Zennio Tokyo Showroomが新宿OZONEにオープン、KNX準拠のスマート空間を体感
fy7d(エフワイセブンディー)代表/遠藤義人
スペインのスマートホームブランド「Zennio(ゼニオ)」のショールームが、東京・新宿のリビングデザインセンターOZONE 5Fにこの4月本格オープン。展示内容と狙いについて聞いた。
スペイン発Zennioが東京で示す、スマート空間の新しい入口
ゼニオは、スペインのトレドに本社を持つスマートホームの会社である。
目に見えるデバイスからバックエンドのソフトウェアまで全てをワンブランドで担うことができるソリューションメーカーで、会社規模はグローバルで450人ほど。250以上の製品を開発し、12000以上のプロジェクトを手掛けてきた。設立以来20年をかけてヨーロッパや中東を中心に普及し、北米・中米を含む南北アメリカ大陸にも展開。近年はアジア諸国を含む極東地域に力を入れている。
そのアジア・パシフィックエリアで日本を担当するのが、ゼニオジャパンの根本和明さん。事務所を神奈川・横浜に構えつつ、このたびこの新宿にショールームを創設した。通常は無人であるが、事前予約すれば根本さんが駆けつけて対応・説明してくれる。


ホテル、集合住宅、ビル管理まで広がるホームオートメーションの可能性
ゼニオの事業の三本柱は、ホテル、集合住宅、ビルにおけるホームオートメーションだ。
「著しく普及しているのが、中東です。たとえばドバイでは、ホームオートメーション付きのホテル需要が依然として高いんです。採用が広がった大きな理由のひとつは、省エネ機能です。照明・空調・シャッターなどを統合制御することで、ホテルや集合住宅の運営コストを大幅に削減できます。快適性と省エネを同時に実現できる点が、オーナーや施設管理者に強く支持されています。日本でもすでに外資系ホテルを中心に採用されていますが、まだ十分認知されているとは言えません」(根本さん)
スマートホームは、いわゆるシステムインテグレーターでありながら裏方のため、あまり表に名前が出てこないのが実情なのだ。
「一般的に日本では設計に大きく3つあると言われています。デザイン(意匠)、設備設計、構造設計です。ところがスマートホームは、これらのいずれにも当てはまらないんです。設計事務所さんやハウスメーカーさんでも、スマートホームと言ってピンとくるところはまだまだ少ない。そこで我々は、まずオーナーさんに知ってもらい、スマートホームを入れたい旨を設計事務所さんやハウスメーカーさん等に働きかけてもらうことが大切だと考え、ショールームを開設しました」
もちろん、ホテルと同様、戸建ての豪邸(ヴィラ)も案件として想定している。実際、国内でも新たなプロジェクトが進行中だという。
一度使うと戻れない、スマートホームがもたらす快適性
根本さんはスマートホームの魅力について、「いちど使ってみたら、もうナシでは済ませられない」と、ウォシュレットを引き合いに出しつつ語った。
たしかに我々は、住宅設備が自動化されていなくてもとくに不自由なく日々過ごせている。
しかし、照明や窓廻り、エアコン、床暖、給湯、セキュリティといったものの適切な管理は非常に重要で、QOL(生活の質)を一気に高める。とくにこれから社会が高齢化に向かっていくと、より一層その利便性は重宝され、価値が高まるに違いないのだ。
「いまは様々な家電がIoT(Internet of Things:モノのインターネット)で繋がっています。オーディオビジュアル機器やホームシアターもそうですが、入り口としてのスマートデバイスが広く普及したいまこそ、ネットワークで宅内の家電を一括制御する時代が日本でも普通になるはずです」

Zennioの強みはKNX準拠の堅牢なシステム設計
ゼニオの特徴はどんなところにあるのだろうか?
「ゼニオは、ヨーロッパ発祥のグローバルなオープン規格KNXに準拠しています。したがって、同規格に準拠している限り、他ブランドの他の製品と組み合わせても、例え20年前のモノでも、20年後のモノでも動くことを規格で保証しているのが最大のメリットです。また、全部デイジーチェーン(Daisy Chain)、つまり信号と電力を一本の線で数珠つなぎにできるので、配線がシンプル。限られた壁内空間でもスマートに設置できます。また、KNXはたいへん厳格な規格で、確実に連携し、動作するのが特長なんです。なお、すでにクレストロンのホームオートメーションが入っている環境でも、連携して適切に制御できます」
KNXの製品は多岐に亘るため、どれを組み合わせるかプログラマーの力量が試されるイメージがあるが?
「実はそうでもないんです。KNXは、プログラミングをするというよりも、ロジックを作るという感じのシンプルなものです。命令を繋がっている全デバイスに一斉にパッと飛ばすんですね。それに対して受ける方のデバイスは、関係ない命令は無視する。たとえば、A、B、Cという命令が入っている場合、Bと言われて関係がある製品だけが反応し動作するイメージです。それはスピードよりも堅牢性・確実性を重視するから。細かい複雑な命令でなくシンプルにしているのには理由があるのです。また、確実性の観点から、基本的にWi-Fiではなく有線接続が推奨されます」
デザインと操作性を両立したTokyo Showroomの見どころ
Tokyo Showroomは、「ホスピタリティ・エリア」「コンフォータブル・エリア」「ビル・マネージメント・エリア」に分かれており、来場者の目的に応じて動作を体感できる。
「ホスピタリティ・エリア」は、キッチンやベッドルームをイメージしており、居住空間に馴染むデザインが際立つ。




リビングを模した「コンフォータブル・エリア」には、たくさんのスイッチが並び、見て・触って操作感を楽しめる。









遠隔管理ソフトウェアが変えるホテルと建物運用
KNXがより真価を発揮するのは、ビル管理のような大規模システムだ。中央管理型ソフトウェアを使って、リアルタイムのモニタリングや、アラーム、動作イベントの自動化、照明や空調の制御と省エネといった管理を遠隔から画面上で一括して行える。
ホテルを例に取ってみよう。
ホテル側が顧客のチェックイン&チェックアウトの情報を共有していれば、それに合わせ各部屋の室温制御ができる。例えば、103号室の宿泊客が、4月10日の15時にチェックインするのならば、13時頃からゆっくり温度上げて省エネしつつ制御。チェックアウト後は清掃のために最適な温度にするといったこともプログラムできる。
これらはLinuxで動作するので、廉価で安定した制御を実現したいオーナーの導入コストも抑えられる。

ゲスト側にもメリットが大きい。
日本で一般的な、宿泊者がカードホルダーにカードキーを入れてはじめて部屋の機器が動作するとか、ドアノブに入室中の札を掛けるといったことも不要だ。入室してすぐに電気が点いてカーテンが動作するのは当たり前というのは、とても快適。ゲストに合わせた言語対応や、老若男女誰でも分かるピクトグラムスイッチ、IPTVの画面にウェルカムメッセージが出るなど、また泊まりたくなるホテルになること請け合いである。
こうした近未来のホテルやスマート住宅を体験できるゼニオのショールーム。向かいには、同じくホームオートメーションを展開する株式会社ハナムラが運営するショールーム「GLAS LUCE×SmartHome」もある。同社もKNXのホームオートメーションを扱っており、ゼニオと協業する案件もある。他の設備系ショールームも多く集まっているリビングデザインセンターOZONEに行くなら、どちらもあわせて訪れたい。


施設概要
Zennio Tokyo Showroom
東京都新宿区西新宿 3-7-1 新宿パークタワー内 リビングデザインセンターOZONE 5F
開館時間:10:30~18:30 水曜日休館(祝日を除く・※5/6は休館)
https://www.ozone.co.jp/
※通常は無人で、問い合わせや解説の予約は下記へ。
showroom.japan@zennio.com
https://www.zennio.com/
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fy7d(エフワイセブンディー)代表
遠藤義人
ホームシアターのある暮らしをコンサルティングするfy7d(エフワイセブンディー)代表。ホームシアター専門誌「ホームシアター/Foyer(ホワイエ)」の編集長を経て独立、住宅・インテリアとの調和も考えたオーディオビジュアル記事の編集・執筆のほか、システムプランニングも行う。「LINN the learning journey to make better sound.」(編集、ステレオサウンド)、「聞いて聞いて!音と耳のはなし」(共著、福音館書店。読書感想文全国コンクール課題図書、福祉文化財推薦作品)など。