北欧デザインの金字塔──「織田コレクション ハンス・ウェグナー展」渋谷ヒカリエで開幕

「椅子の巨匠」ハンス・ウェグナー──500脚を生んだ思想をたどる

長い冬を室内で過ごす北欧の暮らしでは、「住空間の居心地」が文化そのものといってよいほど重視される。中でも、デンマークの人々が最も大切にするのが“自分だけの椅子”である。

本展は、椅子の設計を生涯の中心に置き、500脚以上の名作を生み出した家具デザイナー ハンス・ウェグナーの思想と創造性を体感できる国内最大級の回顧展。
世界各地で愛される名作群を、豊富な資料とともに体系的に振り返る貴重な機会となる。

姿勢を整え、呼吸を深め、日常に静けさを宿す──ウェグナーが追い求めた椅子の在り方は、現代のウェルネスな空間づくりにも通じる。

本展の核となる“織田コレクション”とは

本展の中心をなすのは、家具史研究家であり、東海大学名誉教授の織田憲嗣氏が長年にわたり蒐集・研究してきた「織田コレクション」。
北欧家具の体系的な研究アーカイブとして世界的評価を受けるコレクションであり、本展ではその膨大な資料とともにウェグナー作品の真価を紐解く。

織田氏によるインタビュー映像も公開され、研究者の視点からウェグナーの美学に迫る。

クリス智子、下田結花ほか──ウェグナーを愛する人々のメッセージ

開幕を記念して、ウェグナーの椅子を愛する著名人からメッセージが寄せられている。

ラジオパーソナリティ クリス智子さんは「椅子は、やさしさのカタチをしている」と語る。椅子がそこにあるだけで「どうぞ」と語りかけるようだという感想は、ウェグナーが掲げた“人を受け止める椅子”という思想に通底する。

「モダンリビング」元編集長の下田結花さんは、2003年に北海道・東川町の織田邸を初訪問した際、織田氏の「天才のファン・ユール、秀才のウェグナー」という2時間に及ぶ講義が忘れられないと述懐する。

家具モデラー 濱田由一さんは、ウェグナー邸を訪れた際、模型を手渡したところ「これは模型ではない。本物だ」と告げられたという。ウェグナーが“椅子の本質”をどれほど追求していたかを物語る印象的なエピソードだ。

全文は公式サイトで公開されている。

名作椅子とともに味わう、北欧コーヒー

会場では、デンマークのスペシャルティコーヒー「The Coffee Collective」を提供するポップアップスタンド「PNB Coffee」がオープン。本格的な北欧コーヒーの香りとともに、デザイン体験をより深く堪能できる。

日常に寄り添う椅子を考える上で、コーヒーは欠かせない存在。北欧の暮らしのリズムまで感じられる演出だ。

限定モデルが登場──“生活に迎えたい”ウェグナーの家具

会場では、憧れのウェグナー家具の購入も可能。限定色・限定仕様の特別モデルが登場する。

PP Møbler
PP503 ザ・チェア　オーク／ヌバックレザー
価格：1,205,600円（税込）／限定10脚

ウェグナーの代表作を、スモークドオーク仕様で仕上げたミュージアムエディション。卓越した職人技を体感できる一脚だ。

Carl Hansen & Søn
CH24〈Yチェア〉 ビーチ／ナチュラルペーパーコード
価格：110,000円（税込）／限定100脚（先行販売） 織田憲嗣氏の考察を基に、“ウェグナーにとって大切な色＝赤”を着想源に特別カラーを開発。先行特典として、織田氏サイン入りトートバッグが付属する。

世田谷美術館「つぐ minä perhonen」展との相互割引

同期間に世田谷美術館で開催される「つぐ minä perhonen」展との相互割引も実施。双方の半券提示で割引料金が適用される。 北欧家具とminä perhonen。素材と工芸への深い敬意を共有する2つの展覧会を、セットで鑑賞することで“暮らしの文化”の立体的理解が深まる。

開催概要

• 展覧会名: 織田コレクション ハンス・ウェグナー展 至高のクラフツマンシップ
• 会場: ヒカリエホール（渋谷ヒカリエ9F）
• 会期: 2025年12月2日（火）〜2026年1月18日（日）
• 休館日: 12月9日（火）、1月1日（木・祝）
• 開館時間: 10:00〜19:00（最終入場18:30）
  　※12月31日は18:00（最終入場17:30）
• 主催: Bunkamura
• 協力: 北海道東川町、織田コレクション協力会、PP Møbler、Carl Hansen & Søn ほか
• 問い合わせ: 050-5541-8600（ハローダイヤル）
• 公式HP: https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/25_wegner/