。
また、ジャケットの背面には機体の取っ手にアクセスするためのファスナーを設け、袖口の形状やパンツのシルエットにも、機体の可動域や放熱を考慮した工夫を盛り込んだ。
人間のために培われてきたファッションデザインの技術が、新しい領域へと拡張し始めている。
ロボット共生住宅の未来。ヒューマノイドの外観もインテリアの一部に
住空間に溶け込むロボットの装いとは
さて、今回のニュースを住まいやインテリアという視点から考えてみたい。
現在、ヒューマノイドの開発では、歩行性能や作業能力、AIによる認識・判断能力など、主に技術的な性能が注目されている。しかし、ロボットが住宅やホテル、店舗など、人が日常的に過ごす空間に入ってくるとき、求められるのは機能だけではないだろう。
例えば、ラグジュアリーレジデンスのリビングに人型ロボットが存在する場合を考えてみたい。
家具や照明、建築素材が緻密に選定された空間に、金属製のヒューマノイドが置かれるとしたら、その外観はインテリア全体の印象にも影響を与える。
そこで、空間の色彩や素材に調和する服をまとい、住まいの世界観に溶け込むことができれば、ロボットは単なる機械設備とは異なる存在になり得るだろう。
たとえば、ラグジュアリーホテルのコンシェルジュロボットなら施設のブランドイメージに合わせた装い、住宅内の生活支援ロボットならインテリアに合わせた柔らかな色彩や素材感など、用途や空間に応じたデザインが求められる可能性もある。
家庭向けヒューマノイドの登場で変わる、人とロボットの関係
こうした動きと並行して、ヒューマノイドの活躍の場そのものも、家庭へと広がろうとしている。
中国の自動車大手・奇瑞汽車(Chery)傘下のAiMOGA Roboticsは、10月21日に家庭向けコンパニオンロボット「Mobo」を正式発表し、世界向けの予約受付を開始する予定だ。
MOBOは、音声対話や物体認識、スケジュールのリマインド、長期記憶などを活用し、家族とのコミュニケーションや日常生活を支援することを目指している。
工場や商業施設を中心に発展してきたヒューマノイドが、いよいよ家庭というプライベートな空間を視野に入れ始めているのだ。
そうなると、AIによる高度な生活支援機能に加え、ロボットが住まいの中でどのように存在し、人とどのような距離感でかかわってくるのかという、新たな課題も生まれてくるはずだ。そこでは、デザインという要素が重要になる。
もしかしたら、人とロボットが同じ空間で生活する未来には、ロボットの形状、表面の質感、色彩、動き方、さらには装いまでもが、建築家やインテリアデザイナーの検討対象になっていくのかもしれない。
もちろん、家庭内でのヒューマノイドの実用化には、安全性や自律動作、維持管理など、なお多くの課題がある。今回のユナイテッドアローズのウェアも、住宅向けに開発されたものではない。
それでも、ロボットを機械として設計するだけでなく、人とともに過ごす存在としてデザインするという考え方は、これからの「ロボット共生住宅」を考えるうえで示唆に富んでいる。
専用ウェアは10月20日から受付開始。販売ページは11月20日公開予定
今回のヒューマノイド向けウェアは、2026年10月20日18時からGMO AIRの問い合わせフォームで購入希望の受付を開始した。
販売は、GMO AIRが運営する「GMOヒューマノイド.shop」のほか、ポップアップなどのリアルイベントでも予定されている。販売ページの公開は11月20日を予定している。
人型ロボットがファッションをまとう時代。ユナイテッドアローズとGMO AIRの取り組みは、ヒューマノイドを機能や性能だけではなく、デザインや文化の側面から捉える新たな試みといえる。
AIやロボティクスの進化によって、人型ロボットが住宅の中で過ごす未来も現実味を帯び始めている。
そのとき、どのようなロボットが、どのような姿で私たちの住まいに存在するのか。
今回の「ロボットのための服」は、これからの住空間や暮らしのデザインを考える、新しい問いを投げかけている。
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