そして冷蔵庫は家具になる。日立×カリモク「Chiiil MINIBAR」を新横浜で展示

 取材/LWL online編集部

日立グローバルライフソリューションズとカリモク家具の協創から生まれた二段棚付き冷蔵庫「Chiiil MINIBAR」が、カリモク家具 新横浜ショールームで展示を開始した。冷蔵庫10色と木製家具3種4色を組み合わせ、家電を隠すのではなく、家具と同じように素材や色で選ぶ提案だ。冷蔵庫はどこまで家具になれるのか。家電とインテリアの境界から、これからの住空間を考える。

日立とカリモク家具の協創から生まれた「Chiiil MINIBAR」

Chiiil MINIBAR」は、日立グローバルライフソリューションズとカリモク家具による協創プロジェクト「Chiiil with Karimoku」から生まれた製品である。

日立の小型冷蔵庫「Chiiil」に、カリモク家具が製作した二段の木製棚「MINIBAR」を組み合わせた。2025年7月に発売され、2026年8月3日からカリモク家具 新横浜ショールーム9階で展示が開始。ショールームでは、単体の製品としてではなく、家具を配置した空間コーディネートの中で質感や佇まいを確認できる。

冷蔵庫10色×木製家具3種4色、計40通りの組み合わせ

冷蔵庫部分の「Chiiil」は、ホワイト、ノルディック、ダークグレーのベーシックカラー3色に、グレージュ、トープ、グラファイト、オーク、モス、ブリック、ウェンジのカスタムカラー7色を加えた、全10色を展開する。

木製家具部分は、オーク、スモークドオーク、ウォールナット、メープルの4色。主材にはオーク、ウォールナット、メープルの3種類の天然木が用いられており、冷蔵庫と木製家具を最大40通りの組み合わせから選択できる。

家電は「隠す対象」から「選んで見せる存在」へ

「Chiiil MINIBAR」の二段の棚には、グラスやカップ、飲み物とともに楽しむ菓子や軽食、小物などを置くことができる。冷蔵庫から飲み物を取り出し、その場でグラスに注ぐという一連の行動を、ひとつの家具の周囲で完結させる設計だ。

リビングの一角に置けばそこはホームバーとなり、書斎では仕事の合間に飲み物を楽しむためのコーナーができる。寝室に置けば、ナイトラウンジのような場所が生まれる。「Chiiil MINIBAR」が置かれることによって、その周囲に「新しい場所」が生まれる。

冷蔵庫の定格内容積は73リットル。約2~6度に設定できる冷蔵モードに加え、約8~16度で保存するセラーモードも備えている。飲料や軽食だけでなく、コーヒー豆、チョコレート、冷やしすぎたくない飲み物など、保存するものに合わせて温度帯を選択できる。

従来の小型冷蔵庫は、寝室や書斎に設置する実用品として扱われることが多かった。一方、「Chiiil MINIBAR」は、リビング、寝室、書斎に素材、色、手触り、経年変化といった家具の価値感を持ち込み、小型冷蔵庫を、自分時間を過ごすための場所を構築する手段としている。家電の意味を変えたといえるだろう。

家電は「隠す対象」から「選んで見せる存在」へ

これまで上質な住空間では、家電の存在感をできる限り抑えることが重視されてきた。

キッチンでは冷蔵庫や食器洗い機を扉材で覆い、リビングではテレビやスピーカーを壁面や造作家具へ収める。家電を建築やインテリアの中に隠すことが、空間を美しく見せる代表的な手法だった。

冷蔵庫を家具や建築の内部へ溶け込ませるアプローチについては、LWL onlineでも、ミラタップのビルトイン冷蔵庫「インヴィエラ」を通じて紹介している。一方、「Chiiil MINIBAR」が選んだのは、家電を見えなくするのではなく、家具と同じ基準で色や素材を選び、室内に置く方法である。

木目調のシートを家電の表面に貼るような手法ではなく、家具メーカーが手掛ける天然木の棚を組み合わせた点にも注目したい。表層的な木目表現にとどまらず、天然木ならではの質感と経年変化を取り込んだ点も重要だ。天然木は使用するうちに色や表情が変化していく。通常、家電に求められるのは購入時の状態を長く維持することだが、家具には使い込むことで風合いが深まり、愛着が生まれるという、別の価値感がある。

「Chiiil MINIBAR」は、この異なる二つの時間軸をひとつの製品の中に同居させている。

天然木と家電、異なるライフサイクルをどうつなぐか

ただし、家具と家電ではライフサイクルが異なる。長期間使われる木製家具に対し、家電は故障時の修理や、将来的な更新を前提としている。異なる寿命を持つ二つの製品をどのように組み合わせ続けるかは、今後「家具×家電」というジャンルが広がるうえでの論点になるだろう。

そのような課題はあるにせよ、「Chiiil MINIBAR」が示しているのは、冷蔵庫を容量や省エネルギー性能などのスペックだけで選ぶのではなく、どこに置き、周囲でどのように過ごし、室内の家具や素材とどう調和させるかまで含めた、新しい選択肢であり、新たな考え方である。家電を住宅の完成後に持ち込む設備ではなく、インテリアと同時に計画する時代への変化を象徴している。

家電は家具になれるのか? 変わる住空間の設計

家電は家具になれるのか?

論点は、家電の外観を家具に似せられるか否かではなく、家電によって空間の使い方が変わり、そこに新しい居場所や習慣が生まれるかどうかにある。

「Chiiil MINIBAR」は、冷蔵庫という日常的な家電から、家具と家電の境界を問い直す、象徴的なプロダクトだといえるだろう。

展示概要

  • 名称:Chiiil MINIBAR
  • 展示場所:カリモク家具 新横浜ショールーム 9階
  • 住所:神奈川県横浜市港北区新横浜1-12-6
  • 営業時間:10時~18時
  • 休館日:水曜日。祝日の場合は営業
  • 公式サイト

関連サイト
冷蔵庫「Chiiil MINIBAR」
冷蔵庫「Chiiil」

  • 取材

    LWL online 編集部

Related articles 関連する記事

  1. home Home
  2. INFO
  3. そして冷蔵庫は家具になる。日立×カリモク「Chiiil MINIBAR」を新横浜で展示