Edra新作ソファ「Anywhere」が日本初上陸。フランチェスコ・ビンファレ最新作を青山で公開

 取材/LWL online編集部

イタリア・トスカーナ発のラグジュアリー家具ブランド「Edra(エドラ)」の2026年新作モジュラーソファ「Anywhere(エニウェア)」が、日本に初上陸する。フランチェスコ・ビンファレが手がけた最新作で、11月4日から東京・南青山の「Spazio Edra TOKYO AOYAMA」で公開。「DESIGNART TOKYO 2026」の会期中となる11月4日、5日には、イタリア本国スタッフによる完全予約制のプレゼンテーションも行われる。

Edra新作ソファ「Anywhere」が問い直す、「座る」という行為

新作ソファ「Anywhere(エニウェア)」のデザインを手がけたのは、30年以上にわたりEdraとともにソファのあり方を再考してきたフランチェスコ・ビンファレ。

「Anywhere」が問い直すのは、ソファとは決められた姿勢で座るための家具なのか、という根源的なテーマである。

背もたれを動かし、座面の奥行きを変え、身体や空間に合わせて姿を変える。「家具の側が人に寄り添う」という発想である。それはまた、単なる機能性とも少し違う。

目に見えない技術と高度なクラフツマンシップによって、身体が自然に求める快適さを実現する。

「Anywhere」は、Edraが長年追求してきた“Art of Living”を、現代の暮らしへと更新した一ひとつの到達点と言えるだろう。

1987年、トスカーナで誕生したEdra。「Esedra」に宿るブランド哲学

Edraは1987年、ヴァレリオ・マッツェイとモニカ・マッツェイによって、イタリア・トスカーナ州ピサ近郊のペリニャーノで創業した。

ブランド名の「Edra」は、古代ギリシャ・ローマの邸宅などに設けられていた空間「Esedra(エセドラ)」に由来する。Esedraとは一方が開かれ、座る場所が設けられた、対話や交流のための空間を指す。

その名前には創業当初から、「家具と建築空間」「家具と人」との関係をつくるものとして捉える思想が込められていた。

Edraは、いわゆる「ラグジュアリー家具」という言葉から連想される装飾性だけに依存していない。

アート、クラフツマンシップ、素材研究、そしてテクノロジーを組み合わせながら、「Comfort=快適性」「Elegance=優雅さ」「Performance=性能」を高い次元で成立させることをブランドの軸としてきた。現在もEdraは、自らのコレクションを流行を追うための製品ではなく、長期間の研究から生まれ、長く使われることを前提とした存在として位置づけている。

その歴史を振り返れば、Edraの実験精神は創業初期から一貫している。

1987年のデビュー翌年には、当時まだ広く知られていなかったザハ・ハディドとも協働した。これまでの家具製造だけでは実現できない造形を生み出すため、異分野の技術や職人技を組み合わせながらプロダクトを完成させていった。

その後もフェルナンド&ウンベルト・カンパーナ、ジャコポ・フォッジーニなど、独自の表現を持つクリエイターとの協働を重ねてきたが、Edraの「ソファ」というカテゴリーを語るうえで、欠かすことのできない存在がフランチェスコ・ビンファレである。

30年以上、「座ること」を研究してきたフランチェスコ・ビンファレ

巨匠フランチェスコ・ビンファレはミラノ生まれのデザイナー、アーティストである。

1960年代からインダストリアルデザインの世界に入り、チェーザレ・カッシーナとの仕事をはじめ、CassinaやC&B Italia(現在のB&B Italia)に関わるクリエイティブディレクションを経験し、1992年、当時Edraのクリエイティブ・ディレクターを務めていたマッシモ・モロッツィの紹介によってEdraとの協働をスタートした。

翌1993年に発表した「L’Homme et la Femme」を皮切りに、「On the Rocks」「Standard」「Pack」「Grande Soffice」など、Edraを代表する数々のソファを生み出してきた。

ビンファレが長年探求してきたテーマのひとつが、「身体の自由」である。

従来のソファでは、座面、背もたれ、アームレストなどがあらかじめ固定され、その形に合わせて人間が姿勢を決める。それに対して、ビンファレは、身体の姿勢や行為に応じてソファそのものが変化するという発想を追求してきた。

その研究から生まれた代表的な技術が、Edra独自の「Smart Cushion(スマートクッション)」だ。

内部のメカニズムによってクッションや背もたれの角度を自在に変えられる一方、外から機構そのものが強く意識されることはない。テクノロジーは存在するが、テクノロジーそのものを見せることが目的ではなく、あくまで身体が感じる「柔らかさ」「自由」「心地よさ」へと変換されている。これはEdraの家具を理解するうえで、重要なポイントだ。

7つのモジュールとSmart Cushion。「Anywhere」が身体に合わせて変化する

今回日本初公開となる「Anywhere」は、フランチェスコ・ビンファレとEdraによる長年の研究を、さらに一歩進めたソファシステムであり、Edraが創業以来追求してきた「Art of Living(アート・オブ・リビング)」の思想が凝縮されている。

不規則な形状を持つ7種類のエレメントから構成されている。各モジュールを組み合わせて大きなソファとして使うことも、それぞれを独立して配置することもできる。

一般的なモジュラーソファが、室内の寸法やゾーニングへの適応を主眼としているのに対して、「Anywhere」はさらに一歩踏み込む。空間だけでなく「身体」そのものに適応しようとしているのだ。

Edra「Anywhere」のモジュールを組み合わせたブラックカラーのソファ
「Anywhere」は不規則な形状を持つ複数のモジュールを組み合わせ、空間や暮らし方に応じて柔軟なレイアウトを構成できる

可動式の背もたれにはEdra独自のSmart Cushionを採用。背もたれの角度を変えられるほか、背もたれ自体を軸に沿って動かすことで、座面の奥行きも調整できる。

深く身体を預けてくつろいだり、浅く腰掛けて会話する。一人で横になってもいいし、複数人が異なる方向を向きながら同じ場所を共有することもできる。

Edra「Anywhere」で身体を預けてくつろぐ姿と可動式の背もたれ
Edra独自の「Smart Cushion」により、背もたれの角度や座面の奥行きを調整。家具に身体を合わせるのではなく、ソファの側が身体に応答する

異なる過ごし方をひとつの固定された「正しい座り方」に収束させず、簡単な動作によってソファ側が変化し、その時々の身体や行為を受け入れる仕組みになっている。

ソファを「置く」のではなく、空間をつくる

そして、この自由度は住宅設計の視点から見ても重要なポイントとなる。

近年のラグジュアリーレジデンスでは、リビング、ダイニング、テラスなどを明確に分節するよりも、ひと続きの大きな空間として計画するケースが増えている。

そこで求められる家具もまた、壁に沿って置く固定的な存在から、空間の中心に置かれ、人の居場所そのものを形成する存在へと変わりつつある。

「Anywhere」の不定形なモジュールはまさにそうした近年のラグジュアリーな住空間に向いている。家具を置いた後に余白が残るのではなく、家具そのものによって人と人との距離や視線、空間の流れが生まれるのだ。

Edraがブランド名の由来である「Esedra」から受け継いできた、家具と建築、人との対話という考え方が見事に表れている。

Edra「Anywhere」を向かい合わせに配置したラウンジ空間
「Anywhere」は壁際に置かれるだけの家具ではない。配置によって人の距離や視線、コミュニケーションのあり方までデザインする

ラグジュアリーとは「見えないところ」に宿る

LWL onlineの視点から注目している点は、「Anywhere」が示すラグジュアリーのあり方である。

一見すると、大胆な造形を持つ美しいソファだ。だが、快適性を成立させているのは、内部に組み込まれた機構、素材研究、長年にわたるプロトタイピング、そして職人の技術。

価値の核心は必ずしも目に見えるところだけにあるわけではない。テクノロジーが前面に現れるのではなく、人の身体や生活を自然に支えるため、家具の中へと溶け込んでいる。

住宅設備やホームオートメーションの世界でも、優れたテクノロジーほど存在を主張せず、人の行動に寄り添う方向へと進みつつある。

その意味でEdraのSmart Cushionは、家具という領域における「Invisible Technology」のひとつの完成形と見ることもできるだろう。

Edra「Anywhere」に座る人物と立体的なクッション、ブラックファブリック
造形の美しさの内側に、素材研究や独自の機構、クラフツマンシップを内包する「Anywhere」。Edraが追求する“Art of Living”を体現する

「Anywhere」を南青山で日本初公開。DESIGNART TOKYO 2026に参加

日本でEdraの世界観を体感できる拠点が、東京・南青山の「Spazio Edra TOKYO AOYAMA by LIVING HOUSE.」だ。

2025年にオープンした日本初のEdra路面旗艦店となる同ショールームでは、最新作からブランドを代表するマスターピースまでを展示。鏡面を生かした空間の中で、プロダクトをさまざまな角度から体感できる構成となっている。

「Anywhere」は、DESIGNART TOKYO 2026の開催期間中となる11月4日から展示を開始する。

DESIGNART TOKYO 2026は、10月30日から11月8日までの10日間、表参道・外苑前、原宿、渋谷、六本木、銀座、東京などを舞台に開催。今年は第10回を迎え、「Hibiki」をテーマに掲げる。

11月4日、5日にはEdra本国スタッフによる完全予約制のプレゼンテーション&プレビューも実施。「Anywhere」は会期終了後もSpazio Edra TOKYO AOYAMAで展示される予定だ。

ソファは写真だけではわからない。

身体を預けたときの柔らかさや背もたれを動かした際の感触、張地が身体に触れる感覚、姿勢を変えるたびに空間の見え方まで変化していくという体験。

「Anywhere」という名前が示すのは、どこにいても、誰といても、その人がその人らしい姿勢を選ぶことができるということだろう。

Edraが40年近く探求してきた「座る自由」は、家具を身体に合わせるという、極めてシンプルでありながらも、「座る」ことの本質的な考え方へとたどり着いた。

PRESENTATION & PREVIEW 開催概要

「Anywhere」の日本初上陸を記念し、イタリア本社Edra S.p.A.のスタッフが来日するプレゼンテーション&プレビューを、完全予約制にて開催。

  • 日程: 2026年11月4日(水)・5日(木)
  •  会場: Spazio Edra TOKYO AOYAMA
  •  参加方法: 完全予約制(各回定員10名様)
  •  所用時間: 1時間程度予定
  •  *通訳あり
  • 【タイムスケジュール】 
  •  11月4日 (水) 
  •    11月5日 (木) 
  • 【ご予約方法】 
  • ご参加をご希望の方は、10月28日までに下記フォームよりお申し込みください。定員に達し次第、受付を終了とさせていただきます。
  •  ご予約フォーム:https://forms.gle/dTy7R2fWxtMJvucP6

Edraブランドサイト

日本公式ブランドサイト

日本公式インスタグラム

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