ゼロキョリが「フィジカルスマートホーム」構想を発表。床下ロボット「ENNOSHITA」をCEATEC 2026で初展示

 取材/LWL online編集部

株式会社ゼロキョリは、住宅とロボティクスを一体化し、荷物の受け取りから搬送、収納までを住宅側が担う「フィジカルスマートホーム」構想を発表した。10月13日から幕張メッセで開催される「CEATEC 2026」では、その第一歩となる「ロボット床下収納-ENNOSHITA-」を1/1サイズで実演展示する予定だ。スマートホームは、住宅設備を「制御する家」から、現実のモノを「動かす家」へ進むのか。その可能性を考える。

スマートホームは「住宅設備の制御」から「モノを運ぶ」段階へ

スマートホームは、照明や空調、セキュリティなどを「制御する家」から、現実のモノそのものを「動かす家」へ進むのだろうか?

これまでスマートホームは主として住宅設備の制御を担ってきた。

スマートフォンや音声によって照明を点灯したり、時間やセンサー情報に応じて空調を調整したりする。このように住宅設備の制御が中心だった。高度な建築統合型スマートホームであっても、その中心にあるのは「住宅設備をどう制御するか」である。

これに対して、ゼロキョリが提唱する「フィジカルスマートホーム」は、住宅内に存在する「モノそのものの移動」にまで踏み込む。

宅配された荷物を住宅が受け取り、住宅内部へ運び、必要な場所へ収納する。将来的には、収納したモノの所在や数量を把握し、パントリーや防災備蓄を管理するほか、逆方向にシステムを利用してゴミを屋外へ搬出するといった展開も構想している。

スマートホームの対象が「住宅設備」から、人間がこれまで身体を使って行ってきた物理的な作業へ拡張しようとしているのだ。

床下をロボットが走る「ENNOSHITA」とは?

その具体例が現在開発中の「ロボット床下収納-ENNOSHITA-」だ。

ゼロキョリのロボット床下収納ENNOSHITAで使用する床下搬送ロボット
「ロボット床下収納-ENNOSHITA-」で使用する搬送ロボット。住宅の床下を移動し、荷物を収めた「パケット」を指定位置まで搬送する

システムは、床下を走行する「搬送ロボット」、屋外・床下・居住空間を縦方向につなぐ「エレベータ」、荷物を収める標準化された収納ユニット「パケット」の3要素から構成される。

ENNOSHITAのエレベータと床下搬送ロボットによる荷物搬送の仕組み
ENNOSHITAの搬送イメージ。エレベータが居住空間と床下をつなぎ、床下では搬送ロボットがパケットを移動させる

屋外の受け渡し口に置かれた荷物を住宅内部へ取り込み、エレベータで床下へ移動。床下では搬送ロボットがパケットを指定位置まで運び、収納する。必要になれば、逆の経路を使って居住空間側へ取り出すことができる。

ロボットという「機器」を後から住宅へ持ち込むのではなく、ロボットが働くための空間や動線を、住宅そのものに組み込もうとしていることに注目したい。

「Robot-ready Home」という新しい住宅設計

LWL onlineではこれまで、ロボット掃除機をはじめとする家庭用ロボットの進化とともに、住宅側もロボットを受け入れるために変化する必要があるという「Robot-ready Home」という考え方を取り上げてきた。

ロボット掃除機なら、段差をなくす、家具下のクリアランスを確保する、充電・給排水設備を建築に組み込む。さらにロボットの種類が増えれば、移動経路や保管場所、電源、通信環境などを住宅設計の段階から考える必要が出てくる。

ENNOSHITAはこの発想をさらに一歩進めたものとして見ることができるだろう。 ロボットが住宅の中を移動するのではなく、床下そのものを「ロボットのためのインフラ」として利用する。居住者からロボットの存在をなるべく見せず、裏側でモノを動かすという発想は、テクノロジーを空間の背後へ溶け込ませる「Invisible Technology」と重なる。

住宅は「物流の終点」から「物流インフラ」へ

もう一つ注目したいのが、住宅と物流との関係だ。

現在の宅配では、玄関や宅配ボックスまで荷物が届けば、そこから先は基本的に居住者の仕事になる。飲料水や米などの重量物であっても、玄関から収納場所まで運ぶ必要がある。

フィジカルスマートホームではこの境界線を住宅内部へと移動させる。

フィジカルスマートホームで住宅内外を荷物が移動する物流動線のイメージ
住宅の内外をつなぐ「フィジカルスマートホーム」の物流動線イメージ。屋外で受け取った荷物を住宅内へ取り込み、床下を介して収納・搬送することを想定する

ゼロキョリは、住宅を単なる荷物の「届け先」ではなく、荷物を受け取り、運び、収納し、管理する「物流インフラ」として捉え直している。将来的には自動運転配送車やドローンとの連携、さらに住宅の収納・搬送空間を地域の保管・受け渡し拠点として利用する構想も示している。

高齢化や物流人材不足を考えれば、人がモノを運ぶことを前提としてきた住宅設計そのものを見直す提案でもある。

もちろん、実際に住宅設備として普及するためには、床下空間の確保、既存住宅への対応、安全性、保守性、故障時のアクセス、荷物サイズの標準化、導入コストなど、検討すべき課題は少なくない。 しかし、それでも「ロボットを住宅に置く」のではなく、「ロボットが働くことを前提に住宅を設計する」という発想は、これからの住まいを考えるうえで重要な論点になりそうだ。

CEATEC 2026で「ENNOSHITA」を1/1サイズで実演

ゼロキョリは10月13日から16日まで幕張メッセで開催される「CEATEC 2026」のネクストジェネレーションパークに出展する。ブース番号はHall 4「4H322」。

会場では、ENNOSHITAのエレベータと床下搬送ロボットを1/1サイズで展示し、置き配された荷物が住宅内部へ取り込まれ、床下へ収納されるまでの一連の動作を実演する予定だ。
CEATEC公式サイトでも、住宅デバイスが連携して暮らしを支える「フィジカルスマートホーム」の展示として紹介されている。

CEATEC 2026で展示予定のゼロキョリENNOSHITAブースイメージ
CEATEC 2026で予定されているゼロキョリの展示イメージ。ENNOSHITAのエレベータと床下搬送ロボットを1/1サイズで展示し、一連の搬送動作を実演する予定だ

次代のスマートホームでは、住宅そのものが環境を認識し、設備を動かすだけでなく、現実世界のモノに働きかけることまで求められるのかもしれない。

フィジカルスマートホームは、その先にある住宅の姿を考えるためのひとつの指標となりそうだ。

公式サイト

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