ディオール メゾン、オートクチュールを磁器に。「プリッセ」「チューリップ」が住空間へ
取材/LWL online編集部
ファッションの世界で培われてきたオートクチュールの美意識が、住空間へと広がっている。ディオール メゾン(Dior Maison)は、メゾンを象徴するドレスのシルエットを磁器へと置き換えた「オートクチュール」コレクションを展開。「プリッセ」「チューリップ」のベースやカラフェを通じて、ディオールならではのサヴォワールフェールと、クチュールの造形美をインテリアへと持ち込む。
ディオール メゾン、ドレスのシルエットを磁器へ
コレクションを手がけたのは、ディオール メゾンのアーティスティック ディレクターを務めるコーデリア・ドゥ・カステラーヌである。
着想源となったのは「テアトル ドゥ ヴェルドゥール」「チューリップ」「プリッセ」といった、クリスチャン・ディオールを象徴するシルエット。ドレスに描かれてきたフォルムを器へと置き換えた。

たとえば、「プリッセ」ベースは、ムッシュ ディオールが手がけた同名のアイコニックなデザインにインスピレーションを得て、装飾芸術とディオール アトリエのクラフツマンシップを融合させた。布を細かく折り重ねるプリーツの表情を白磁によって再現した。ラ・ギャラリー・ディオールに展示された白いトワルへのオマージュを込めて、ホワイトの磁器を使用。プリーツの美しさを緻密かつ繊細に再現している。

もはや花器というよりも美しく小さな建築物に近い。

「プリッセ」「チューリップ」を専用の型からつくる
その制作工程にも、クチュールメゾンらしい思想が表れている。
「テアトル ドゥ ヴェルドゥール」、「チューリップ」、「プリッセ」のラインに沿うように形作られた専用の型を制作。型に液状の磁器を流し込み、固まった後に型から慎重に取り出す。その後、研磨や装飾、焼成、釉薬による仕上げを重ねる。
仕上げにはトンボをモチーフにした装飾も施されるなど、ディテールにもメゾンの世界観が宿る。

今回のコレクションからは、「服を仕立てるように、器を仕立てる」という思想が感じられる。
ラグジュアリーは「身につけるもの」から「暮らす空間」へ
先日LWL onlineに掲載したルイ・ヴィトンのように、近年、ファッションやジュエリーを起点とするラグジュアリーメゾンの世界観が、家具、照明、テーブルウェア、アートピースへと広がり、住空間そのものへと入り始めている。
ディオール メゾンの「オートクチュール」コレクションも、その潮流を象徴する存在といえるだろう。
今回発表された磁器作品は、カラフェが105,000円、「チューリップ」ベースが215,000円、「プリッセ」ベースが295,000円、「プリッセ」ベース スモールが160,000円。
ただし、その価値を高価なインテリアアクセサリーとして捉えるだけでは、このコレクションの本質を見誤るだろう。
ドレスを生み出してきた線、襞、曲面、そして職人の手仕事を、異なる素材とスケールによって住空間へ持ち込む。まさに、オートクチュールを「着る」だけでなく、「暮らす」。ディオールの美学を「着る」から「暮らす」へ。
ラグジュアリーブランドとインテリアの関係は、さらに深く密接な領域へと進みつつある。
-
-
取材
LWL online 編集部