IXC、ガムフラテージの新作「ARISA」「SOLAGE」を発表。ヴィコ・マジストレッティ「OZU」も
取材/LWL online編集部
カッシーナ・イクスシーは、オリジナルブランド「IXC(イクスシー)」の2026年10月新作コレクションを発表する。アートディレクターを務めるガムフラテージによるダイニングコレクション第2弾として、ダイニングテーブル「ARISA(アリーザ)」とチェア「SOLAGE(ソラージュ)」が登場。さらに、ヴィコ・マジストレッティが1980年代半ばに構想したラウンジチェア「OZU(オヅ)」も披露される。家具と人、そして空間との関係から、IXCが描く新しい暮らしの風景を見ていこう。
ガムフラテージが描く「人が集うダイニング」
デンマークとイタリア、それぞれの文化やデザイン哲学を背景に活動するガムフラテージ。北欧家具のクラフトマンシップや機能性と、イタリアデザインのコンセプチュアルな思考を横断するアプローチで知られ、家具から照明、インテリアまで幅広い分野で国際的に活動している。
今回ガムフラテージが着目したのは、「人々が集い、語らい、時間を共有する場所」としてのダイニングである。住まいにおけるダイニングは、家族や友人が集まり、会話を交わし、ときには仕事をし、日々の時間を共有する、住まいのコミュニケーションの中心となる場所だ。
そこでは、家具は人と人との距離や視線、身体の動きを自然に受け止めるものである必要がある。「ARISA」と「SOLAGE」は、そうした現代のダイニングのあり方を、柔らかな曲線と穏やかな佇まいによって表現する。
円形と楕円形で人をつなぐダイニングテーブル「ARISA」
「ARISA」は、2026年6月に発表された同名のローテーブルから発展したダイニングテーブルだ。ローテーブルでは、円形の天板と中央に配置されたベースによる彫刻的な構成が特徴とされていた。
今回のダイニングテーブルでもその造形言語を継承した。円形または楕円形の天板を採用し、暮らしの中心に人々が自然と集まるような風景を描き出す。
やわらかな曲線を描く天板に対して、ベース部にはリング状のディテールを配置した。中央に据えられたベースによって足元の自由度を確保しながら、視覚的には安定感と軽やかさを両立させている。
円形や楕円形のテーブルには明確な「上座」や「正面」が生まれにくい。互いの顔を見渡しやすく、人と人との関係をフラットにつなぐことができる形でもある。
ARISAの造形は、家具そのものを主張させるというよりも、そこに人が集まったときにはじめて完成する空間を意識したものといえるだろう。
身体をやわらかく包み込む新作チェア「SOLAGE」
ARISAと組み合わせる新作チェアが「SOLAGE」。丸みを帯びた二つのエレメントが、互いを包み込むように構成されたシルエットが印象的だ。背からアームへと続く緩やかな曲線が身体を受け止め、軽やかさを保ちながらも、安心感のある座り心地を目指している。
ダイニングチェアでは、空間の中での軽快さと、長時間座るための快適性という、ともすれば相反する要素が求められる。
SOLAGEは、ボリュームを過度に強調することなく、有機的な曲線によって身体を包み込むことで、その二つを両立しようとしている。
造形そのものは抑制されているが、曲線の連なりは非常に個性的である。IXCがブランドのデザイン哲学として掲げる「Emotional Minimalism(エモーショナル・ミニマリズム)」―シンプルで自然体な心地よさの中に、感情を動かすディテールを織り込むという考え方を端的に体現する一脚ともいえそうだ。
ヴィコ・マジストレッティの構想を現代へ。「OZU」も登場

今回の新作発表では、ARISA、SOLAGEとともに、ヴィコ・マジストレッティによるラウンジチェア「OZU」も披露される。「OZU」については、LWL onlineで既に詳しく紹介している。
マジストレッティは「MARALUNGA(マラルンガ)」など数々の名作を生み出し、戦後イタリアデザインを形づくった重要人物のひとりである。
OZUは、マジストレッティが1980年代半ばに構想したデザインを、IXCに保存されていたオリジナルドローイングをもとに現代へ蘇らせたものだ。カンチレバー構造のスチールフレームに、柔らかな座面と背もたれを組み合わせ、構造を明快に見せながら快適性を確保する。今回の製品化にあたってはモールドウレタンを採用し、オリジナルの思想を尊重しながら現代の座り心地へとアップデートしたという。
「OZU」という名前の背景にあるのが、日本映画へのまなざしだ。
マジストレッティとIXC創業者・武藤重遠との交流、そしてマジストレッティが映画監督・小津安二郎に抱いていた深い敬意が、この一脚の背景にある。

約40年前のドローイングから現代に立ち上がったOZUと、ガムフラテージによる最新のARISA、SOLAGE。時代もデザイナーも異なるが、いずれにも共通するのは、「人がそこでどのように過ごすのか」から考えている点だ。
IXCが掲げる「Emotional Minimalism」と家具の関係性
IXCは現在、「Emotional Minimalism」をデザイン哲学として掲げている。
余計な要素を削ぎ落としながら、単なる無機質なミニマリズムには向かわない。素材の質感や曲線、身体との接点といったディテールを通じて、使う人の感覚や感情に働きかける。
今回のコレクションを見ると、その方向性はより明確になったように思える。
ARISAがつくるのは、人が自然と集まる中心であり、SOLAGEがつくるのは、身体を預けてゆっくりと時間を過ごせる居場所である。そして、OZUには人の動きや暮らしに応答する家具を追求したマジストレッティの思想が宿る。
今回のIXCの新作は、家具を選ぶという行為の先にある、「暮らしの風景」までを想像させるコレクションとなっている。
【IXC 2026年10月 新作コレクション】
- 青山本店・名古屋店:2026年10月22日(木)~
- 大阪店・福岡店:2026年10月29日(木)~
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LWL online 編集部