映像機器で存在感を放つBenQが、ピアノの視環境へ。グランドピアノ向け「PianoLight® Grand」登場
取材/LWL online編集部
PCモニターやプロジェクターで知られるBenQが、ピアノ演奏のための光環境に踏み込む。アップライトピアノ向け照明「PianoLight®」を2026年4月16日に再販するとともに、グランドピアノ向けの新モデル「PianoLight® Grand」を6月中旬に発売。映像機器で培ってきた「見え方」の知見を、今度は演奏空間のライティングへと展開する。
「見え方」を磨いてきたブランド、BenQ
BenQは日本ではPCモニターやプロジェクターのブランドとして広く知られてきた。とりわけ映像機器の領域では、単に画面を表示するだけでなく、視認性や色再現、設置性まで含めた「見え方」の設計に力を注いできたメーカーとして存在感を放っている。
そうしたBenQが今度はピアノ演奏のための光環境へと踏み込む。そこには、ディスプレイやプロジェクターで培ってきた知見を、演奏空間のライティングへと展開しようとする連続性がある。
そう考えると、BenQがピアノ演奏のための照明へと踏み込むことは唐突ではない。
BenQは、アップライトピアノ向け照明「PianoLight®」を2026年4月16日に再販するとともに、グランドピアノ向けの新モデル「PianoLight® Grand」を6月中旬に発売する。その背景には、2026年2月開催の体験型展示会「お手もとのあかり展」で大きな反響を得たことがあるという。
なお、「PianoLight®」は4月9日からBenQダイレクトオンラインショップで先行予約販売を開始しており、5%オフで購入できる。さらに「PianoLight® Grand」についても、同様に先行予約販売を予定している。

ここでBenQが提案しているのは、単なる「手元灯」ではない。ピアノという楽器に向き合う時間そのものを支える、演奏のための光である。鍵盤、楽譜、そして奏者の視線の動きまでを視野に入れた照明設計は、BenQがこれまで磨いてきた「見るための技術」が、別の領域へと拡張された成果と見ることができる。
楽譜と鍵盤という二つの面を同時に照らす
BenQのSmart Lighting事業は、2017年に「ScreenBar」シリーズの先駆けとなるモニターライトを開発したことに始まる。今回のPianoLight®シリーズも、その延長線上にある製品だ。単に手元を明るくするのではなく、鍵盤と楽譜という異なる距離と角度にある対象を、どうすれば均一かつ快適に照らせるか。そこに、同社が映像機器で培ってきた視認性設計の発想が生かされている。

中核となるのは、BenQ独自の「STEREO-Light™」技術である。高反射リフレクターを用いて光を制御し、楽譜と鍵盤それぞれに適した明るさを確保しながら、まぶしさや目の疲れを抑える。光を二つの方向へ制御することで、異なる面を同時に照らし、演奏時の視認性と快適性を両立させる設計だ。
PianoLight®は、高反射率97%の光学設計とマルチゾーンレンズにより、楽譜中央を均一に照らしつつ、88鍵すべてに光を届ける。アップライトピアノの屋根に安定して設置できるコンパクトな構造も特徴で、家庭での練習環境を整える道具としてまとめられている。
一方のPianoLight® Grandは、より広い演奏空間に対応するモデルだ。鍵盤は123×15cmの範囲で330ルクス以上、楽譜面は42×29.7cmの範囲で500ルクス以上の照度を確保。鍵盤中央照度は790ルクス、楽譜中央照度は850ルクス、照度比1.5以下というムラの少ない照明環境を実現している。こうした高照度設計がコンサートホール基準を満たす明るさにつながる。
さらに両モデルは、ANSI規格に準拠した明るさ・色温度調整にも対応する。PianoLight®は明るさ15段階・色温度6段階(2700K〜5000K)、PianoLight® Grandは明るさ14段階・色温度7段階(2700K〜5300K)で調整でき、レッスンや創作、あるいは落ち着いて弾き込みたい時間など、シーンに応じた光環境を細かく整えられる。
ここで目指されているのは、照明を派手に演出することではなく、楽譜の読みやすさ、鍵盤の見やすさ、そして演奏に集中できる環境を光の側から支えることだ。BenQがこの製品で提示しているのは、ピアノのための「見え方」の再設計と言ってよいだろう。

5箇所の可変ジョイントとスマート機能で演奏環境を整える
PianoLight® Grandの大きな特徴としてまず挙げられるのが、5箇所の可変ジョイントによる高い設置自由度である。ランプヘッドから台座までの可動部によって、高さ、角度、位置を自在に調整でき、グランドピアノに限らず、デジタルピアノやアップライトピアノにも対応する。演奏空間の条件に応じて、必要な位置へ無理なく光を届けられる点はこのモデルの大きな強みだ。

加えて、重力センサーによる水平検知機能も搭載する。ライトヘッドを鍵盤中央の真上に合わせるだけで、最適な22.5度の角度へ導く設計で、奏者の身長に応じて使い分けられる2種類のアイカバーも付属。長時間の練習やレッスンでも、まぶしさを抑えた視環境を実現するという。
両モデルには、自動調光機能と着席検知機能も備わる。内蔵センサーが周囲や楽譜面の照度を個別に検知し、環境に応じて明るさを自動調整。さらに、超音波センサーにより、着席時には自動で点灯し、離席後は約3分で消灯する。使うたびに細かな操作を求めるのではなく、演奏に自然に寄り添う設計が貫かれている。
デザイン面では、PianoLight® GrandをポーランドのKabo Pydo Studioが監修。マットブラックのアルミニウム合金を用いたシンプルで端正な造形は、レッドドット・デザイン賞2024を受賞している。演奏空間に余計なノイズを持ち込まず、静かな集中を支える道具として成立させようとする姿勢が、意匠の面からも伝わってくる。

照明はしばしば脇役として扱われるが、ピアノ演奏において光は、視認性だけでなく、集中や没入、さらには空間の質感にまで関わる要素である。映像機器で“見え方”を追求してきたBenQが、その知見をピアノのためのライティングへと拡張した今回のPianoLight®シリーズは、演奏体験を支える環境設計として注目に値する製品と言えそうだ。

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LWL online 編集部