マナトレーディングがニューコレクションを発表、テーマは「Calm is the new Luxury.」
fy7d(エフワイセブンディー)代表/遠藤義人
マナトレーディングは、国内在庫ファブリックコレクション「SATELLITE|OMBRÉ」を3年ぶりに刷新した。テーマは「Calm is the new Luxury.」。静けさを現代の贅沢と捉え、ニュアンスカラーと豊かなテクスチャーによって建築とインテリアをつなぐ。東京・代官山のヒルサイドテラスで開催された完成発表会から、注目のファブリック11点と、今秋発売予定の同社初となるオリジナル壁紙を紹介する。

「Calm is the new Luxury.」静けさこそが究極の贅沢
ファブリックコレクション「OMBRÉ」は、2018年のスタート当初は「Nature et Luxe(ナチュール・エ・リュークス)」すなわち自然体でリラックスできるモードでありながらどこか快適で洗練されているスタイルをコンセプトとして掲げた。それが時代の流れと共に空間使いにおける定番スタイルとして定着してきた。
コレクション名「OMBRÉ(オンブレ)」は、陰影や光の移ろい、グラデーションを象徴する言葉。MANAS TRADINGは、Ambient of Publicという独自のコンセプトを掲げることで、空間を邪魔することなくその場の雰囲気を静かに居心地良く包み込むことを目指してきた。これは、サウンドでいえばアンビエントミュージックと同じ文脈で語ることができる。
2020年には、「IN-BETWEEN(インビトゥイーン)」すなわち室内と室外をシームレスに繋ぐことをテーマとして標榜するに至る。具体的には、厚手のドレープと薄手のシアーの中間であるセミシアーを充実させることで、光を適度に取り込みつつも、外の気配や風景を感じられるアイテムを充実させた。
今回のテーマ「Calm is the new Luxury.」は、以上のようなこれまでの文脈を受け継ぎながらも、“静けさこそが究極の贅沢”という考え方でまとめ上げた。現代における真のラグジュアリーを再定義するもので、シンプルでありながらどこまでも心豊かであるという“ラグジュアリー・ミニマリズム”の提案である。
これは言い換えると、“クワイエット・ラグジュアリー”。具体的には、圧倒的な高品質、職人の技が光るホンモノ志向であり、その背景にあるストーリーや“エシカル”な価値観といった本質を求める心の豊かさこそを大切にしたものだといえる。



カラード・ニュートラルと上質なテクスチャー
そんなマナトレーディングが提案するカラーパレットは、カラード・ニュートラル、すなわち明度・彩度を抑えつつ繊細で奥深いニュアンスのあるカラーを揃え、グレーでも温かみのある色合いをベースに、ブルーグリーン系の大自然をイメージさせる穏やかなものを合わせて構成するというもの。
とくに強調されているのは、メロウなブラウン、テラコッタやサンド、キャメルのようなアーシーな土着系色。赤や黄を抑えたブラウンを選ぶことで、ラグジュアリーかつ都会的に構成できると説明する。
こうした落ち着いたカラーを使うことでより重要度を増すのが、素材・テクスチャー。リネンやコットン、ウール、シルクといった上質かつナチュラルな素材感がカギとなっている。
以上を踏まえた新作は、44柄、172色。このうち41柄、163色が防炎であるである。
注目の11ファブリックで見る「OMBRÉ」の空間提案
以下、その空間イメージとスタイリングのこだわりの一端を、キーとなる製品を切り口に、会場写真と共に紹介していく。
1.Blizzard(ブリザード)。吹雪のような動きが窓辺を彩るドレープ
「ブリザード」は、先染めジャガード織りによる、文字通り吹雪のようなダイナミックなアートっぽさを窓辺にもたらすドレープ。「Calm is the new Luxury.」の世界観を体現したリビングシーンは会場の入口を飾り、オレンジトーンをベースに全体をグレージュで構成。穏やかで洗練された空間にローな家具と組み合わせることで広がりと開放感を表現する。質感の異なるブラックが隠し味となっている。

2.Raffine(ラフィネ)。カモフラージュ模様が浮かぶ後染めジャガード
タテ糸にブライト糸を使用し、ザラメのような印象的な表情を持たせたベース地に、起毛加工でカモフラージュ模様を浮かび上がらせた後染めジャガード織りのファブリック。高層マンションのリビングルームの一角をイメージしたコーディネーションだ。

3.Manciano(マンチャーノ)。ダマスク模様でつくるアーバン・リトリート
天然コットンやリネンのようなナチュラルなテクスチャーとソフトな手触りが心地いい先染めの難燃ジャガード。オリエンタルな雰囲気のダマスク模様がトーン・オン・トーンでざっくりと織り込まれており上質なナチュラル・スタイルを演出している。会場では、アーバン・リトリートをイメージしたリビング・ダイニングで構成。

4.Bonfitte(ボンフィ)。天然リネンの風合いを備えたイタリア製ファブリック
ポリエステルでありながら天然のリネンのようなナチュラルな質感と、イタリア製ならではのアーシーで垢抜けた美しいカラーリングが大きな魅力。厚手のケースメントやスローケット、クッションなど多彩な用途でも活躍する。

5.Stella(ステラ)。静謐なオーディオルームを演出する遮光生地
タテ方向にランダムかつ立体的な“しぼ”を入れた遮光生地。ブラウンのカラーリングが空間を引き締め洗練された印象に。壁紙ともトーンを揃えシームレスにつなぐことで没入感を獲得、静謐なオーディオルームを思わせる。重厚感のあるラウンジチェアを合わせたい。

6.Quatre(キャトル)。3Dジャガードが生み出すモダンな陰影
小さなキューブの集合が大きなダイヤ柄を構成する3D効果が美しいジャガード織。洗練されたツートーンカラーが空間にモダンな陰影をもたらす。深みのあるチョコレートブラウンとネイビーを主役に壁紙まで色調を揃えるドミナント配色でまとめた装飾的な「デコール」の世界を演出している。

7.Karaburan(カラブラン)。イカット調ストライプとメタリックな煌めき
伝統的なイカット調のストライプを現代的に表現した先染めジャガードで、メタリックでハードな煌めきとナチュラルなテクスチャーが絶妙にミックスされている。カーテンや壁紙、床材のベースカラーをイエローで統一し空間全体を包み込むような心地よさを表現したリビングに好適。

8.Blooms(ブルームス)。牡丹の刺繍をモノトーンで楽しむベルベット
ベルベットで牡丹系の花模様が刺繍された贅沢なファブリック。モノトーン調のニュートラルカラーに色を絞り込むことで、華やかながら静かで洗練されたモダンな雰囲気を醸し出す。スタイリングは、グレーのトーン・オン・トーンを基調としたニュートラルカラーで構成。

9.Rimini(リミニ)。異素材の糸が描く「OMBRÉ」のキービジュアル
「Calm is the new Luxury..」を体現する、OMBRÉのキービジュアルに用いられているのは、ナチュラルな太い意匠糸とメタリックな細い光沢糸を組み合わせた「Rimini」。
イタリア・メイドならではの、ナチュラルでざっくりとしながらも洗練された印象なのは、床・壁とグレージュで統一し色のコントラストを抑えたトーン・オン・トーンによって、素材本来の質感が豊かな表情を見せているから。内と外をシームレスに繋ぐインビトゥイーンな景色まで見えてくる。
無垢材の脚が映えるIXC.のPLATOソファのようなストレートを基調としたローラインのソファ、木や金属、ガラスといった異素材と組み合わせることで、聴覚まで研ぎ澄まされるような視覚と触感を得られる。

10.Quattro(クワトロ)。幾何学柄が美しいリネン調の広幅シアー
清涼感のあるリネン調のベース地に、細やかな織り文様の幾何学柄が美しい広巾シアーが、窓辺に現代的で洗練されたニュアンスをプラスします。スタイリングとしては、イエローをベースに差し色も控えめにすることで、スタイリッシュなリビング・ダイニングを構成している。

11.Maroso(マローソ)|ホームシアターにも適した遮光1級のアールデコ生地
アールデコ・スタイルの遮光生地で、3種の糸を使用した「三重ビーム織」により、淡色でありながら遮光1級の高機能性を確立しておりホームシアターに好適。後染めながら凝った深みのある表情を実現しており、上質な空間を演出する。スタイリングのカギは、イエローを基調に光沢感のあるカラーで構成し、アンティーク小物をアクセントとして取り入れることで、空間に奥行きを持たせている点。

マナトレーディング初のオリジナル壁紙、今秋発売へ
プレゼンテーションの最後には、マナトレーディング初のオリジナル壁紙のリリースが発表された。海外の壁紙は日本の環境には取り入れにくい個性的な柄が多いこと、一方で国内メーカーのものはビニール素材中心であったことからニーズが高かったのだという。
そこでマナトレーディングでは、(1)建築とインテリアをつなぐ壁紙であること(2)選びやすく使いやすい仕様、(3)不織布を使用し環境へ配慮した施工性の良い壁紙コレクションであるというポイントを掲げて開発。その上でマナトレーディングらしい表現を大切にしたという。
具体的には、素材本来の本質と質感を表現し、空間全体をデザインできること、そして直感的に選べるカラーシステムを導入していることが特徴だという。すべて92cm幅でメーターカット販売、上代価格が1500円で今秋発売予定とのこと。詳細を待とう。
[問い合わせ先]
- マナトレーディング
東京ショールーム
東京都目黒区上目黒1-26-9 4F
10:00〜18:00(日曜・祝日定休、要予約)
https://manas.co.jp
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fy7d(エフワイセブンディー)代表
遠藤義人
ホームシアターのある暮らしをコンサルティングするfy7d(エフワイセブンディー)代表。ホームシアター専門誌「ホームシアター/Foyer(ホワイエ)」の編集長を経て独立、住宅・インテリアとの調和も考えたオーディオビジュアル記事の編集・執筆のほか、システムプランニングも行う。「LINN the learning journey to make better sound.」(編集、ステレオサウンド)、「聞いて聞いて!音と耳のはなし」(共著、福音館書店。読書感想文全国コンクール課題図書、福祉文化財推薦作品)など。