ECOVACS「DEEBOT X12S PRO OMNI」「T90 MAX Family」発売。OZMOローラー3.0で「洗いながら拭く」
取材/LWL online編集部
エコバックスジャパンが、ロボット掃除機「DEEBOT」の新モデル「DEEBOT X12S PRO OMNI」と「DEEBOT T90 MAX Family」を発表した。注目機能は清掃中もローラーを洗浄し続ける「OZMOローラー定圧式常時洗浄モップシステム 3.0」。吸引力競争が続くロボット掃除機市場で、ECOVACSは「床をどう拭くか」という水拭きの根本に改めて踏み込んだ。ロボット掃除機は、床を掃除する家電から、住空間を継続的に維持する「床管理システム」へと進化しつつある。
LWL onlineでは先日、IFA 2026でECOVACSが披露した床・窓・庭・プールへ広がるホームロボティクス戦略についても紹介した。
「汚れたモップで拭き続ける」を変えるOZMOローラー3.0
吸引掃除と水拭きを1台でこなすロボット掃除機はいまでは珍しくない。ただし、水拭きには構造的な課題がある。
モップで汚れを拭き取れば、当然ながらモップ自身も汚れていく。そのまま走行を続ければ、汚れを含んだモップで別の場所を拭くことにもなり得る。考えてみれば当たり前だが、水拭き性能を高めるほど、モップそのものを清潔に保つ仕組みも重要になる。
この課題に対して、ECOVACSが近年力を入れているローラー式の水拭きは、「清掃しながら、モップそのものも洗い続ける」という方向から回答を出している。
今回の3機種には、新世代の「OZMOローラー定圧式常時洗浄モップシステム 3.0」を搭載。清潔な水をローラーへ継続的に供給しながら、ローラーに付着した汚れを除去・回収することで、汚れが床へ再付着することを抑える。要するに「洗いながら拭く」という清掃プロセスへとロボット掃除機を進化させたのだ。
27cmの大型ローラー採用。「DEEBOT X12S PRO OMNI」の水拭き性能
フラッグシップとなる「DEEBOT X12S PRO OMNI」では、従来モデルより約50%長い27cmのローラーモップを採用。
床面に4,000Paの圧力をかけながら毎分260回転し、32個のノズルから清潔な水を継続的に供給する。超極細マイクロファイバー製ローラーを採用することで、一般的な繊維製ローラーと比較して、床面に残る水分量を約67%低減した。
さらに「FocusJet 2.0」の採用によって、乾いた醤油やコーヒー、キッチンの油汚れなどに水と洗浄液を直接吹き付け、約15~30秒浸透させてからローラーで清掃する。「汚れを浮かせてから除去する」という工程を組み込んだ。

最大53AWの「ECOVACS BLAST」。吸引力だけではない清掃システムへ

吸引性能も強化された。X12S PRO OMNIには、新しい吸引システム「ECOVACS BLAST」を搭載。最大53AWの吸引性能をうたい、床面に密着しやすい吸引構造とブラシによって、カーペットの繊維に入り込んだホコリやゴミ、ダニなどをかき出して吸引する。
AW(Air Watt)は、風量と真空度の両方を組み合わせて評価する吸引性能の指標のひとつだ。
ロボット掃除機では近年、「最大○万Pa」といった吸引力の数値が競争軸になっている。しかし実際の清掃性能は、吸引力だけでなく、風量、ブラシ、吸引口の構造、走行方法など複数の要素で決まる。単一のスペックで性能が測れるわけではない。
このほか、気流を利用して髪の毛がブラシへ絡まることを抑える「ZeroTangle 4.0」や、ローラーが最大2.58cm伸びて壁際まで清掃する「TruEdge 3.0」も搭載する。
「ロボット清掃システム」として、さまざまな機能が統合されていく方向性がより鮮明になった。
AIは「障害物を避ける」から清掃そのものを計画する存在へ
LWL onlineがロボット掃除機を継続的に取り上げている理由のひとつに、「家庭に早くから入ってきたロボット」ということに加えて、家庭用ロボットのなかでも早くから「空間認識」と「自律行動」を実用化してきた存在だという背景がある。
X12S PRO OMNIでは、「AIVI 3D 4.0」が周囲の状況や障害物を認識し、障害物の種類に応じて接近距離などを調整しながら走行する。また、「AGENT YIKO 3.0」という機能は、住環境や生活習慣、ユーザーの好みに合わせて清掃プランを作成し、清掃スケジュールを自動設定・実行する。
AIが担う役割は障害物を避けるという動きを超えて、清掃タスクそのものをロボット側が判断する方向へ進み始めていると言っていい。

掃除したロボット自身も自動でメンテナンスするOMNIステーション
そして、ステーションの進化も見逃せない。
X12S PRO OMNIのOMNIステーションでは、ローラーモップの洗浄だけでなく、洗浄トレイの高圧洗浄、汚水ボックスの自動洗浄、空気経路の乾燥、自動ゴミ収集などを自動化している。
最大100℃まで加熱するヒーターを用いたモップ洗浄を採用。清掃後のローラーやステーション内部まで含めて衛生状態を維持することを目指している。
ロボット掃除機には、「掃除をするロボットを誰が掃除するのか」という課題がついてまわってきた。ステーションの高度化によって、この課題=人間による手作業を減らすための進化も進んできた。

「DEEBOT T90 MAX Family」にもOZMOローラー3.0を展開
こうしたローラー式水拭き技術はフラッグシップモデルにとどまらず、普及タイプにも搭載されるようになった。

「DEEBOT T90 MAX PRO OMNI」と「DEEBOT T90 MAX OMNI」にも「OZMOローラー定圧式常時洗浄モップシステム 3.0」を搭載する。ローラーに3,800Paの圧力をかけながら毎分200回転で清掃し、32方向から清潔な水を供給。27cmのローラーモップを採用している。
吸引力は「T90 MAX PRO OMNI」が最大40,000Pa、「T90 MAX OMNI」が最大30,000Pa。T90 MAX PRO OMNIでは、OMNIステーションによる最大100℃の温水を使ったローラーモップ洗浄にも対応する。
価格は「DEEBOT X12S PRO OMNI」が229,900円、「DEEBOT T90 MAX PRO OMNI」が149,800円、「DEEBOT T90 MAX OMNI」が139,800円。いずれも税込となる。

ロボット掃除機は「床を掃除する機械」から「床を管理するシステム」へ
ECOVACSは2024年9月から、ローラーを洗浄しながら床を水拭きするロボット掃除機を展開し、その後も技術改良を続けてきた。同社によれば、ローラー洗浄ロボット掃除機の世界累計販売台数は250万台を突破している。
今回の新しいDEEBOTシリーズを見ると、ロボット掃除機の競争軸が「吸引力」から、さらに広がっていることがわかる。特に、ロボットやステーションのメンテナンスの自動化は進化のポイントだろう。
人間が行ってきた一連の床掃除を、ひとつの連続したプロセスとしてロボット化していく。
ロボット掃除機は、住空間の状態を継続的に維持する「床管理システム」へと変わりつつある。
今回のDEEBOTシリーズはその進化の現在地を象徴する製品だと言えるだろう。
「DEEBOT X12S PRO OMNI」「DEEBOT T90 MAX PRO OMNI」「DEEBOT T90 MAX OMNI」紹介ページ
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