オドー・コペンハーゲンがミラノサローネ2026初出展。「The Grand Café」で体現した北欧デザインの新たな社交空間

fy7d(エフワイセブンディー)代表/遠藤義人 

デンマークのライフスタイルブランドAudo Copenhagen(オドー・コペンハーゲン)は、イタリアで開催されたミラノサローネ2026で「The Grand Café」を発表。イタリアの社交サロンの精神を再解釈した没入型の建築空間で、オドーのブランドコンセプトである「人々が集う場所」を体現したインスタレーションに15,000人を超える来場者が訪れた。

オドー・コペンハーゲンがミラノサローネ2026に初出展

オドー・コペンハーゲンとは、MENU、by Lassen、コペンハーゲンでショールーム型ホテルを展開するThe Audoが統合し2023年誕生した、デンマーク発のライフスタイルブランド。静けさと温もりを併せ持つ「ソフト・ミニマリズム」を世界観に掲げ、デンマークデザインの伝統とグローバルで現代的な視点を融合。品質へのこだわりとコミュニティとのつながりを大切にしながら、家具、照明、アクセサリーのコレクションを展開している。

世界的に著名なデザイナーや建築家との創造的なコラボレーションを通じ、長年愛されたクラシックデザインを再解釈するとともに、新たなデザインも提案。アーノルド・マドセンのOda Chairやイブ・コフォード=ラーセンのThe Seal Chair / The Penguin Chairといった歴史的名匠によるデザインに加え、ノームアーキテクツによるEave Modular SofaやHashira Lightingなど、現代を象徴するコンテンポラリーデザインが違和感なく共存する。

24年2月19日に日本ローンチした際の東京ショールームの様子。歴史的コレクションのほうがむしろ前衛的に思えるほど、ノーム・アーキテクツによるコンテンポラリーな作品のシンプルな造形が際立っていた。日本ローンチにあたりヨアキム・コーンベク・エンゲル=ハンセンは「スカンジナビアと日本のインテリア・デザインは、伝統的な美学、モダンなデザイン理念、機能性、シンプルさ、質の高いクラフツマンシップに影響を受けており、オドー・コペンハーゲンにとって最も重要な発展市場のひとつとして、日本での本格的な展開を楽しみにしています」と語っていた

なお、2022年5月よりFLOS B&B Italia Groupの一員である。同グループには、FLOS、B&B Italia、Louis Poulsen、Maxalto、Arclinea、Azucena、Lumensなどが名を連ねる。

イタリアの社交サロンを再解釈した「The Grand Café」

ノームアーキテクツが手がけた460㎡の没入型インスタレーション

「The Grand Café」は、ノームアーキテクツの共同創設者ヨナス・ビエレ=ポウルセンがアートディレクターのクリスチャン・モラー・アンデルセンと協働してデザイン。460㎡の空間構成は、イタリアの歴史主義建築と1930年代モダニズムの幾何学的な秩序から着想を得たとされており、高くそびえる列柱がゲストをいくつもの空間に誘うさまが、静けさの中に温かみのあるオドーならではの雰囲気を生み出している。

「The Grand Café」は、ラウンジエリアとカフェエリアのストーリーで構成され、それぞれの空間を形作る60点を超えるプロダクトを「ソフト・ミニマリズム」というトーンで統一。来場者は製品を体感しつつ、ドリンクを楽しみながら「集う」空間を回遊する仕組みだ。

ヨナス・ビエレ=ポウルセンは次のように語っている。

「『The Grand Café』では、単なる展示ブースではなく、壮大さと親密さを併せ持つ空間をつくりたいと考えました。人々が自然と集い、つながる空間です。イタリアの歴史主義建築や初期モダニズムの言語とスケール感を取り入れることで、Audoのコレクションを建築的な体験の中に位置づけています」

プロダクトを「空間の一部」として見せるオドーの思想

また、オドーのデザイン&ブランドディレクター、ヨアキム・コーンベク・エンゲル=ハンセンは次のように狙いを明かす。

「オドーでは、デザインは空間の中でこそ最もよく理解されると考えています。『The Grand Café』では、プロダクトを単独のオブジェとしてではなく、人が実際に過ごす空間の一部として提示しています。それは私たちが探求し続けている、ホスピタリティ、心地良い質感、そして人と人とのつながりを体現するものです」

コペンハーゲンにルーツを持ちながらグローバルな視点を備えるオドー・コペンハーゲンは、北欧発でありながらグローバルな視点で、伝統的なデザインと現代デザインを対話させる。そして単なる家具製品ではなく、あくまでも空間全体をデザインするブランドであることが窺える展示とエピソードである。彼らの中で製品は、空間において人々が交わるためのきっかけに過ぎないと言ってもいいだろう。

展示された代表プロダクト

The Tired Man(ザ・タイアードマン) Designed by Flemming Lassen(フレミング・ラッセン)

ザ・タイアードマンは、1935年に開催されたコペンハーゲン家具職人組 合展で発表され、以来、デンマークデザインを象徴するアイコンとして愛され続ける名作。卓越したクラフツマンシップと、極上の座り心地を体現するこのアームチェアは、フレミング・ラッセンによって「母熊の腕に抱かれたホッキョクグマの子どものように、温かく包み込まれる感覚」を目指してデザインされた。その特徴的な曲線フォルムは、身体をやさしく受け止め、深い安らぎをもたらす。

Eave Sofa(イーヴ・ソファ) Designed by Norm Architects(ノームアーキテクツ)

イーヴ・ソファは、屋根の軒(Eave)からその名とデザインの着想を得ている。なだらかな曲線のシルエットが洗練された美しさと快適性を実現し、ゆとりある佇まいと心地よいくつろぎを演出している。シングルモジュールから2人掛け・3人掛け、コーナーソファまでを用意。張地には、オドーならではのブークレ素材を含む、豊富なテキスタイルを揃える。

Radiohus Sofa(ラジオフス・ソファ) Designed by Vilhelm Lauritzen(ヴィルヘルム・ラウリッツェン)

ラジオフス・ソファは、デンマークを代表する建築家・デザイナー、ヴィルヘルム・ラウリッツェンによる極めて希少で特別な逸品。1936年にデンマーク放送局の本拠地として建設された「ラジオハウス(現・デンマーク王立音楽アカデミー)」のためにデザインされ、北欧ファンクショナリズムの先駆けとなる一作として誕生した。当時主流であった保守的で直線的なデザインではなく、より未来的で洗練された表現を採用しているのも、現代に通用する理由であろう。

Knitting Chair(ニッティング・チェア) Designed by Ib Kofod-Larsen(イブ・コフォード=ラーセン)

イブ・コフォード=ラーセンによりデザインされたニッティング・チェアは、1951年に限定版として初めて発表され、オドーにより現代のデンマークデザインの世界に華々しく復活した。編み物をしながらでも最大限の快適さをもたらす肘のカットアウトにちなんで名付けられたこのチェアは、まさに名匠の手による作品であることを雄弁に物語っている。

HASHIRA Collection(ハシラ コレクション) Designed by Norm Architects(ノームアーキテクツ)

日本の伝統的な和紙職人から着想を得てNorm Architects(ノームアーキテクツ)が生み出したのがハシラ・コレクション。東洋と西洋、伝統とモダンーーその融合を体現する本コレクションは、フロア、テーブル、ウォール、ペンダント、シーリング、ポータブルと多彩なラインアップで展開している。円柱形のフォルムに浮き上がる光は、静けさとプロポーション、シンプルさと個性の絶妙なバランスを映し出す。ウッドとリネンの計算された異素材の組み合わせにより、空間にやわらかな光と仄かな質感をもたらしている。

[問い合わせ先]

  • オドー・コペンハーゲン
  • 東京ショールーム
  • 東京都港区六本木5丁目17−1 AXISビル3F
  • TEL:03ー3586ー5040
  • 営業時間 平日11:00-18:00(土日祝日休み)
  • https://audocph.jp

  • fy7d(エフワイセブンディー)代表

    遠藤義人

    ホームシアターのある暮らしをコンサルティングするfy7d(エフワイセブンディー)代表。ホームシアター専門誌「ホームシアター/Foyer(ホワイエ)」の編集長を経て独立、住宅・インテリアとの調和も考えたオーディオビジュアル記事の編集・執筆のほか、システムプランニングも行う。「LINN the learning journey to make better sound.」(編集、ステレオサウンド)、「聞いて聞いて!音と耳のはなし」(共著、福音館書店。読書感想文全国コンクール課題図書、福祉文化財推薦作品)など。

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