カリモク家具、未利用材をデザインで新たな価値に。木のサステナビリティを考えるセミナー、11月26日開催

 取材/LWL online編集部

木材のサステナビリティを実現するには、資源を有効活用するだけでなく、デザインと技術によって新たな価値を生み出すことが欠かせない。2026年11月26日(木)、カリモク家具の新横浜ショールームで、木材活用と持続可能なものづくりを考えるセミナー「Bridge Vol.21『木』」が開催される。講師はカリモク皆栄の事業開発本部に所属する池田令和氏。国産未利用材を活用した家具ブランドや、三菱鉛筆との異業種コラボレーションなど、家具製造の枠を超えて広がるカリモク家具の取り組みを背景に、サステナビリティとデザイン、ブランド価値の関係を考える。

未利用材をブランド価値へ。カリモク家具が実践する3つの取り組み

脱炭素社会の実現やサーキュラーエコノミーへの関心が高まるなか、木材は再生可能な資源として改めて注目されている。しかし、木材を使用すること自体が目的となってしまえば、持続可能な森林資源の循環や、製品の長期的な価値創造には必ずしも結びつかない。

重要なのは、素材の特性を理解したうえで、加工技術やデザインによって付加価値を与え、長く使い続けたいと思える製品へと昇華させることである。

こうした問題意識を背景に、一般社団法人東京建築士会青年委員会と一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会(建産協)技術・景観部会が共催する「Bridge Vol.21『木』」が、11月26日に開催される。

講師を務めるのは、カリモク皆栄株式会社 事業開発本部 事業開発部 主席の池田令和氏。カリモクグループの新規事業開発や企業間協業を手がけてきた人物だ。

本セミナーでは、長年にわたって木材と向き合ってきたカリモク家具のものづくりを通じて、素材選定から加工技術、製品化に至るまでの考え方を学ぶ。講演に加え、ショールームの見学も予定されている。

国産広葉樹の未利用材を家具へ。「Karimoku New Standard」の挑戦

カリモク家具が取り組んできたサステナブルなものづくりを象徴するブランドのひとつが、2009年にスタートした「Karimoku New Standard(カリモクニュースタンダード)」である。

同ブランドが着目したのは、従来、家具用材として十分に活用されてこなかった国産広葉樹の小径木だ。

直径30cm未満の小径木から得られる木材は、一つひとつの部材が小さく、従来の家具づくりでは使用が難しいとされてきた。そこでカリモク家具は、これらの小さな木材を切り出し、接ぎ合わせる技術を活用することで、家具としての新たな可能性を見出した。

さらに、国内外のデザイナーとの協働によって、素材の制約を単なる弱点と捉えるのではなく、木目や色の違いを製品固有の魅力へと転換している。

未利用材を家具として流通させることで、森林の維持管理や地域林業を支える経済的な循環を目指している。この循環を目指してきた点も同ブランドの特徴だ。

環境配慮を前面に打ち出すだけでなく、優れたデザインと品質によって、消費者から選ばれる製品を生み出す。そこには、カリモク家具が培ってきた、デザインと環境配慮を両立させるブランドづくりの姿勢が表れている。

針葉樹の可能性を拓く「MAS」。デザインと木工技術が生む新たな価値

MAS furniture collection by Karimoku featuring Japanese hinoki softwood dining tables and chairs in a minimalist interior
国産ヒノキなどの針葉樹を活用し、家具としての新たな可能性を追求する「MAS」。木材の素材感と洗練された造形が調和する。写真提供:カリモク家具

カリモク家具のもうひとつの取り組みが、2018年に始動した家具ブランド「MAS(マス)」である。

日本の森林資源を考えるうえで、スギやヒノキなどの針葉樹の活用は重要な課題となっている。こうした針葉樹は、広葉樹と比較すると材質が柔らかく、家具として必要な強度の確保や加工の難しさから、用途が限定されることも少なくなかった。

MASは、カリモク家具が長年培ってきた木材加工技術や接着技術、構造設計を活用し、国産針葉樹を現代の暮らしにふさわしい家具へと昇華させるブランドだ。

素材本来の色合いや木目、節などの表情を積極的に取り入れながら、簡潔で洗練された造形を追求する。

これまで家具用材として扱いにくいとされてきた樹種にも、デザインと技術によって新たな用途を生み出す。こうした取り組みは、木材の利用可能性を広げると同時に、日本の森林資源の循環にもつながっていく。

家具の端材が筆記具に。三菱鉛筆「JETSTREAM」との協業

JETSTREAM x karimoku multifunction pens featuring wooden grips made from furniture production offcuts on a wooden table
カリモク家具の製造工程で生じる木材の端材をグリップ部分に活用した「JETSTREAM × karimoku」。三菱鉛筆との協業により、家具づくりの技術と素材の価値を筆記具へと展開した。写真提供:カリモク家具

家具づくりの枠を超えた取り組みとして注目したいのが、三菱鉛筆との協業によって生まれた「JETSTREAM × karimoku」シリーズである。

2023年11月に発売された第1弾「JETSTREAM × karimoku 4&1」は、家具の製造工程で生じる木材の端材を、筆記具のグリップ部分に再利用したものだ。ナラ材とウォールナット材を採用し、家具と同様のウレタン塗装を施すことで、天然木ならではの手触りや木目の美しさを実現した。

2024年11月には第2弾となる「JETSTREAM × karimoku 多機能ペン 4&1」も発売され、素材の再利用とデザインを融合した取り組みを継続している。

小さな木材を接ぎ合わせる技術に加え、グリップには家具と同様の塗装技術を採用。天然木ならではの手触りや木目、色合いの個体差を、製品の魅力として活かしている。

この協業は、三菱鉛筆が展開する素材循環の取り組み「uni MATERIAL JOURNEY 旅する素材。」の一環として実現した。

家具の端材を再利用したことにとどまらず、素材の背景にあるストーリーと、カリモク家具が培ってきた加工・塗装技術を組み合わせることで、筆記具という異なるカテゴリーに、新たな付加価値を生み出している。

素材の持つ価値を、企業の境界を超えて展開する。こうしたアプローチは、サステナブルなものづくりとブランド構築を両立させる、ひとつのモデルと言えるだろう。

建築・インテリアのプロに向けて。木材の価値を再考するセミナー

建築やインテリアの設計において、木材をどのように選び、空間へ取り入れるか。その判断には、意匠性や機能性だけでなく、素材の生産背景や持続可能性への理解も求められるようになっている。

今回の「Bridge Vol.21」は、カリモク家具のものづくりを通じて、環境配慮とデザイン、そしてブランド価値の関係を考える機会となる。

当日は池田氏による約45分の講演に加え、カリモク家具 新横浜ショールームの見学を実施する予定だ。

建築士やインテリアデザイナーはもちろん、サステナブルな素材活用や、企業のブランド戦略、新規事業開発などに関心を持つ人にとっても、示唆に富む内容となりそうだ。

参加定員は20名の先着順。少人数で開催されるため、関心のある方は早めに申し込みたい。

「Bridge Vol.21『木』」開催概要・参加申し込み

  • イベント名: Bridge Vol.21『木』―「木を使う」から、「サステナブルを実現する」へ ショールーム見学&セミナー
  • 日時: 2026年11月26日(木)15:00~17:00(受付開始14:45)
  • 会場: カリモク家具 新横浜ショールーム
  • 住所: 神奈川県横浜市港北区新横浜1-12-6
  • 講師: 池田令和氏(カリモク皆栄株式会社 事業開発本部 事業開発部 主席)
  • 定員: 20名(先着順)
  • 参加費: 会員4,000円/一般6,000円/一般(U40)4,000円
  • CPD: 2単位
  • 共催: 一般社団法人東京建築士会 青年委員会、一般社団法人日本建材・住宅設備産業協会 技術・景観部会
  • 申し込み: Peatix公式イベントページ
  • ※参加条件や申し込み状況などの最新情報は公式ページを参照。
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