ル・コルビュジエの「B面」に迫る企画展、東京・東十条で開催。クルマ・絵画・音楽・写真から巨匠を読み解く
取材/LWL online編集部
20世紀を代表する建築家、ル・コルビュジエ。建築の巨匠として知られる一方、絵画や自動車、音楽にも深い関心を寄せていた。その知られざる「B面」を、クルマ・絵画・音楽・写真という4つの視点から読み解く企画展「クルマ・絵画・音楽・写真|ル・コルビュジエ」が、2026年11月22日(日)から12月27日(日)まで、東京・東十条のLet's STAR LOUNGEで開催される。建築・デザイン事務所STARが企画する本展では、原画を含む美術作品の展示に加え、4人の専門家によるトークイベントも開催。近代建築の巨匠の創造世界を、建築とは異なる角度から探る。

建築家ル・コルビュジエのもうひとつの創造世界
「近代建築の五原則」を提唱し、サヴォア邸やロンシャンの礼拝堂など、数々の名建築を生み出したル・コルビュジエ(1887〜1965)。その功績は建築史にとどまらず、現代の住宅設計や家具デザイン、さらには都市計画にも大きな影響を与えてきた。
しかし、彼の創造活動は建築だけに限定されるものではなかった。生涯にわたって絵画制作を続け、機械文明を象徴する自動車に関心を寄せ、音楽家と協働して音と空間の関係を探究した。さらに、その建築思想や作品が世界へ広がる過程では、写真というメディアも重要な役割を果たしている。
今回の企画展「クルマ・絵画・音楽・写真|ル・コルビュジエ」は、そうした建築以外の側面を「B面」と捉え、4つの異なる切り口から巨匠の人物像と創造性を読み解こうというものだ。
企画を手がけるのは、建築家・佐竹永太郎が率いる建築・デザイン事務所STAR。専門的な建築展という枠組みを離れ、アートや音楽、自動車文化などを通じて、ル・コルビュジエの世界に触れられる展覧会として構成されている。



クルマ・絵画・音楽・写真で読み解く、ル・コルビュジエの「B面」
本展で取り上げるのは「CAR」「PAINTING」「MUSIC」「PHOTOGRAPHY」の4つのテーマ。
CAR:愛した自動車ヴォアザンと、自ら構想したマキシムカー
「CAR」では、ル・コルビュジエが愛したフランスの自動車ブランド、ヴォアザンと、自ら構想したマキシムカーに着目する。
20世紀初頭、自動車は機械技術の進歩や新しい生活様式を象徴する存在だった。移動のための機械に対する彼の関心を手がかりに、クルマと建築、機械と空間の関係を考察する。
PAINTING:ピュリスム絵画から建築へ。造形思想の原点
「PAINTING」では、画家としてのル・コルビュジエに光を当てる。
彼は画家アメデ・オザンファンとともに、明快な造形と秩序を重視する芸術運動「ピュリスム(純粋主義)」を展開した。生涯にわたって続けた絵画制作は、その建築における色彩や形態、空間構成を考えるうえでも重要な手がかりとなる。
MUSIC:ヤニス・クセナキスとの協働、音楽と建築の関係
「MUSIC」では、建築家であり作曲家でもあったヤニス・クセナキスとの協働を取り上げる。
両者の協働を象徴するのが、1958年のブリュッセル万国博覧会に建設された「フィリップス館」だ。建築、映像、光、電子音楽を一体化した空間表現が試みられ、建築と異分野の芸術を融合させる実験的なプロジェクトとなった。
数学的な思考を音楽や建築へと展開したクセナキスとの関係を通じて、音楽と空間、リズムと造形の結びつきを探る。
PHOTOGRAPHY:建築写真が伝える空間と建築の魅力
そして、「PHOTOGRAPHY」では建築写真の役割に焦点を当てる。
建築は実際に訪れて体験するだけでなく、写真を介して世界中の人々に伝えられてきた。建築写真が空間をどのように切り取り、作品の印象や理解に影響を与えるのかがテーマとなっている。
ル・コルビュジエの原画を含む美術作品を展示・販売
会場では、ヨシムラファインアートの協力により、ル・コルビュジエの原画を含む美術作品が展示される。展示作品は購入も可能である。
建築家として世界的な名声を得る一方、生涯にわたって絵画制作を続けていたル・コルビュジエ。プレスリリースでは、1955年に刊行された、リトグラフを伴う書物『直角の詩(Le Poème de l’angle droit)』に関連する作品も紹介されている。
絵画と建築を別々の活動としてではなく、ひとつの創造的な営みとして捉え直すことは、建築、インテリア、アートの領域を横断する現代のデザインにも通じる視点と言えるだろう。
建築家や写真家ら4人が登壇。無料トークイベントを開催
会期中には、4つのテーマに沿って専門家によるトークイベントが開催される。
初日の11月22日(日)には、『ル・コルビュジエの愛したクルマ』の著者である岡田邦雄氏が登壇。自動車を愛した建築家の人物像に迫る。
12月12日(土)には建築家の藤井由理氏が、画家としてのル・コルビュジエを解説。翌13日(日)には建築家の銅銀一真氏が、クセナキスとの関係から建築と音楽のつながりを紐解く。
さらに12月17日(木)には、建築写真家として知られる小川重雄氏が登壇し、「建築写真とは」をテーマに語る。
いずれも参加無料で、事前予約は不要となっている。

建築事務所のラウンジを街に開かれた文化交流の場へ。
会場となるLet’s STAR LOUNGEは、STARのオフィス1階に設けられたラウンジだ。
普段は建築やデザインの打ち合わせに利用される空間だが、週末にはLet’s Beer Worksによるタップルームとして営業。クラフトビールを楽しみながら、人々が気軽に交流できる場所として街に開かれている。
美術作品を鑑賞し、専門家の話に耳を傾け、クラフトビールを片手に建築やアートについて語り合う。建築の巨匠を遠い存在としてではなく、多様な文化に関心を寄せたひとりの創造者として捉える。そんな新しい発見をもたらしてくれる展覧会となりそうだ。

「クルマ・絵画・音楽・写真|ル・コルビュジエ」開催概要
- 展覧会名: クルマ・絵画・音楽・写真|ル・コルビュジエ
- 会期: 2026年11月22日(日)〜12月27日(日)
- 開場時間: 土曜・日曜・祝日 13:00〜19:00(平日は予約制)
- 会場: Let’s STAR LOUNGE
- 住所: 東京都北区東十条2-4-7
- アクセス: JR京浜東北線「東十条駅」南口より徒歩1分
- 入場料: 無料
- 企画: STAR/エスティエイアール(teamSTAR®)
- 協力: ヨシムラファインアート、Galleria AMICA、Let’s Beer Works
トークイベント
- 11月22日(日)15:00〜16:00:「ル・コルビュジエは、なぜクルマを愛したのか」/岡田邦雄
- 12月12日(土)15:00〜16:00:「絵を描く建築家、ル・コルビュジエ」/藤井由理
- 12月13日(日)15:00〜16:00:「建築に音楽を聴く―ル・コルビュジエとクセナキス」/銅銀一真
- 12月17日(木)18:00〜19:00:「建築写真とは」/小川重雄
- ※トークイベントは参加無料・事前予約不要。
- 公式情報: https://www.instagram.com/lets_star_lounge/
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LWL online 編集部