LWLが提唱する“次世代スマートホームシアター”とは? サテライトイベント「The Luxury Smart Home Theater Experience」速報レポート
オーディオ&サブカルライター/杉浦みな子
2026年1月末、LWLがプロデュースする体験型サテライトイベント「The Luxury Smart Home Theater Experience」が、東京・南青山のIDEALビルで開催された。イベントのテーマは、“次世代スマートホームシアター”のあり方。音・映像・光といった要素が単なる設備として存在するのではなく、建築と一体となって存在するこれからのホームシアターの形を提唱するものだ。当日の内容をレポートしよう。
光・音・映像・建築がスマート化され融合するとき
LWLが掲げるコンセプトは、「ウェルネス×ラグジュアリー」。ここで言う「ラグジュアリー」とは、物質的な豊かさ・豪華さのことではなく、時間や空間にゆとりを持つ生き方、心身ともに満たされるウェルビーイングに繋がる生き方の形である。
そんな「ウェルネス×ラグジュアリー」な暮らしの実現に大きく関係しているのが、「住宅のスマート化」だ。AIテクノロジーが実現する最新のスマートホームが、生活に快適性を生むことは、そこに住まう人のウェルネスに直結する。次世代の住空間を語る際に、外せないポイントである。
今回のイベントは、そんな最新のスマートホームを形作る要素の中から、映像と音楽、そしてライティングコントロールにスポットを当て、「次世代スマートホームシアター」をテーマとして開催された。
舞台となったIDEALビルはそのテーマに沿った魅力を実践的に体感できる場である。
会場には、建築家・インテリアコーディネーター・デベロッパー・ハウスメーカーといった、住環境のプロフェッショナルを中心に約40名が参加し、盛況を博した。


冒頭の挨拶に立ったLWL代表・渡我部一成氏は、日本におけるスマートホーム普及の現状とこれからの展望について語った。

「“スマートホーム”はすでに馴染みのある言葉だと思いますが、実際に日本でのスマートホーム普及率は欧米に比べてかなり低い。認知率と普及率のギャップが大きいんです。海外ではスマートホームを活用してウェルネスを高める概念がすでに広がっていますが、日本のスマートホームは単なる設備にとどまっている現状です。
LWLとしては、建築とテクノロジーが融合した最新のスマートホームが、人々にどういう体験価値を提供できるかという視点で情報をお届けしたい。今回のテーマは“スマートホームシアター”。光と音と映像がスマート化され建築と融合した時、そこに住まう人のウェルビーイングを左右するウェルネス空間として作用するでしょう」
なお、本イベントの開催場所であるIDEALビル自体が、かなりこだわった造りの建築であることもポイントだ。1階は英国のライフスタイルブランド「Tom Dixon.」のショップ「TOM DIXON TOKYO」、3階はヴィンテージ家具とホームシアターを扱う「IDEAL TOKYO」、そして4階には、なんと能舞台が設けられている。続いては「IDEAL TOKYO」の代表である分林実芳子氏が登場し、ビルを代表してその丹精な空間を紹介した。




IDEALビルは中村拓志&NAP建築設計事務所が設計を担った建築。随所にアート作品も散りばめられ、多くの刺激が得られる場となっている。



スマートホームの現在地
渡我部氏と分林氏の冒頭挨拶に続いては、最新のスマートホーム技術やスマートホームシアター機器を手掛ける企業5社によるプレゼンが行われた。

最初に登場したのは、スマートホームシステムを手掛けるHanamura。
「インテリア × スマートホーム × AI」で、快適で賢い暮らしを実現することをコンセプトとする同社は、スマートホームの現在地について解説した。15年以上この分野に携わってきた立場から、「まだ十分に普及しているとは言えない」と率直に語る一方で、その質的変化にも触れた。かつてのスマートホームは、複雑な設備を管理するものだったが、現在はようやくセンサーやオートメーションを活用し、住まう人に合わせた環境を自動で呼び出せる存在へと進化している。

続いて登場したStressless®は、ノルウェー生まれのリクライニングチェアブランド、エコーネスの哲学を紹介。
「人生に静かな力を与える存在でありたい」という言葉どおり、そのチェアは座った瞬間に違いがわかる快適性が特徴だ。すべてノルウェー国内で生産され、10〜20年と長く使われる製品となっている。会場には、無重力ポジションが特徴の「アダム」、30年以上愛され続けるロングセラーモデル「レノ」、ボリューム感のあるクッションが魅力の「マジック」の3脚が設置され、スマートホームシアター体験を身体側から支えていた。

EPSONは時計製造に端を発する精密技術の歴史からブランドを紹介。
電子技術、約40年にわたるプロジェクター事業の蓄積が、現在の映像表現につながっていること、そしてイベントのテーマ“スマートホームシアター”の軸となる、ハイエンドプロジェクター「EH-QL3000」を説明。レーザー光源による6000ルーメンの高輝度と優れた色再現性、そして交換式レンズによる高い設置性が特長で、暗室での映画鑑賞だけでなく、リビングなどの明るい空間やパーティーシーンにも対応できる柔軟性は、ホームからビジネスまで幅広い現場で培われた技術力の賜物である。

英国のオーディオブランド・KEFは住空間における音の重要性を改めて言語化した。
「目に見える美しさには10分で慣れるが、不快な音は24時間ストレスを与え続ける」というジュリアン・トレジャーのTEDトークを引用し、良い音が空間体験そのものの質を向上させることを改めて強調。建築の設計段階からより良いサウンド環境を組み込むことが、結果的に施主の満足度を高めることに加え、KEFの埋め込みスピーカーによるホームシアタープランなど、建築と音の関係性を多角的に示した。

最後に登壇したLutronは、1959年に電子式調光器が発明されたことから始まる調光とブランドの歴史を紹介。美しいデザインと高い品質を両立させた照明制御は、もはや裏方ではない。昨年登場した新しい「HomeWorks」シリーズは、ラグジュアリー住宅に特化した設備として、照明に加えて、シェードやブラインドなどの窓廻り、さらに空調をコントロールする。まさにスマートホームの真打ちと言っても良い。また、インテリアに溶け込む美しいデザインのキーパッドのラインアップが豊富である。
さらに、照明デザイナーの武石正宣氏と、ルートロンアスカ株式会社の谷崎宗孝氏によるスペシャルトークセッションも行われた。テーマは、「スマートライティングからスマートホームへ」。これまでに武石氏が手がけた調光、照明デザインの様々なケーススタディが紹介された。

次世代スマートホームシアターやオーディオを実体験
プレゼンテーションが終了すると、いよいよ参加者が最新のスマートホームシアターを体験できる「IDEALビルツアー」が開催された。

3階の「IDEAL TOKYO」には、 ルーム・イン・ルームでガラス張りのオーディオ&シアタールームがある。ここで巨大な180インチの「サウンドスクリーン」とともにデフォルト設置されているのが、エプソンのハイエンドプロジェクター「EH-QL3000」。用意されたタブレットのメニューをワンタッチするだけで、ルーム内の照明・映像・音響を制御できるスマートホームシアター体験が実現した。


一方、1階の「TOM DIXON TOKYO」には、KEFの同軸Uni-Qドライバー搭載スピーカー各種が設置されている。本イベントでは、その中からトールボーイ型の「LS60 Wireless」をフィーチャーし、「Sound & Light in Harmony 〜音と光がつくる、心地良い空間」と題した試聴デモを実施。

白い照明(寒色)とオレンジの照明(暖色)、それぞれが灯った状態で同じ音楽を鳴らすと、ライトの色によって音楽の聴こえ方・印象が変化することを味わった。


さらに今回は、特別に4階にある能舞台も見学可能となった。足を踏み入れると、大きな能舞台の向かいには松の木が植えられ、「鏡の松」の実体を作り上げるという見事な空間が広がる。


そして催しの最後は、地下フロアで懇親会が開催された。今回の体験を通して感じたこと、印象に残った空間や音、光について、参加者同士が自然と語り合う場となり、イベント全体の余韻を深めていく。
音・映像・光、そして建築……それらの要素が重なり合ったスマートホームシアター体験が共有された1日は、大盛況のうちに幕を閉じた。





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オーディオ&サブカルライター
杉浦みな子
1983年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。在学時は映画研究会で映像制作に勤しみつつ、文芸評論家・福田和也教授に師事。2010年よりAV・家電メディアの編集/記者/ライターとして13年間従事し、音楽とコンシューマーエレクトロニクス系の分野を担当。2023年独立。音楽・オーディオ・家電から、歴史・カルチャーまで幅広いテーマで執筆中。実績はこちらから→https://sugiuraminako.edire.co/