Bang & Olufsen Centennial Collection~100年の音と美が、いま再び響き合う~

 取材/LWL online編集部

1925年、デンマーク・ストルーアの小さな屋根裏部屋で、ふたりの青年技師、ピーター・バングとスヴェン・オルフセンがラジオを作り上げた。彼らが生み出したブランドBang & Olufsen(バング & オルフセン)は、“音をデザインする”という概念をこの世に刻みつけた。そして100年後のいま、Bang & Olufsenはその理念を現代に再定義する。特別限定モデルThe Centennial Collection「センテニアル・コレクション」。それは、音響技術とデザイン、クラフツマンシップと未来志向がひとつに溶け合う、ブランドの到達点だ。

DESIGN HERITAGE~ストルーアの屋根裏から、世界のデザインコードへ

1925年にパリで開催された「現代装飾美術・産業美術国際博覧会」。通称アール・デコ展とも呼ばれるように、当時のデザインの潮流だったアール・デコ様式が世界に示される博覧会であった。

しかし、モダニズム建築家であるル・コルビュジェは「エスプリ・ヌーヴォー館」でアール・デコの過剰な装飾性とはまったく異なる機能性を追求したモダンデザイン―否当時はまだモダンデザインという言葉すら認知されていなかったが―規格化された部材を用いて、量産可能な「新建築」の思想を前面に打ち出す。

1925年はアール・デコ様式が全盛を迎えるなか、ヨーロッパではモダニズムが胎動したメルクマールとなる年だった。

その年、デンマーク北西のストルーア近郊にある屋敷の屋根裏部屋で、ピーター・バングとスヴェン・オルフセンは最初のラジオ「The main receiver」を組み立てた。Bang & Olufsenが産声をあげた。

1927年には「Eliminator」で家庭用電源を直接ラジオに供給する技術を確立。1930年代には、バウハウス機能主義の影響を受けた「Hyperbo 5 RG」や、初の“Beo”の名を冠した「Beolit」を発表するなど、テクノロジーとデザインの融合を進化させていく。

Bang & Olufsenは、1950年代までにはオーディオにおけるモダニズムの代名詞的な存在となる。60年代以降、「Form follows Function」というモダニズムの理念を具現化したプロダクトを次々と発表する。

その流れを継いだヤコブ・イェンセン、デヴィッド・ルイスといったデザイナーたちが「Beogram 4000」や「BeoSound 9000」を生み出し、MoMAに永久保存される“機能美”を確立した。

100年を経た今もなお、その哲学は変わらない。

The Centennial Collection「センテニアル・コレクション」(100周年記念コレクション)

2025年10月、Bang & Olufsenは創業100周年を記念して、3つの代表作を現代の美学で再構築したThe Centennial Collection「センテニアル・コレクション」(100周年記念コレクション)を発表した。

それぞれBang & Olufsenのアイコニックなモデル、ワイヤレスヘッドホン「Beoplay H100」、ワイヤレススピーカー「Beosound A5」、「Beosound A9 5th Gen」を現代的に再解釈した。

各モデルにはアニバーサリーロゴ、【B&O Est. 1925】が刻み込まれ、創業者であるピーター・バングとスヴェン・オルフセンの理念である「何事にも挫折することなく最高の製品だけを作り出し、たゆまず新しい方法を探る意志」をオマージュしている。 妥協のないデザインとサウンドを追求した100年の歴史を体現するプロダクトであり、音響技術とデザイン、クラフツマンシップと未来志向がひとつに溶け合う、ブランドの到達点とも言えよう。

記念モデルにはアニバーサリーロゴ【B&O Est. 1925】が刻まれている

「The Centennial Collection(センテニアル・コレクション/100周年記念コレクション)」3モデルのラインアップと税込価格は以下のとおり。

・「Beoplay H100 Century Brown」:272,000円
・「Beosound A5 Century Weave」:233,000円
・「Beosound A9 Century Blue」:686,400円

Beoplay H100 Century Brown

革新のヘッドホンに宿る、北欧のクラフツマンシップ

Century RedとBlueをアクセントに使ったBeoplay H100

Beoplay H100 Century Brownはドルビーアトモスに最適化されたチタンドライバーと高度なノイズキャンセリング技術により、高次元なリスニング体験を実現。

デザイン面では「Century Red」「Chestnut Brown」「Century Blue」の3色アクセントを配し、レザーヘッドバンド/イヤーパッドという素材コンビネーションで、アーカイブのテイストを現代に継承。ナチュラルシルバー調のガラスインターフェイスにはアニバーサリーロゴが刻み込まれた。

素材、音、装着感、そのすべてが100年の経験を凝縮した“聴覚のジュエリー”である。

Beosound A5 Century Weave

手にする彫刻。ラフィア織とアルミが奏でる現代音響

カバーにベージュとChestnut Brownのペーパーラフィアを使用

Beosound A5 Century Weaveは1950年代の象徴的なチェック模様を現代に再構築した、ラフィア織のグリルデザイン。Bang & Olufsenの初期ラジオの質感を再現する。ベージュとChestnut Brownのコンビネーションが北欧の自然と温もりを象徴する。

音質面ではクラスDアンプを搭載。360度サウンドを実現するフルアクティブ・ドライバーシステムを搭載し、Wi-Fi / Bluetoothの両接続をサポート。ワイヤレス充電対応である。

Beosound A9 5th Generation

空間を奏でる円。音とデザインの究極的統合

「音楽のかたちとは何か?」

Bang & Olufsenの回答が円形のBeosound A9 5th Generationだ。

Kvadrat製Centennial Cadence(センテニアル ケイデンス)ファブリックによるCentury BlueとChestnut Brownのチェック柄グリル、ナチュラルアルミのフレーム、Century Blueの脚部が、オブジェのような存在感を放つ。7基のドライバーがDSP制御により立体的な音場を形成し、部屋全体を包み込むように再生。アクティブルームコンペンセーション(Active Room Compensation)が室内の音響をリ補正し、常に最適なバランスを維持する。

この“円”には、Bang & Olufsenが100年かけて追求してきた「音と形の調和」が宿る。まさに「Form follows function」である。

― 音は、時間を超える ―

創業から100年。戦争、資本危機、技術革新の波を乗り越えながら、Bang & Olufsenは常に“次の美”を見つめてきた。それは「テクノロジー」ではなく、「哲学」としての音づくり。センテニアル・コレクション」は、その軌跡を静かに祝福する─「音楽を聴くこと=オーディオ」そのものが、美であるということを。

Information

Bang & Olufsenは「INTO THE EMOTIONS ~感動の入口~」をコンセプトに10月31日(金)~11月9日(日)に開催される、DESIGNART TOKYO 2025(デザイナート トーキョー)に参加する。会場はBang & Olufsen 表参道店、日本橋店、六本木店。

BANG & OLUFSEN | DESIGNART TOKYO 2025

公式オンラインストア

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