KAMIYA「FINA」がRed Dot Design Award 2026受賞、1cmフレームのフルハイトドアが示す日本的ミニマリズム

 取材/LWL online編集部

ドアは空間を仕切るための建具である以前に、空間の密度を調律する装置でもある。KAMIYAのフルハイトドア®は、天井まで届く高さと枠を極限まで消した納まりによって、住宅の視界と印象を静かに書き換えてきた。その系譜に連なる極細アルミフレームドア「FINA(フィーナ)」が、「Red Dot Design Award 2026」を受賞した。

わずか1cmという線の細さは、余計なものを削ぎ落とし、境界をできるだけ軽くすることで、空間そのものを際立たせる。ミニマリズムと日本的な空間感覚が交差する設計思想が宿っている。

扉の存在を消すKAMIYAのフルハイトドア®

KAMIYAのフルハイトドア®は、一般的な室内ドアに生じる下がり壁をなくし、開口を天井まで伸ばすことで、空間の連続性をつくり出してきた。標準高さ2.7m、最大3mまで対応する室内ドアであり、上枠のない構成が視線の流れを妨げず、開放感をもたらす。

LWL onlineでも以前、このフルハイトドア®を、単なる間仕切りではなく「空間をチューニングする装置」として位置づけ、日本的な「ゆらぐ境界」や「空(うつ)」の感覚に接続して論じた。
閉じても圧迫感を生まず、開けば空間同士が自然に溶け合う。その設計は襖や障子の延長線上にある現代の建築言語として読むことができる。

関連過去記事
KAMIYA「MILAOS」が拓く、扉の新境地【ドア×IT】

均整の設計で「Red Dot Design Award 2026」受賞

今回「Red Dot Design Award 2026」を受賞した「FINA」は、わずか1cm幅の極細アルミフレームに加え、従来は機構上難しかった「四辺のフレーム幅の統一」を実現した。ブランドが「無駄を削ぎ落としたアルミフレームドア」と位置づけるとおり、単にフレームが細いだけでなく、線の太さを徹底的に整えることによって、ドア全体をひとつの静かな面として成立させている点が特長である。

ドアは本来、枠や金物、見切りによって情報量が増えやすい建材だ。だがFINAは、そのノイズを極限まで抑えることで、ガラス、壁、光の関係をより純度高く見せる。受賞は、その緊張感あるバランスへの評価と見るべきだろう。

1cmフレームが体現するミニマリズムと余白のデザイン

KAMIYAの公式カタログには、「Less is More」という言葉とともに、華美な装飾だけでなく、従来当たり前とされてきた枠さえも削ぎ落とし、空間に溶け込む一体感や調和を追求してきた姿勢が記されている。
注意しておきたいのは、ミニマリズムが単なる禁欲的デザインではないということだ。線を減らし、面を整え、建具の存在感を薄くすることで、むしろ空間の質感や光の濃淡、素材の緊張感が前に出てくる。日本の美意識は、しばしば装飾の豊かさよりも、余白の整え方や境界の扱い方に宿る。「引き算の美学」と称すべき思想である。FINAの1cmフレームはその思想をアルミとガラスで現代化したものだと言っていい。

「見せる」ではなく「引く」。日本的ミニマリズム

近年、アルミフレームドアは収納やパーティションの文脈で広く普及しつつあるが、FINAが一線を画すのは、トレンドとしてのフレームドアではなく、建築の中でどう見えるか、どう消えるかにまで踏み込んでいる点だ。

LWL onlineでも繰り返し主張してきたが、ラグジュアリーとは過剰な演出ではなく、秩序が静かに機能し続ける状態である。その意味でFINAは目立つためのミニマルではない。空間の主役をドアに奪わせず、むしろ建築、家具、光、そして住まい手の所作を際立たせるためのミニマルだ。日本的なるデザインが今日なお有効であるなら、それはこうした「引くことによって空間を豊かにする」設計においてだろう。

住宅の品位を決めるディテールになる

KAMIYAのフルハイトドア®はこれまでも、ドアを「部屋を分ける道具」から「空間価値をつくる建材」へと押し上げてきた。天井まで届く開口の伸びやかさ、壁面との連続性、そして1cmという極細フレームがつくる静かな輪郭。こうした要素が組み合わさることで、ドアは単体のプロダクトを超え、住宅全体の品位を左右するディテールへと昇華していく。ミニマリズムとは、削ることの競争ではなく、どこまで空間に敬意を払い、どこまで境界を美しく扱えるか、である。その問いに対するKAMIYAの回答が「FINA」なのである。

  • 取材

    LWL online 編集部

Related articles 関連する記事

  1. home Home
  2. INFO
  3. KAMIYA「FINA」がRed Dot Design Award 2026受賞、1cmフレームのフルハイトドアが示す日本的ミニマリズム