YAMAGIWA、曲げわっぱの技を用いた新作照明「O-LIGHT」発売。秋田杉が生む静かな光
取材/LWL online編集部
YAMAGIWAは、デザイナー武内経至とのコラボレーションによる新作照明「O-LIGHT」を発売する。日本の伝統工芸「曲げわっぱ」の技法に着想を得て、天然の秋田杉を用いた照明オブジェとして仕上げた。消灯時の佇まいまで意識したデザインは、YAMAGIWAが長年培ってきたオリジナル照明の思想にもつながっている。
同製品は、2026年6月10日(水)から12日(金)まで、デンマーク・コペンハーゲンで開催されるデザインイベント「3daysofdesign」のYAMAGIWAブースでも展示される。
曲げわっぱの技から生まれた、武内経至デザインの新作照明
「O-LIGHT」は、曲げわっぱの伝統工芸士との協働により、一点一点丁寧に制作される。薄く加工した杉材を曲げ、端正な曲面をつくり出す曲げわっぱの技法は、日本の手仕事が長く培ってきた合理性と美しさを併せ持つ。
その技術を照明に応用することで、「O-LIGHT」は、素材、工芸、光が一体となったプロダクトとして成立している。秋田杉の柔らかな表情、乳白アクリルを通した光、細い鋼のフレームが組み合わされ、静かでありながら印象に残る照明オブジェとなった。

デザインを手がけた武内経至は、1977年福岡県生まれ。15歳でニュージーランドへ渡り、その後フランスへ留学。2005年から2012年までNaoto Fukasawa Designに所属し、2012年にミラノへ拠点を移した。2015年にはKeiji Takeuchi s.r.l.sを設立し、Alessi、MillerKnoll、Boffi DePadova、Fredericiaなど、国内外のブランドのデザインを手がけている。2024年にはMilano Triennaleにて展覧会を企画・キュレーションするなど、国際的な注目を集めるデザイナーだ。

消灯している時間まで美しい、照明オブジェとしての佇まい
「O-LIGHT」は点灯時の美しさだけでなく、消灯時の存在感まで意識されてデザインされている。
たしかに、照明は常に明かりを灯しているわけではない。むしろ住空間の中では、消灯したまま家具やアートピースのように置かれている時間の方が長い。「O-LIGHT」は、その時間にも空間にやさしく溶け込み、身近なオブジェとして佇むことを目指している。
点灯すると、乳白アクリルを通した光が上方へやわらかく広がる。空間を明るく照らし上げるというよりも、周囲に穏やかな陰影を生み出す間接照明として設計されている。光の強さを主張するのではなく、明暗のコントラストによって空間の雰囲気を整えるのだ。
素材には国産の秋田杉を使用。杉材は使い込むほどに色味が深まり、時間とともに表情を変えていく。YAMAGIWAは、その経年変化も「O-LIGHT」の魅力のひとつとして捉えている。
光源には、タイムレスな電球タイプを採用した。LEDが主流となった現在においても、交換性や扱いやすさ、長く使い続けることを考えたとき、電球タイプの光源には大きな意味がある。素材とともに暮らし、時間とともに風合いを育てていく。そうした思想が、光源の選択にも反映されている。
YAMAGIWAが培ってきた、オリジナル照明へのまなざし
YAMAGIWAは1923年、秋葉原で電気資材の卸業として創業した。1954年に照明部を設置し、本格的に照明事業を開始。1964年には欧米照明ブランドとの提携による輸入事業を始めるとともに、美術館、オフィス、商業施設、ホテルなどの照明計画を幅広く手がけるようになった。
1960年代後半からは、オリジナル照明器具の開発にも踏み出している。1970年には照明デザインと技術部門に関する関連会社を設立し、建築照明を日本に本格導入。多くの名作照明を生み出すとともに、照明デザイナーを輩出してきた。
その後も、YAMAGIWAは建築家やデザイナーとの協働を重ねてきた。1992年には米国フランク・ロイド・ライト財団とライセンス契約を結び、1994年にはFLWタリアセンシリーズの開発・製造・販売を開始。2007年には伊東豊雄デザインの「MAYUHANA」を発表している。
YAMAGIWAにとってオリジナル照明とは、光の技術、素材の扱い、空間への理解、そしてデザイナーとの協働を通じて、暮らしの中にどのような情緒を生み出すかを探る試みであるといえるだろう。
今回の「O-LIGHT」も、そうしたYAMAGIWAの歩みに連なるプロダクトと捉えることができる。
曲げわっぱという日本の伝統工芸を懐古的なモチーフとして用いるのではなく、現代のインテリアに馴染む照明オブジェとして再構成している。天然木の温かさを生かしながらも、全体のフォルムは過度に民芸的ではない。細いフレームや乳白アクリルとの組み合わせにより、端正で軽やかな印象に仕上げられている。
ナチュラルとブラックの2色を展開。3daysofdesignでも展示
「O-LIGHT」は、ナチュラルとブラックの2色を展開する。
価格は両モデルともに275,000円(税込、ランプ別)。サイズはH600×W270×D240mm、質量は1.7kg、消費電力は7.4Wで、中間スイッチを備える。光源はE26 LED電球60Wタイプ(1灯)を使用。本体の素材は、ナチュラルモデル「320S7617L」が秋田杉、ブラックモデル「320S7617B」が秋田杉(塗装仕上)となっており、それぞれに鋼塗装仕上のフレームと乳白アクリルが組み合わされている。
また、6月10日(水)から12日(金)までコペンハーゲンで開催されている「3daysofdesign」では、Odd Fellow Palace内のYAMAGIWAブースにて展示される予定だ。日本の工芸と現代デザインを結びつけた照明として、国際的なデザインイベントの場でも注目を集めることだろう。


工芸、素材、光が結びつく、新たな照明のかたち
光は、空間を明るくするとともに、素材の表情を浮かび上がらせ、陰影をつくり、部屋の空気を整えるものでもある。
「O-LIGHT」は、曲げわっぱの技術、秋田杉の質感、武内経至の端正なデザイン、そしてYAMAGIWAが長年培ってきた照明文化を結びつけたプロダクトである。点灯時には柔らかな光をもたらし、消灯時には静かなオブジェとして空間に寄り添う。YAMAGIWAの「O-LIGHT」は、光と素材と時間が重なり合う暮らしを提案している。
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LWL online 編集部