北欧と日本の美意識が交差する場所──FRAMAがVacant/Centreで描く、空間としてのデザイン体験
取材/LWL online編集部
北欧と日本──地理的には遠く離れながらも、インテリアや空間に対する感覚には、驚くほど近いものがある。過剰な装飾よりも素材の質を尊び、時間とともに深まる表情を愛し、空間に「余白」を残すことを美徳とする姿勢。北欧モダニズムと日本の住文化は、静けさの中に豊かさを見出すという点で、同じ方向を向いてきた。その共通感覚を、現代的なデザイン言語で可視化する試みが、東京・渋谷の Vacant/Centre に現れている。
FRAMAがVacant/Centreで提示する、空間・プロダクト・感覚のインスタレーション
デンマーク・コペンハーゲンを拠点とするデザインスタジオFRAMAの展覧会「FRAMA VISITS VACANT」が、東京・渋谷のVacant/Centreにて開催されている。
本展は、家具やライフスタイルオブジェクト、セルフケア、フレグランスに至るまで、FRAMAのプロダクトラインを「展示物」としてではなく、「空間体験」として提示するインスタレーションだ。
Vacant/Centreのギャラリースペース全体を用い、プロダクトと空間が一体化した構成によって、FRAMAが一貫して追求してきた素材感、簡潔な幾何学、そして時間を超える普遍性が、身体感覚として立ち上がる。
展示されている家具はすべてオーダー可能で、日本では実際に触れる機会の少ないプロダクトを体感できる、貴重な場となっている。


家具は「モノ」ではなく、環境の一部として存在する
本展に並ぶ「Ratio Side Table」や「Farmhouse Trestle Table」などの家具はいずれも、過度な主張を排しながら、空間の重心を静かに定める存在だ。
FRAMAの家具は、機能や造形美を超えて、空間におけるリズムや余白の質を調整する役割を担う。Vacant/Centreという「場」の文脈に置かれることで、それらは単体のプロダクトから、生活環境を構成する「構造要素」へと変容する。
会期中は、Vacant/Centre内のストアスペースにて、VacantオリジナルのVacant/Multipleや過去展示作家の作品に加え、FRAMAの各種プロダクトも販売されている。
継続的な協働が生む、文化的な往復運動
本展は、2025年にコペンハーゲンのFRAMA Studio Storeで開催された「VACANT VISITS FRAMA “Unwrapped”」をはじめ、FRAMA本店セルフケアセクションの照明デザイン、FRAMA渋谷PARCO店のユニフォーム制作など、FRAMAとVacantによる継続的な協働の延長線上に位置づけられる。
FRAMAが育んできた北欧のクラフトマンシップと、Vacantが探求する「場づくり(Placemaking)」の思想。両者の対話は、一過性の展示にとどまらず、文化が場所を行き交うプロセスそのものを可視化している。

©2026 FRAMA/Vacant

©2026 FRAMA/Vacant

©2026 FRAMA/Vacant

©2026 FRAMA/Vacant
Exhibition Information
FRAMA VISITS VACANT
会期:2026年1月18日(日)– 2月16日(月)
開廊日:金–月
時間:13:00–18:00
会場:Vacant/Centre(東京都渋谷区元代々木町27-6)
https://www.vacant.vc/page/centre/framavisitsvacant
デザインが「プロダクト」を超え、「場」として立ち上がる瞬間。
北欧と東京、クラフトと空間思想が交差するこのインスタレーションは、LWL onlineが注目する「暮らしの質を更新するデザイン体験」そのものと言えるだろう。
FRAMA
2011年、デンマーク・コペンハーゲンで創立。
クリエイティブディレクター・Niels Strøyer Christophersen を中心に、家具・照明・フレグランスなどのプロダクトデザインやインテリアの設計など、マテリアル、シンプルな幾何学、普遍的な美しさにフォーカスし、ライフスタイルにまつわるデザインやプロデュースを行うデザインスタジオ。
https://framacph.com
https://www.instagram.com/framacph
Vacant
Vacantは、永井祐介によって設立されたクリエイティブ・プラクティス。〈文化空間学/Cultural Placeology〉という独自のコンセプトを軸に、文化を介して「空間」が「場」へと変わるプロセスを探求する。活動は、Centre(空間)/Multiple(プロダクト)/Works(その他)の3領域を横断し、多様な〈場づくり/Placemaking〉を実践。特にCentreでの展示では、作品と観る人が場を共有し、新たな文化的循環の「きっかけ」となる体験を生み出している。
https://www.vacant.vc
https://www.instagram.com/vacant.vc
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取材
LWL online 編集部