Molteni&C新コレクションが日本発売。MONK復刻と新作家具が描く、ミラノ発ラグジュアリーインテリアの現在地

 取材/LWL online編集部

1934年創業のイタリアを代表する総合インテリアブランド、Molteni&C。その2025コレクションが、2026年4月1日より日本国内で発売された。ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセン監修のもと、ミラノという都市の記憶とブランドアーカイブを現代の住空間へと引き寄せた今回の新作群は、家具を単体のプロダクトではなく、空間の空気や時間まで整える存在としてあらためて提示している。

ミラノの記憶を、現代の住空間へ。Molteni&C 2025コレクションの視座

イタリアンモダンを語るうえで、Molteni&Cは欠かすことのできない存在である。1934年創業。
収納をはじめとする高度な木工技術を礎に、家具、キッチン、インテリア全体へと領域を拡張しながら、住空間そのものの美意識を磨き続けてきた、イタリア屈指の総合インテリアブランドだ。

ベルギーの建築家ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンをクリエイティブディレクターに迎えて以降は、その静謐で建築的な視線がいっそう鮮明になり、家具を単体の造形物としてではなく、空間の空気や所作まで含めて編集するブランドとして存在感を高めている。

Molteni&Cの「2025コレクション」が、2026年4月1日より日本国内で発売された。
2025年のミラノサローネで発表されたこのコレクションは、ミラノという都市への深い敬意を起点としながら、ブランドのアーカイブを丹念に掘り起こし、歴史的な展示やプロジェクトを現代の住空間へと再解釈したものだ。今回のコレクションで印象的なのは、単に新作を並べるのではなく、過去と現在、記憶と更新、その両方を静かに交差させている点である。
1970〜80年代にかけて築かれたMolteni&Cの造形言語を参照しつつ、それをノスタルジーに回収するのではなく、いまのライフスタイルにふさわしい軽やかさとダイナミズムへと置き換えている。
ミラノという都市が持つ層の厚い時間感覚、都市のグラフィック、マスタープラン、建築の構造、そしてそこに積み重なった進化の痕跡。これらを家具のスケールに引き寄せたのが、今回のコレクションだと言えるだろう。

クリストフ・デルクール初参画。EMILE、ODILE、LISEが描く彫刻的なリビングとダイニング

新たな広がりをもたらしたのは、ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンによる監修だけではない。

今回、Molteni&Cは新たなコラボレーターとして、クリストフ・デルクールとGamFratesi(ガムフラテージ)を迎えた。
また、Afra & Tobia Scarpa(アフラ&トビア・スカルパ)による1973年の名作「MONK(モンク)」チェアも復刻された。新しい視点を迎え入れながらも、ブランドの核にあるクラフツマンシップや素材への感受性を揺るがせない。その姿勢が、このコレクション全体に一貫した品格を与えている。

クリストフ・デルクールによる新作群は、とりわけ彫刻的な存在感が際立つ。

ソファ「EMILE(エミール)」は、前面や側面、そして背に走るグラフィカルなラインによって、柔らかな座り心地のなかに輪郭の緊張感を宿した。ユニットの組み合わせによって、直線型から対面式、半円形まで自在に展開でき、ラグジュアリーなリビングに求められる自由度と構成力を高い次元で両立している。

EMILE(エミール)
Design: Christophe Delcourt / クリストフ・デルクール

「ODILE(オディール)」コーヒーテーブルもまた、六角形の天板とシャープなラインによって、空間にリズムを与える存在だ。EMILEのユニットの間に美しく収まる設計は、家具同士の関係性まで含めて空間を設計する、Molteni&Cらしい思想を感じさせる。

ODILE(オディール)
Design: Christophe Delcourt / クリストフ・デルクール

同じくデルクールによる「LISE(リーズ)」ダイニングテーブルは、より建築的で力強い。対をなす脚部が優雅に絡み合いながら上方へと伸びるフォルムは、静物でありながら運動を孕む。グロッシー仕上げやシャイニースチールが光を受けて表情を変え、重厚なボリュームのなかに軽やかさをもたらす点も巧みだ。ダイニングを単なる食卓の場ではなく、空間の重心として成立させる一台である。

LISE(リーズ)
Design: Christophe Delcourt / クリストフ・デルクール

GamFratesiとの初協業、そして名作「MONK」復刻が示すヘリテージの更新

一方、GamFratesiとの初協業によって生まれた「LIA(リア)」は、より繊細な方向からこのコレクションに豊かさを加える。アッシュ材の構造体に、浮遊するように吊られたシートを組み合わせ、スカンジナビアンデザインに通じる簡潔さと、イタリア家具ならではの洗練された快適性とを両立させた。華美に走ることなく、ディテールの精度と触感の美しさで魅せるその佇まいが印象深い。

LIA(リア)
Design: GAMFRATESI / ガムフラテージ

そして今回のハイライトのひとつが、「MONK」チェアの復刻だろう。
アフラ&トビア・スカルパが1973年に手がけ、1990年に生産を終えたこの椅子は、2枚の木質フレームの間にレザーシートを吊るという構造そのものに、素材への敬意と構築の美が宿っていた。
復刻版では当時の魅力を忠実に再現するとともに、現代のくつろぎ方に応えるラウンジチェア仕様も追加。単なるアーカイブの再演ではなく、いまの住まいに自然に迎え入れられるかたちで再提示している点に、Molteni&Cの成熟が表れている。

MONK(モンク
Design: TOBIA SCARPA(トビア・スカルパ)

THEO、ARIA、LINEAが映し出す、現代の寝室とワークスペースの品格

ヤブ・プシェルバーグが手がけたベッド「THEO(テオ)」、ヴァン・ドゥイセンによるデスク「ARIA(アリア)」やラウンジチェア「LINEA(リネア)」も、それぞれ異なる角度から現代の暮らしを映し出す。

THEOはやわらかなプロポーションで身体を包み込み、寝室を穏やかな休息の場へと導く存在である。
ARIAは在宅ワークが特別な行為ではなく住空間の一部となった時代にふさわしく、ミニマルな造形と上質な素材によって、ワークスペースに静かな緊張感を与える。
LINEAはその名の通り「線」の美しさを際立たせる一脚であり、コンパクトな寸法のなかにイタリアのクラフツマンシップとヴァン・ドゥイセンのエレガンスが凝縮されている。

THEO(テオ)
Design: YABU PUSHELBERG / ヤブ・プシェルバーグ
ARIA(アリア)
Design: Vincent Van Duysen / ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセン
LINEA(リネア)
Design: Vincent Van Duysen / ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセン

家具は住まいの時間を整える。Molteni&Cが示すラグジュアリーインテリアの現在地

Molteni&Cの2025コレクションから見えてくるのは、家具が単なる機能や装飾ではなく、住まいの時間を整える存在だという考え方である。

都市の記憶、建築の構造、素材の触感、そして人の身体が過ごす静かな時間。それらをひとつの家具へと結び直していく姿勢は、ラグジュアリーを表層的な華やかさではなく、秩序と余白のある空間体験として捉える視点と深く響き合う。

過去への敬意と、いまを生きるための更新。その両方を併せ持ちながら、時代を超えて住空間に寄り添うエレガンスを提示するMolteni&C。
今回の新コレクションは、ミラノの都市文化を背景にしながら、現代のラグジュアリーインテリアがどこへ向かうべきかを語っている。

Molteni&C

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