B&B Italia&Maxalto東京ショールーム探訪(後編)~アウトドア家具「Erica」「Canasta」とMaxaltoの洗練世界

fy7d(エフワイセブンディー)代表/遠藤義人 

骨董通りに面したB&B Italia(ビー・アンド・ビー イタリア)のショールームを探訪・後編。3階のアウトドアフロアと、地下1階のMaxalto(マクサルト)のフロアを紹介する。3階アウトドアフロアでは、Patricia Urquiola「Canasta」やAntonio Citterio新作「Erica」など、インドア品質を継承したラグジュアリーアウトドア家具を紹介。地下1階のMaxaltoフロアでは、「Pathos 50」「Amoenus Soft」ほか、パリ的エレガンスを体現する世界観をリポートする。B&B ItaliaとMaxaltoが描く「本物志向」の空間設計とは。

B&B Italia&Maxalto東京ショールーム探訪(前編)~Camaleonda、Tufty-Time 20から最新サステナブル家具まで

3階アウトドアフロア B&B Italiaが切り拓いたラグジュアリーアウトドアの現在

B&B Italiaはイタリアを代表するインテリアブランド。2025年2月にグランドオープンした東京・表参道にある旗艦店B&B Italia Tokyo(ショップ)は、アウトドア専門ブランドではないにもかかわらず、3階フロア全体をアウトドアに割く。

たしかに最近では、インドアとアウトドアの区別自体をあまりしないブランドも増えた。
B&B Italiaは、アウトドアに着手したのがかなり早く、2007年にPatricia Urquiola(パトリシア・ウルキオラ)デザインの「Canasta(カナスタ)」をはじめとするアウトドアコレクションを発表して以来、年々技術的な進化を遂げ、インドアで培われたB&B Italiaの高い快適性を、アウトドアにも実現している。張地も防水、撥水、トリートメントなしと用途に合わせて選択可能だが、インドアと変わらない質感のファブリックが人気だという。

また、アウトドア家具の特徴として、思い切ったデザインやカラーリングのものを選びたくなる(選べる)傾向が挙げられる。屋外には室内と異なり自然がもたらす様々な天然色があるので、家具もそれに合わせてグリーンや赤といった思い切ったカラーリングや大きな柄を選びやすい。加えて、室内から外の景色とともにその家具を眺める時間が長いため、見た目は室内の家具より一層重要になる。

Antonio Citterio「Erica」──快適性と編み込み意匠の進化

Antonio Citterio(アントニオ・チッテリオ)の新作アームチェア「Erica(エリカ)」。座り心地も申し分なく、2階で見た「Flair O’ (フレール オ)」のような編み込みの仕上げがポリプロピレン製にも関わらずナチュラルで高級感がある
「Erica」テーブル&チェアで組んだメインフロア。コーラルレッドのペイントを背面に施したモルテンガラスの天板は、表情豊かな質感とともに、奥行きと透明感を鮮やかに印象づける

とくに別荘や自然溢れる地域など、アウトドアの家具を気兼ねなく置けるような場所であれば、先に家具ありきで当該空間をコーディネートすることも増えてくるという。住宅設計において外構がひじょうに重要なように、屋外でもそこに置く家具も含めインテリア同様に設計することが求められるというわけだ。

屋外デッキ側も「Erica」だがソファと奥にはサンベッドで組んでいる。ホテルやサウナでも需要があるサンベッドはアウトドア家具ならではの雰囲気

Patricia Urquiola「Canasta ’13」──回転ソファと可動シェードの自由度

Patricia Urquiola(パトリシア・ウルキオラ)の「Canasta ’13(カナスタ)」シリーズ。ミラノのブルガリホテルでも使われている。ソファは座が回転するし、シェードもオープンカーのように幌となって調整できる自由なモデルだ

地下1階 Maxalto Tokyo パリ的エレガンスを現代に再解釈する空間

外階段からもアプローチできる、3.8メートルもの高天井を誇る大空間。そんな地下1階全体は、Maxalto(マクサルト)のフロアになっている。1993年以来デザイナー兼アートディレクターであるAntonio Citterio(アントニオ・チッテリオ)が空間全体も監修、コレクションの製品単体だけでは表現が難しい世界観を、ワンフロアで表現する。

Maxaltoは、“もっとも高貴な”というベネチアの言葉に由来するネーミングで1975年に登場。「尖ったデザインではなく、研ぎ澄まされたエレガンス」あるいは「パリのブルジョワジーのアパルトマンのように、時を重ねた美意識と穏やかなエレガンスが共存する世界観」というが、B&B Italiaが若干工業的でスタイリッシュな香りがするのと比べると、Maxaltoは、職人の手仕事、あるいはアーティスティックな印象を強く抱かせる。

たとえば、一見アートそのものである書、あるいは一見素朴な伝統工芸や民藝を連想させる障子やアクセサリーなども、チッテリオが表現することで独特の洗練されたイメージになる。伝統的な素材でていねいに誂えられたキャビネットがあるかと思えば、鉄工所で荒々しく打ち付けられたかのような天板のテーブルもある。

これらは、家具単体で見せつけられると素朴なイメージを持たれかねないが、空間に馴染ませると洗練された印象になるし、新しい解釈すら生みだすパワーを内包している。

クラシックな素材と技法をあくまで踏襲しながらも、モダンな解釈で洗練された“空間”を創り出す。それがMaxaltoの凄みだと感じた。

Pathos 50──ウォールナット×ブロンズ脚が生む圧倒的存在感

奥のダイニングテーブル「Pathos 50(パソス 50)」は長さ3メートルのイタリアンウォールナット天板に無垢のブロンズの脚部を組み合わせた一見シンプルな構成ながら、素朴さとは無縁の存在感を放つ

Lilum 50、Florius、Fulgens──黒白基調に宿る手工芸性

書のようなペイントが施されたソファ「Lilum 50(リルム 50)」
黒と白のコントラスト基調とし、手工芸的な素材感とほんの少しの差し色が上品。ソファ「Florius(フロリウス)」、アームチェア「Fulgens(フルゲンス)」

Sella、Soleide、Amoenus Soft──素材と造形の対話

セルロース編みのベンチ「Sella(セラ)」
ハンマーで叩いた仕上げのテーブル「Soleide(ソレイド)」
170Φ径の回転ソファ「Amoenus Soft(アモエヌス ソフト)」。単体で受注するというよりも、トータルな空間コーディネートの中でキーアイテムとして提案していくことが多いとのこと。奥にあるベッド「Febo(フェボ)」のサイドテーブルにはLouis Poulsen「PH 2/1」が置かれている

Privatus、Tesaurus──天然ラフィアと大理石の緻密な融合

障子のようなウインドスクリーン「Privatus(プリヴァトゥス)」に使われているのは天然ヤシのラフィア
右手のストレージ「Tesaurus(テザウルス)」も、マットブラックの大理石とメイプル材に金属のヒンジとが駆使され、緻密なまとまりのよさが光る
奥にはファブリック選びの間。Flosの照明「Noctambule」がこれほどなじむ空間もない
豊富な張地と仕上げも魅力のひとつ。レザーに限らず、テキスタイルや表情豊かな素材を揃え、なかにはMaxaltoコレクションのために用意された専用張地もラインナップされている

Maxaltoの真価|“北欧でも和でもない”第3のエレガンス

このように見てくると、Maxaltoは天然素材を多く用いることでどこか懐かしくも柔らかい質感を湛えている。白と黒のモノトーンと直線を基調とする建築が増えた昨今にあって、あまりクールにしたくないからウッドを使いたい、ただ北欧のようにほっこりした印象にはならないようにしたいし、和の家具のような素朴なイメージももたせたくない……そんな欲張りを叶えてくれるブランドだと感じた。

B&B Italia/Maxaltoを選ぶ人たち──思想と快適性を重視する審美眼

B&B Italiaを愛用するのは、どんな人たちなのか。

フォルムの美しさだけでなく、その背景にある思想や構造、そして確かな快適性に価値を見出す人たちが、B&B Italiaを選んでいるように感じられる。家具を暮らしの質を高める存在として捉え、空間全体の調和を大切にしている……そんな姿勢が自然と浮かび上がってくる。
日常の中で静かに寄り添い、使うほどに魅力が深まる。その在り方に惹かれる人々に支持されているブランドなのだと、あらためて感じた。

ぜひ美術館を巡る感覚で、実際に座り、触れ、心地よさを確かめながら、4フロアをじっくりと探訪してほしい。

B&B Italia Tokyo|Maxalto Tokyo
東京都港区南青山6-2-3
Tel. 03-3478-3837
Fax. 03-3401-3839
営業時間: 11:00-18:00 
定休日: 水曜日(祝日を除く)
https://bebitalia.co.jp/

  • fy7d(エフワイセブンディー)代表

    遠藤義人

    ホームシアターのある暮らしをコンサルティングするfy7d(エフワイセブンディー)代表。ホームシアター専門誌「ホームシアター/Foyer(ホワイエ)」の編集長を経て独立、住宅・インテリアとの調和も考えたオーディオビジュアル記事の編集・執筆のほか、システムプランニングも行う。「LINN the learning journey to make better sound.」(編集、ステレオサウンド)、「聞いて聞いて!音と耳のはなし」(共著、福音館書店。読書感想文全国コンクール課題図書、福祉文化財推薦作品)など。

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