Bowers & Wilkins AOYAMAで体験する「True Sound」──803 D4試聴会が示す、音が空間になる瞬間

 取材/LWL online編集部

住宅設計において、光や空気、温熱環境といった要素が語られる機会は増えている。しかし、その空間を最終的に「体験」として完成させる要素として、「音」が十分に論じられているとは言い難い。だが、音は空間の印象そのものを書き換える力を持つ。それは単なる再生ではなく、建築と同じく設計されるべき環境要素である。

そうした中、英国のハイエンドオーディオブランドBowers & Wilkinsが、東京・青山で予約制の試聴体験イベントを継続的に開催している。限られた時間と人数の中で行われるこの体験は、単なる製品試聴の枠を超え、音がどのように空間を形づくり、体験の質を決定づけるのかを提示する場となっている。

録音スタジオと邸宅をつなぐブランド──Bowers & Wilkins「True Sound」の起源

1966年、英国ワージングで創業したBowers & Wilkinsは、一貫して「音源に忠実であること」を追求してきた。彼らが掲げるのは「True Sound」。すなわち、録音現場の空気感やアーティストの意図を、色付けなく再現することにある。

同社のスピーカーは、世界有数の録音スタジオであるAbbey Road Studios(アビー・ロード・スタジオ)にも採用され、音楽制作の最前線と直結している。この事実が示すのは、「制作現場の音」と「住まいで聴く音」を分断しないという思想、すなわち「体験の連続性」だ。住宅空間の音がスタジオと同一の基準で設計されるとき、住まいは単なる居住空間から、濃密な「文化体験の場」へと昇華する。

フラッグシップ「800 Series Diamond」が体現するもの。音を「構造」として設計する

今回の試聴イベントで使用されるのは、ブランドの象徴である 800 Series Diamond のフロアスタンディングモデル「803 D4」だ。このシリーズは単なる高音質スピーカーではない。「音をどう空間に放射するか」という建築的課題に対する、高度なエンジニアリングの結実である。

独自の「ソリッドボディ・トゥイーター・オン・トップ」構造による回折の最小化、人工ダイヤモンド振動板による超高域再生、そして剛性を極限まで高めたキャビネット設計。これらはすべて、音を「空間」として成立させるための技術だ。照明が光によって空間を規定するように、Bowers & Wilkinsは音を空間構成の不可欠なインフラとして扱っている。

青山に現れた音の聖域。ラグジュアリーと文化の交差点

会場となる「Bowers & Wilkins AOYAMA」は、英国のクラフツマンシップが集結する「ヴァルカナイズ・ロンドン青山」内にある。伝統と静謐なラグジュアリーが交差するこの地のVIPルームは、いわば「都市の中に設計された音の聖域」だ。

ヴァルカナイズ・ロンドン青山

今回のテーマは、ドヴォルザーク《交響曲第9番「新世界より」》。
多層的なオーケストラの構成は、音場の広がりや奥行き、楽器の定位、そしてホールそのものの再構築能力を鮮明に描き出す。この試聴会は単に「スピーカーを聴く」場ではない。音によって再構成される「空間そのものを聴く」体験なのである。

音は環境を構成する──ラグジュアリー邸宅における音響の位置づけ

当サイトが繰り返し提示してきたように、現代の住宅は単なる「設備の集合体」ではなく、心身を解き放つ「快適な環境を生成するシステム」へと移行している。

その中で音は、これまで過小評価されてきた要素のひとつだ。しかし本来、音響は光(照明・窓廻り)や空気(空調・換気)と並び、住宅の環境設計の根幹を成すべき中核要素である。
この文脈においてBowers & Wilkinsを捉え直すと、同ブランドの「True Sound」という思想は、もはやオーディオという既存の枠組みを超えていく。それは、住まいにおける体験の質を決定づける「環境設計思想」そのものなのである。

イベント概要 Bowers & Wilkins AOYAMA試聴体験(2026年4月開催)

 Bowers & Wilkins AOYAMA マンスリー試聴イベント
4月 [ #04: ハイエンド・フロアスタンディング・スピーカー 803 D4で聴く、 ドヴォルザーク「交響曲 第9番 新世界より ]
日時: 2026年4月4日(土)
会場: Bowers & Wilkins AOYAMA 〒107-0062 東京都港区南青山5-8-5 ヴァルカナイズ・ロンドン青山内
時間: ①13:00~13:45 ②14:00~14:45 ③15:00~15:45 ④16:00~16:45
定員: 各回1組(最大3名様)
※ご予約は、お電話にてお名前とご連絡先、ご希望の時間をお伝えください。
TEL:03-5464-5255
試聴システム:「803 D4」、Marantz「MODEL 10」、「LINK 10n」

試聴システムは、「803 D4」、Marantz「MODEL 10」、「LINK 10n」

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    LWL online 編集部

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