NIPONIQUE、ミラノデザインウィーク2026に出展。筑後発の素材提案が空間デザインに新たな質感をもたらす

 取材/LWL online編集部

日本の素材や職人技を、単体のプロダクトとしてではなく、空間全体の質感や気配を構成する要素として再編集する。そのような視点を携えて、インテリア雑貨ブランド「NIPONIQUE(ニポニーク)」が、2026年4月21日(火)から26日(日)までイタリア・ミラノで開催されるミラノデザインウィーク2026の期間中、「Fuorisalone」に出展する。

「NIPONIQUE(ニポニーク)」は、福岡・筑後のものづくりを起点に、日本各地の素材と技術を束ねながら、空間の世界観に応答するマテリアル提案を行うブランド。会場はミラノの日本食レストラン「Wicky’s Innovative Japanese Cuisine」。インテリアと食が交差する場を舞台に、日本の美意識を立体的に提示する。

家具ではなく空間の質感を提案するブランド

NIPONIQUEは日本の職人技に根ざした美意識と、ヨーロッパの品質・最先端トレンドの双方を理解し、空間ごとに「世界観に合った質感」を構成する提案型マテリアルブランドである。注目したいのは、日本の職人技や地域素材を背景に持ちながら、それらを単なる和の意匠として消費するのではなく、現代空間の文脈に接続し直している点だ。

今回の展示では、セラミックや人造大理石、手塗り塗装、丹後ちりめん、い草といった素材を、ダイニングテーブル、椅子、ランプなどに具現化した。家具の街・大川の木工文化や、筑後の自然とともに育まれてきた実直なものづくりを下敷きにしながら、「侘び寂び」の美意識を軸とした静かな空間表現を構築する。

LWL onlineの文脈から見て興味深いのは、ここで提示されるのが「製品の機能」ではなく、「空間にどのような陰影や余白を生み出すか」という設計感覚である点だ。
光、素材、手触り、そして視線の移動によって変化する表情まで含めて、空間体験としてデザインしようとする姿勢がうかがえる。

光と視点で表情を変えるテーブル、人造大理石の質感を宿すランプ

出展作のひとつとして紹介されているのが、曜変天目に着想を得たダイニングテーブル。
天板には光の奥行きや発色の揺らぎを思わせる人工大理石を採用し、光の当たり方や視点によって色彩や反射が揺らぎ、表情が連続的に変化することで、空間に時間的な広がりをもたらす。静止した家具でありながらも、時間の流れを感じさせる表現を志向している。

視点によって色彩が変化する曜変天目
ダイニングテーブル

また、トクラス社の人造大理石と手塗り塗装技術を用いたランプも展示される。
円柱から削り出したような簡潔なフォルムに、多様なサーフェイスを与えることによって、消灯時と点灯時で異なる表情を見せる設計としている。柔らかな光が陰影をつくり、素材そのものの重みや質感を身体的に意識させるプロダクトに仕上げている。

照明を単に明るさを確保する道具としてではなく、素材の存在感を立ち上がらせる媒介として扱っている点に刮目する。光と素材の関係性を通して空間に奥行きを与えるという発想は、建築やインテリアの質を考えるうえでも示唆に富む。

トクラス社の人造大理石と手塗り塗装によるランプ
全6種類

日本的な構造美を現代の家具へと再構築

木工にも日本的な構造感覚の再解釈を施した。

格子構造の技術を応用して現代的に再構築したアームチェアは、背や脚に抜け感と軽快さを与えつつ、精緻な接合によってクラフトマンシップと造形性を両立させている。直線材の集合で緩やかな曲面をつくり出し、座面と膝下に組まれた格子ジョイントが強度を支える構成は、繊細さと合理性が同居する日本的な美意識を思わせる。

一方、二本脚と片側支持の座面というミニマルな構造で成立する木製チェアは、余白を活かす空間感覚をそのまま家具の構造へ置き換えたような存在である。視覚的には軽やかでありながらも、身体を自然に受け止める安定性も備える。座面には丹後ちりめんやい草が用いられ、地域素材が構造のミニマリズムと結びつけられている。
特にい草の座面は、熊本県八代産の高品質ない草を用い、水分量の管理を含む高度な技術によって曲線形状を実現したとのこと。自然素材をそのまま懐古的に見せるのではなく、現代的な構造や造形に接続している。

京都の伝統的な織物、丹後ちりめんの座面
い草で仕立てられた座面

い草と生分解性プラスチックが切り開く、次世代のマテリアル表現

今回の展示で注目しておきたいのが、い草と生分解性樹脂を組み合わせた次世代のサステナブルプロダクト提案だ。NEQAS社の生分解性プラスチックと天然素材であるい草を融合させることで、使用後には土壌や海洋環境など、さまざまな自然環境下で分解され、自然へ還る循環型の設計を実現している。

さらに、生分解性プラスチックの一部にい草を配合する試みも行われている。光が当たると、い草の隙間にクリスタルのような輝きが生まれるテキスタイルや、生分解性樹脂の部分から光があふれるランプなど、環境配慮を機能説明にとどめず、視覚的な美しさへと昇華させている。

サステナブル素材が増える一方で、しばしばそれは言ってみれば「環境面での正しさ」という文脈だけで語られがちである。しかし、NIPONIQUEの提案はサステナブル素材を空間の感性や詩学の側から捉え直そうとしているように思える。環境性能とデザイン性を分断しない志向は今後のインテリア提案において示唆的である。

生分解性樹脂の部分から光が溢れるランプ
光が当たるとい草の隙間にクリスタルのような輝きをみせるテキスタイル

食とインテリアが交わるミラノでの体験型展示

展示会場となる「Wicky’s Innovative Japanese Cuisine」では、オーナーシェフのWicky Priyan氏と「鮨おがわ」小川聡氏によるコラボレーションも実施される。日本の食とインテリアを同じ空間で提示することによって、素材や技術を単なる物質としてだけではなく、生活文化の総体として見せようとする意図が感じられる。

日本の素材、地方の技、デザインの編集力、そして食の演出。それらすべてをミラノという国際的な舞台で交差させる今回の試みは、ローカルなものづくりをグローバルな空間言語へと翻訳する実践でもある。NIPONIQUEの出展は単なる日本的意匠の輸出にとどまらず、空間の質感そのものを提案する試みなのかもしれない。

出展概要

  • タイトル:NIPONIQUE’s exhibition in Milan
  • 会期:2026年4月21日(火) -24日(金) 10:00 -17:00
  •                      4月25日(土) -26日(日) 12:00 -17:00
  • Wicky‘s × SushiOgawa Japanese Cuisine Collaboration
  • Lunch 4月21日(火)- 24日(金) 12:30-15:00
  • Dinner 4月21日(火)- 26日(日) 19:30-00:00
  • 会場:Corso Italia, 6, 20122 Milano MI,(イタリア・ミラノ)
  • Google Map https://maps.app.goo.gl/ae64EcvyZD6Abg958

展示会公式サイト Fuori salone.it
https://www.fuorisalone.it/en/brand/3536/NIPONIQUE

関連サイト
https://niponique.com

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    LWL online 編集部

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