フリッツ・ハンセン×Technics、限定ターンテーブルと名作照明を発売。光と音が融合する住空間
取材/LWL online編集部
デンマークのデザインブランド「FRITZ HANSEN(フリッツ・ハンセン)」と、日本の高級オーディオブランド「Technics(テクニクス)」が協業し、光と音をテーマにした限定モデルを2026年10月30日より発売した。登場したのは、誕生90周年を迎えるバウハウスの名作照明「KAISER idell(カイザー・イデル)」と、Technicsのダイレクトドライブターンテーブル「SL-40CBTFH」。ともに深みのあるバーガンディカラーをまとい、デザインと音響技術が融合する。照明と音楽を通じて、住空間に新たな価値をもたらすコラボレーションだ。
フリッツ・ハンセン×Technics、「光と音」で住空間をデザイン
デンマークを代表するデザインブランド、フリッツ・ハンセンと、日本のオーディオ技術を牽引してきたTechnics。異なる分野で長い歴史を築いてきた両ブランドによるコラボレーションが実現した。
今回登場したのは、テーブルランプ「KAISER idell™ 6631-T Luxus」と、ダイレクトドライブターンテーブル「Technics SL-40CBTFH」の限定モデル。いずれも、落ち着いた深みを持つバーガンディカラーが採用されている。
コラボレーションのテーマは「光と音」。光は空間の表情や雰囲気を形づくり、音楽はそこに時間的な広がりと情緒をもたらす。異なる機能を持つ二つのプロダクトが、共通する色彩と端正な造形によって結びつき、一つの空間体験を生み出す。
フリッツ・ハンセンのアジアCEO、ダリオ・ライシェル氏は、音と光は建築の構造そのものを変えなくても、その空間の感じ方を大きく変えることができると説明する。
また、Technicsの小笠原亮氏は、音楽を「時間の芸術」と捉え、光が空間を形づくり、そこで生まれる音が時間を感じさせることで、人に深く寄り添う体験を生み出したいと語る。
照明と音響は、住宅の快適性を左右する重要な要素でありながら、インテリア計画では別々の領域として扱われることも少なくない。今回の協業は、この二つを一体のデザインとして捉え直す試みでもある。
誕生90周年。バウハウスの名作照明「KAISER idell」とは
コラボレーションの一翼を担う「KAISER idell」は、ドイツ人デザイナーのクリスチャン・デルが1936年にデザインした照明シリーズだ。デルは、ドイツに誕生した造形学校バウハウスで学び、機能性と合理性を重視するモダンデザインの発展に貢献した人物である。
「KAISER idell」は、そうしたバウハウスの思想を色濃く反映した照明として知られる。精密な金属加工技術と、曲線を生かした機能的なフォルムを融合させたデザインは、誕生から90年を経た現在も高い評価を受けている。まさに「Form follows function.」というモダニズムの理念を宿したデザインである。
なかでも「Luxus 6631-T」は、丸みを帯びたシェードと優美な曲線を描くアーム、安定感のあるベースを特徴とするテーブルランプだ。シェードやアームの角度を調整できる機構を備え、必要な場所へ光を届けながら、空間に印象的なアクセントを加える。
今回の限定モデルでは、シェードとベースに深みのあるバーガンディを採用。クラシックな造形を維持しながら、現代の住宅やインテリアに調和する落ち着いた表情を与えている。
2026年は「KAISER idell」が誕生してから90周年にあたる。その節目を飾る特別なモデルとして、アジアおよびヨーロッパ向けに200台限定で展開される。

Technics(テクニクス)とは? 世界の音楽文化を支えてきた日本の高級オーディオブランド
Technics(テクニクス)はパナソニックが展開する日本発の高級オーディオブランドだ。その歴史は1965年、当時の松下電器産業が発売したスピーカーシステム「Technics 1」に始まる。
以来、音楽を忠実に再現するための技術開発を重ね、オーディオの歴史に数々の足跡を残してきた。
Technicsの歴史において重要な製品は、1970年に発売した世界初のダイレクトドライブ方式ターンテーブル「SP-10」である。
ダイレクトドライブ方式とは、モーターによってレコード盤を載せたプラッターを直接回転させる技術だ。従来のベルトドライブ方式とは異なり、ベルトに起因する回転ムラなどを抑え、高い回転精度と安定性を実現する。
さらに1972年に登場した「SL-1200」シリーズは、優れた耐久性と操作性から世界中のDJに支持され、レゲエやヒップホップ、ハウス、テクノなど、1970年代以降の音楽文化の発展にも大きな影響を与えた。特に、ターンテーブルを楽器のように操るスクラッチやターンテーブリズムの発展を支え、ポピュラー音楽史にその名を刻む名機となった。
その後、Technicsは2014年に高級オーディオブランドとして再始動。長年培ってきた音響技術と先進のデジタル技術を融合させ、ターンテーブルをはじめ、アンプ、スピーカー、ネットワークオーディオ機器などを展開している。現在のブランドメッセージは「Rediscover Music.」。音楽を聴く喜びや感動を再発見することを目指している。
精密なエンジニアリングによって音楽体験を追求するTechnicsの姿勢は、クラフツマンシップと機能美を重視するフリッツ・ハンセンのデザイン哲学とも通じるものがある。
限定ターンテーブル「SL-40CBTFH」、北欧デザインと高精度な音響技術が融合
今回のコラボレーションで登場する「SL-40CBTFH」は、Technicsのプレミアムクラスに位置づけられるダイレクトドライブターンテーブルだ。
本体には、フリッツ・ハンセンの名作照明と共通するマットなバーガンディカラーを採用。フリッツ・ハンセンのロゴをあしらったプレートや専用ターンテーブルシートを備え、家具や照明と自然に調和するデザインに仕上げられている。
音響性能の核となるのは、Technicsが長年培ってきた「コアレス・ダイレクトドライブ・モーター」だ。
モーターの構造を工夫することで回転の不均一さを抑え、安定したレコード再生を実現。上位クラスと同等となるワウ・フラッター0.025%(W.R.M.S.)を実現し、レコード再生時の回転ムラを高い水準で抑えている。
また、伝統的なS字型トーンアームや、振動抑制を考慮した設計を採用。MM型カートリッジにはデンマークの老舗カートリッジメーカー、Ortofon(オルトフォン)の「2M Red」を搭載する。
さらに、フォノイコライザーを内蔵しているため、対応するアンプやアクティブスピーカーに接続するだけで、本格的なアナログレコード再生を楽しめる。
また、Bluetooth送信機能にも対応。対応するワイヤレススピーカーやヘッドホンにレコードの再生音声を伝送できるため、ターンテーブルとスピーカーを音声ケーブルで接続する必要がない。例えば、リビングのサイドボードや書斎のシェルフにターンテーブルを置き、離れた場所に設置したワイヤレススピーカーで音楽を楽しむといった使い方も可能になる。
オーディオ機器を接続する配線がインテリア計画の制約となるケースは少なくない。高精度なアナログ再生技術を維持しながら、住空間への導入の自由度を高めた点が秀逸である。
「SL-40CBTFH」は全世界300台限定で販売される。

光と音がつくる新しいリスニング空間。3daysofdesignでも披露
フリッツ・ハンセンは1872年、デンマークで創業した。アルネ・ヤコブセンやポール・ケアホルムをはじめ、数々の著名なデザイナーとの協業を通じて、世界の家具・インテリアデザインに大きな影響を与えてきたブランドである。
一方のTechnicsも、半世紀以上にわたり精密な音響技術を追求し、オーディオ機器に独自の機能美を確立してきた。
両ブランドのコラボレーションは、2026年6月にデンマーク・コペンハーゲンで開催されたデザインイベント「3daysofdesign」でも披露された。
会場では「Fritz Hansen Sound Club」と題したインスタレーションを展開。家具、照明、音楽を組み合わせたリスニング空間を通じて、音がインテリアや空間の感じ方にどのような影響を与えるのかを探求した。
今回の限定モデルにも、その考え方が反映されている。
ターンテーブルは音楽を再生するための装置であると同時に、インテリアを構成する一つのオブジェでもある。名作照明と同じ色彩で仕上げることで、異なる用途の機器が、共通する美意識のもとに統合されている。
近年、住宅におけるテクノロジーには、機能性だけでなく、建築やインテリアとの調和も求められるようになっている。
今回の協業が示すのは、テクノロジーを目立たせるのではなく、空間に自然に溶け込ませるという考え方だ。
視覚的な快適さを生み出す照明と、聴覚に働きかける音楽。両者が調和することで、住まいは単に美しく整えられた場所から、そこで過ごす時間そのものを豊かにする空間へと変わっていく。
北欧デザインと日本の音響技術が出会った今回のコラボレーションは、これからの住宅における光と音、そしてテクノロジーのあり方を考えるうえでも非常におもしろい提案と言えるだろう。

限定モデルの価格と販売店舗。10月30日より発売
「KAISER idell™ 6631-T Luxus」と「Technics SL-40CBTFH」の限定モデルは、2026年10月30日より発売された。
発表資料に記載された「KAISER idell™ 6631-T Luxus」の価格は137,280円(税込)。アジアおよびヨーロッパ向けに200台限定で展開する。
一方、「Technics SL-40CBTFH」の国内販売価格は148,500円(税込)。全世界300台限定で、パナソニックの公式通販サイト「Panasonic Store Plus」を中心に取り扱う。
国内では、東京・南青山の「FRITZ HANSEN TOKYO」をはじめ、全国のフリッツ・ハンセンのパートナーストアでも限定モデルの展示・販売が案内されている。
歴史ある二つのブランドが、光と音という異なる領域で培ってきた技術と美意識を融合させた今回のコラボレーション。日常のリスニング空間を、より洗練されたものへと導く限定モデルとなりそうだ。
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LWL online 編集部