第24回『Living Wellness in Luxury®』詳細レポート(中編)~インテリアとホームオートメーションが融合

fy7d(エフワイセブンディー)代表/遠藤義人 

コロナ禍による中断を経て6年ぶりの『Living Wellness in Luxury®』(LWL)イベントが、2025年10月18日に、東京・赤坂のHIDEO(ハイデオ)TOKYOショールームで開催。本稿ではその詳細レポート第2弾をお届けする。

第24回『Living Wellness in Luxury®』詳細レポート(前編)~上質なインテリアが五感を刺激

アナログとは、人間中心の考え方~オーディオテクニカ「Hotaru」

オーディオテクニカは、村上氏が登壇。

オーディオテクニカの村上氏

まず、オーディオテクニカが、1962年に東京・新宿の小さなアパートでカートリッジ(レコード針)を製造しはじめた日本のブランドであることを紹介。その際も、カートリッジを「レコードの溝をなぞる部品」として、オーディオマニアでない来場者にもわかりやすい解説で始まった。

「いまやデジタルストリーミングの時代になっていますが、アナログが見直されております。アナログという概念には、オーディオに限らず『人間の感性・人間らしさこそが豊かさの根源である』という人間中心の考え方があり、弊社もそうした理念に基づいてこれまで日本の文化として育んでまいりました」

続いて、世界でも数少ないトランスデューサー(変換器。音声を電気信号に変換するカートリッジ=レコード針やマイク、電気信号を音声に変換するヘッドホンなど)を世に送り続けているメーカーであることを紹介。60年以上にわたり、家庭用だけでなく、音声を大切にする世界的な数々のイベントでマイクロホンを中心としたプロ用途にも信頼の製品を生み出し続けてきたことをアピールした。

プレゼンテーションのスライドでは、カートリッジとともにヘッドホンも紹介され、なかでも日本国内の希少な木材を使って国内の成瀬工場で製造した木製ハウジングを使ったモデルの数々を紹介した。

今回展示されたオールインワン・ターンテーブル「Hotaru」は、オーディオテクニカのアナログ思想のまさに象徴であり、浮遊するターンテーブルに載せられたアナログレコードのサウンドと戯れるように煌めく光のマリアージュが、人のアナログ的な感性を刺激する逸品だ。

レコードを載せるアクリル製のターンテーブル部分は、ベースのモーター駆動部から磁力の反発を利用して浮いており、ベース部分に内蔵されたスピーカーからの振動の影響を受けない設計。

また、3ブロックに分かれたLEDの光が、20種類のカラーパレットから音楽に合わせてリアルタイムに選ばれ、空間を演出。圧倒的な存在感を放ちながらインテリアを上質に彩り、音質にも最大限配慮している。

アナログ的な価値としての「再現の一回性」を想起させる「Hotaru」は4月のミラノデザインウィーク2025で発表されるや海外で話題になり、「A’ Design Award & Competition 2025」においてAudio and Sound Equipment Designカテゴリー最高峰の『プラチナ賞』を受賞した。

今回は2台設置され、ホームオートメーションとも連携して設置した場所以外のエリアでもレコードの音を聴くことができるようインスタレーションされていた。

ホームオートメーションのハイエンドブランド~「CRESTRON」

アルテック株式会社の山根氏が登壇。同社は1976年創業の東証スタンダード市場に上場している輸入商社で、アメリカで50年以上の歴史を持つスマートホームシステムCRESTRON(クレストロン)の日本総代理店だ。

アルテック株式会社の山根氏

「CRESTRONは、ホワイトハウス、五つ星ホテル、超高級住宅などで採用されているホームオートメーションシステムです。照明、カーテン、音楽、映像、空調といった住宅設備をひとつのアプリで直感的にコントロールできます。しかも、複雑な操作は不要で、ワンタッチでシーンが立ち上がり、空間全体が理想の状態に切り替わります。ひとことで言えば、『すべてが思い通りになる家』が実現できるのです」

概要説明に続き、CRESTRON HOMEで何ができるのかについてムービーを上映。スマートフォンやタブレットのみならず、タッチパネル、キーパッドなど様々なデバイスから、わかりやすいユーザーインターフェイスで、家や空間全体を直感的にコントロールできることをアピールした。

その後、システムの背景にある基本構成を説明。「インターフェースからの入力信号が心臓部でコントロールされ、各機器と連携して、照明、カーテン、ブラインド、空調、ビデオ、オーディオ、セキュリティ、プール・スパを制御いたします。これらをひとつのアプリ、ひとつのボタンで直感的に操作できます。 複雑な操作が不要で、ワンタッチでシーンが立ち上がり、空間全体が理想の明かるさになります」として、シーンの映像を流し、スマートホームを導入した休日の家での一日が紹介された。

「皆さんの休日の一日のルーティーンを想像していただきたいのですが、夜明けとともにカーテンが開き、柔らかい日差しが差し込みます。朝風呂ではお湯の温度が予め最適に調整されており、爽やかな朝を演出しました。昼間は、リビングではエンタテインメント、子どもたちはストリーミングミュージックを聴いたりゲームをしたりとそれぞれの時間を過ごします。夜になるとシアターモードに切り替わり、家族そろって映画鑑賞します」

その後、会場の展示を活用して実際にホームオートメーションのデモンストレーションを敢行。朝、昼、夕方、夜、就寝時の照明演出と、「大型テレビREGZAのあるゾーン」「プロジェクターのあるゾーン」「レコードプレーヤーHotaruが置かれたゾーン」毎に映像や音楽の配信が行われた。ちなみに、離れたゾーンに置かれたアナログプレーヤーHotaruの音が、ネットワークを通じて、別のゾーンのSonosスピーカーで再生されるといったことも可能だった。

ネットワークを通じてTVのあるステージ周りとプロジェクターエリアで映像を投影。また、Hotaruのあるエリアにあるレコードプレーヤーの音をネットワーク経由で流し出している
Sonosスピーカーは独自のアプリでも動作するがCRESTRONとも連携する
CRESTRONのコントローラーなどの機器は一括収納されている。離れたプロジェクターエリアでBlu-rayを流すこともできる
今回のデモンストレーションで制作したUI画面。制作はCRESTRONディーラーのコンフォースが担った
ワンタッチでシーンを切り替えることができる。今回はデモンストレーション用として「Circadian Rhythm(サーカディアンリズム)」ボタンをつくり、1日の照明シーンを1分間で体感できるようにした

ワンタッチでシーンチェンジ。ホームオートメーション3大ブランドを扱う~「Hanamura」

続いてHanamuraの代表・花村勇氏が登壇。

CRESTRONによるホームオートメーションのプレゼンテーションやデモンストレーションの後を受け、Hanamuraの事業の柱であり、今回のLWLのテーマでもあるスマートホームについて「先ほどたっぷりスマートホームについてお話いただいたので、わたしからは3点だけお話をさせていただきたいと思います」として次のように語った。

「(1)いままでのスマートホームは、照明や空調、テレビ、窓周り、インターホン、電子錠、カメラ、ガレージ、シャッター、浴室といった施設の個々の設備を遠隔で動かすものでした。しかし現在のスマートホームは、予め設定した「シーン」をたったひとつのトリガーとして、その場に合った環境を実現します。例えば、「おはよう」というシーンですと、カーテンが自動的に開いて朝の光が入ってきて、室温調整ができるようになり、爽やかな音楽が鳴っているといった環境に変わります。こういうのを一つの「シーン」で呼び出す。「リラックス」「お出かけ」「お帰り」といった「シーン」を、ひとつのタッチでできるようになりました。

もっと進むと、オートモードというものがあります。部屋や窓廻りなどに置かれた温度・湿度センサー、人感センサーで、自動的に切り替えることができるようになっています」

「(2)忘れていけないのが、ホームオートメーションは目に見えないということです。目に見えるのは、スマートフォンやタッチパネル。最近は上質でデザインに優れたタッチパネルも登場してまいりました」

「スマートフォンやタッチパネルのユーザーインターフェイス(UI)にもこだわっております。お客様のお宅や間取りを反映したオーダーメイドのインターフェイスにすることができます」

「(3)Hanamuraでは、さきほどプレゼンテーションがあったCRESTRONのほか、LUTRON(ルートロン)やKNX(ケーエヌエックス)を含む世界3大ブランドを取り扱っており、お客様のご要望に応じたホームオートメーションを構築できます」

花村氏は、「弊社は西新宿のリビングデザインセンターOZONEにショールームを構えております。ご興味持たれました方はぜひご来場下さい」とアピールした。

Hanamura Smart Home

GLAS LUCE × SmartHome ショールーム

会場では、家具に収納できるリフト式テレビ「Nexus21(ネクサス21)」を使い、来場者にホームオートメーションやミラーディスプレイ「GLAS LUCE(グラスルーチェ)」などを案内していた。

GLAS LUCE × Smart Homeショールーム紹介記事

  • fy7d(エフワイセブンディー)代表

    遠藤義人

    ホームシアターのある暮らしをコンサルティングするfy7d(エフワイセブンディー)代表。ホームシアター専門誌「ホームシアター/Foyer(ホワイエ)」の編集長を経て独立、住宅・インテリアとの調和も考えたオーディオビジュアル記事の編集・執筆のほか、システムプランニングも行う。「LINN the learning journey to make better sound.」(編集、ステレオサウンド)、「聞いて聞いて!音と耳のはなし」(共著、福音館書店。読書感想文全国コンクール課題図書、福祉文化財推薦作品)など。

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