ベントレーホーム、ミラノデザインウィーク2026で新作家具を発表。英国ラグジュアリーの哲学を住空間へ

 取材/LWL online編集部

英国のラグジュアリーオートモーティブブランド、ベントレー。その名から多くの人が思い浮かべるのは、静かに力強く路面を駆けるグランドツアラーかもしれない。しかしベントレーが長年磨き上げてきたのは単なる移動のための機械ではない。上質な素材、精緻なクラフツマンシップ、そして身体を包み込むような快適性を通じて、移動する時間そのものを豊かにするラグジュアリーの思想である。

その哲学を住空間へと拡張するブランドが「ベントレーホーム」である。
ベントレーホームは、ミラノデザインウィーク2026において、新作家具コレクションを発表した。今回のコレクションは、テーブル、ソファ、アームチェア、トランクなどで構成され、素材の質感、快適性、耐久性、そして環境負荷の低減を重視したものとなっている。

ベントレーのラグジュアリーを住空間へ

ベントレーホームは英国のラグジュアリーオートモーティブブランドであるベントレーの美意識を住空間へと広げるラグジュアリーインテリアブランドだ。

ベントレーは1919年、W.O.ベントレーによって創業された英国を代表するラグジュアリーオートモーティブブランドである。現在も英国クルーを拠点に、職人技と高度なエンジニアリングを融合させたグランドツアラーを生み出し続けている。

コンチネンタルGT、フライングスパー、ベンテイガといったモデルに象徴されるように、ベントレーの魅力はパフォーマンスだけでは語りきれない。厳選された素材、手仕事による仕立て、静謐な室内空間、そして長距離を心地よく移動するための快適性が、その世界観を支えている。

ベントレーホームは、そうしたベントレーの美意識を家具とインテリアの領域へと展開するブランドである。設立から13年を迎え、現在では世界60以上の店舗を展開。ミラノ、ジェッダ、リヤド、ドバイ、上海などにフラッグシップストアを構える。コレクションはラグジュアリー・リビング・グループによってデザイン、製造、販売されており、ベントレーのオートモーティブデザインとイタリアの家具づくりの伝統が交差する領域に位置づけられる。

ベントレーホームとは、単に自動車ブランドのロゴを家具に置き換えたものではない。ベントレーがクルマのなかで実現してきた、素材と身体感覚の関係、静けさの質、手仕事による細部の豊かさを、住まいというより長い時間を過ごす空間でも体験できるように移し替える試みであるといえる。

素材の表情を通じて生まれる、静かな豊かさ

今回の新作コレクションで強調されているのは、低環境負荷素材へのアプローチと、素材そのものの触覚的な魅力である。

仕上げには、天然樹脂や手作業でブラッシングされたシェラックラッカーが用いられる。光を強く反射して視覚的な華やかさを演出するのではなく、表面に奥行きを与え、時間の経過とともに深みを増していくような表情を目指している点が特徴だ。そこにあるのは、瞬間的な豪華さではなく、長く使い続けることで価値が育っていくラグジュアリーである。

テキスタイルにも、ウール、アルパカ、コットン、リネン、モヘアベルベットジャカードなどの天然繊維が採用されている。こうした素材は、視覚だけでなく、手で触れたときの温度感や柔らかさ、身体を預けたときの安心感に関わってくる。ベントレーホームが掲げる「五感に響く空間」とは見た目のデザインだけで完結しない。触れる、座る、寛ぐ、時間を過ごすという身体的な経験を含んだ空間のあり方を示している。

柔らかなフォルムへ。ベントレーホームが示す新たな方向性

新作コレクションは、ベントレーモーターズのデザインチームと、カルロ・コロンボ、フェデリコ・ペリといった長年のパートナーであるデザイナーとの協働によって生み出された。

カルロ・コロンボが手がけた「エンブレイス」ソファは、ラムゼイシリーズのデザインを継承しながら、より流麗で包み込むようなフォルムへと再解釈されたモデルである。全面をレザーで仕立てた外殻は、木製ヴェニアの視覚的な重厚感から距離を置き、よりシームレスで現代的な印象を与える。プロポーションにも軽やかさが与えられ、構造的な精緻さと住空間に求められる寛ぎが静かに調和している。

同じく「エンブレイス」アームチェアは、そのデザインをよりコンパクトに凝縮したモデルだ。包み込むような曲線を描く外殻、レザーと張地のコントラストが、ひとつの家具の中に緊張感と柔らかさを共存させている。

「コンティニュアム」チェアはより開放感のあるデザインを特徴としている。オープンフレーム構造により軽やかさと強度を両立し、空間や光を受け入れる佇まいを備える。そこには、ベントレーの自動車に通じる空力的なディテールもさりげなく盛り込まれている。

さらに「ドーブデール」コーヒーテーブルでは、木製ヴェニアと大理石を組み合わせ、ベントレーらしい面取りのディテールによって素材の調和を表現。「ブリムハム」オットマンは、自然の風景に着想を得た有機的なフォルムと、レザー製の「サドル」ディテールによって、機能性と耐久性を高めている。

また「ポーター」トランクは、クラシックな旅の文化を現代的な収納家具として再解釈した。よりコンパクトな「ネスト」ベッドサイドテーブルは、建築的なラインと豊かな素材使いを融合させ、現代のラグジュアリー空間にふさわしい軽やかさを示している。

ラグジュアリーはより触覚的で、より長く愛されるものへ

今回のベントレーホームの新作コレクションから読み取れるのは、ラグジュアリーの価値が、単なる希少性や装飾性から、より触覚的で、長く愛されるものへと移行しているということだ。

華やかな意匠で空間を支配するのではなく、素材が持つ奥行き、座ったときの快適性、手で触れたときの質感、時間とともに深まる表情によって、住まいの中に穏やかな密度を生み出す。そこには、ベントレーが自動車づくりで培ってきたクラフツマンシップと、住空間に求められるウェルビーイングへの感性が重なっている。

ベントレーモーターズは現在、2035年までにすべてのモデルを電動化する「Beyond100+戦略」のもと、持続可能なラグジュアリーのあり方を追求している。今回のベントレーホームのコレクションもまた、その延長線上にあるものと見ることができる。環境負荷を抑えながらも、素材の豊かさや快適性を損なわないこと。長く使われることで価値を増していくこと。こうした考え方は、これからのラグジュアリー邸宅やインテリアを考えるうえでも重要な示唆を与えてくれる。

ベントレーのラグジュアリーはもはや車内の中だけに留まらない。リビングのソファ、手に触れるアームチェア、ベッドサイドの小さなテーブルにまで、その哲学は広がっている。今回の新作コレクションは、クルマと住まいを隔てる境界を超え、暮らしそのものをラグジュアリーに仕立てるベントレーホームの現在地を示すものといえるだろう。

BENTLEY MOTORS HP

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