「PIECE OF REST」──素材の“余白”に、人が憩う場を。

 取材/LWL online編集部

建材の端材を再生し、静寂のデザインへ。Cosentino × James Kaoru Buryが、建材端材を再構築し、素材の“余白”から人の安らぎを描くインスタレーション「PIECE OF REST」を、10月31日より開催されるDESIGNART TOKYO 2025でにて発表する。

Cosentino × James Kaoru Bury、建材端材に新たな命を吹き込むDESIGNART TOKYO 2025インスタレーション

スペインのグローバル建材メーカー Cosentino(コセンティーノ)は、デザイナー Cosentino × ames Kaoru Bury(ジェームズ カオル ビュリー/JAMES BURY DESIGN OFFICE代表)と協働し、端材に新たな命を吹き込むDESIGNART TOKYO 2025 出展インスタレーション「PIECE OF REST」を発表する。会期は2025年10月31日(木)から11月9日(日)まで。会場は南青山のCOSENTINO CITY TOKYO。

「PIECE OF REST」は、Cosentino(コセンティーノ)が扱う大判タイルやクォーツストーン、独自技術で加工された天然石などの生産工程で生じる端材に、新たな価値を与えることを狙ったインスタレーション。役目を終えた“残り”と、人が安らぐ“休息”という「Rest」の二面性をコンセプトに、素材と人との関係を結び直すことを目指す。

スペイン発の建材メーカーである同社は、世界各地の建築で使用される素材を開発してきた一方、切り出し後に残る端材が行き場を失う課題があった。本展はデザイナーの視点と同社のマテリアル技術を重ね、失われゆく素材を別様式へと昇華させる試みである。

空間を支えた石材の断片に「再び憩う」という願いを重ね、素材と人との関係を問い直す。

余白とは、廃棄ではなく、次の物語の始まりだ

展示では、工場で廃棄予定だった大判タイルのみを素材として採用。3mを超える大判原板からの切り出しで生じる大型の端材も含め、既存生産工程の“余白”を新たな素材と見立て、プロダクト・空間デザインの中で再構築することで、循環的な利用の可能性を示す。

加工は岐阜県の株式会社クリエストンが担当。大型設備による精密カットやトメ加工(45度カット)のための斜めカットに加え、石材加工で培われた職人の手作業による切削・研磨を実施した。大型設備による精密カットと職人の研磨技術が融合し、建材の“残余”を彫刻的な存在へと昇華させた。

そこには「ものを生かし切る」という倫理が静かに流れている。

派生作品として、水盤水盤作品『SATSUKI(サツキ)』」を展示。「ただ、眺めるための情緒的な洗面台があってもいいのではないか」、湖面をなでる風が生む穏やかな波の情景を切り取るという仮説から着想し、SPLINE DESIGN HUB(スプライン デザイン ハブ)と協働して自設計の装置を開発。水という自然物と最新技術を交差させ、静けさの中に生命感を感じさせる繊細な水の動きを再現した。

自然の情景を再現する

穏やかな水の動きが光を反射し、空間全体に生命の気配を漂わせる。

会期中の11月7日(金)18時からは、トーク&レセプションを開催。スペイン産スパークリングワインとピンチョスを片手に、デザイナーが語る“循環のデザイン”の思想に触れる機会となる。

James Kaoru Bury — 循環をデザインする思想家

James Kaoru Buryは、TOTOやHERS DESIGNで住宅設備・家電・生活雑貨のデザインを手がけた後、2020年に独立。2023年にJAMES BURY DESIGN OFFICEを設立した。市場調査から製造工程、スタイリングまでを包括的に捉え、ストレスフリーな生活文化と持続可能な事業の両立を追求する。多摩美術大学・武蔵野美術大学の非常勤講師としても活動中。

Cosentino — マテリアルの未来を描く

Cosentinoは、サステナブル素材の開発で世界をリードする建材メーカー。ハイブリッドミネラル鉱物表面材「Silestone」、超大判セラミック「Dekton」、天然石保護加工「Sensa」など、素材そのものを創造する技術で、建築とデザインの未来を切り拓いている。

「PIECE OF REST」は、Cosentinoの技術とBuryの思想が交差する“静寂のデザイン”の結晶だ。

■ 展示概要

  • 展示名:PIECE OF REST
  • 会期:2025年10月31日(木) – 11月9日(日)10:00 – 19:00
  • 会場:COSENTINO CITY TOKYO(東京都港区南青山6-4-14 イノックス青山)
  • トーク&レセプション:2025年11月7日(金)18:00~

https://www.cosentino.com/ja-jp

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    LWL online 編集部

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