英国の音と文化が交差する3日間。Bowers & Wilkins「801 D4 Signature」で聴く、ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2026

 取材/LWL online編集部

英国のラグジュアリー・ライフスタイルを発信するVULCANIZE LONDON(ヴァルカナイズ・ロンドン)と、英国を代表するオーディオブランドBowers & Wilkins(バウワース アンド ウィルキンズ)のショールーム「Bowers & Wilkins AOYAMA」が、2026年5月3日(日・祝)から5月5日(火・祝)まで東京国際フォーラムで開催されるクラシック音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2026」に出展する。

会場ではBowers & Wilkinsのフラッグシップモデルの特別仕様「801 D4 Signature」を中心としたハイエンドオーディオシステムを使用し、「高級スピーカーで楽しむオーディオコンサート Produced by 飯田有抄さん」を開催。クラシック音楽ファシリテーターの飯田有抄さんをプロデューサーに迎え、音楽、トーク、レコード再生体験、そしてアート展示が響き合う特別な空間がつくられる。

Bowers & Wilkinsとは何か? 録音現場に選ばれてきた英国オーディオブランド

Bowers & Wilkinsは1966年に英国で設立された高級オーディオブランドである。ホームスピーカー、ヘッドフォン、カスタムインストール製品、カーオーディオなどを手がけ、半世紀以上にわたり高性能オーディオの世界で存在感を示してきた。

同ブランドが追求してきたのは、ただ単に美しい音を鳴らすことではない。アーティストがスタジオで聴き、エンジニアが作品に込めた意図をできる限り忠実にリスナーへ届けることである。その思想は、同社が掲げる「True Sound」という言葉に集約される。

Bowers & Wilkinsのスピーカーは、アビーロード・スタジオをはじめ、世界の著名なレコーディングスタジオでモニタースピーカーとして採用されてきた。つまり同ブランドの音は完成された音楽作品を家庭で楽しむための道具であると同時に、音楽が生まれる現場そのものを支えてきたリファレンスでもあるのだ。

Bowers & Wilkinsは単なるオーディオ専業ブランドにとどまらない。音楽をどのように空間へ立ち上げるのか。録音された時間、演奏者の呼吸、歌い手の息遣い、そしてスタジオの空気感まで、居住空間の中でいかに再構成するのか。Bowers & Wilkinsのスピーカーは音響機器であると同時に、暮らしの質を左右する空間装置でもある。

「801」という型番に宿る、Bowers & Wilkinsのリファレンス思想

今回のイベントで使用される「801 D4 Signature」は、Bowers & Wilkinsを象徴する800 Series Diamondの頂点に位置する特別仕様モデルである。

この「801 D4 Signature」は単に「高級スピーカー」であるということだけではない。Bowers & Wilkinsにおける「801」という型番は、ブランドの歴史と思想を背負う特別な番号でもあり、ブランドを象徴する記号である。

初代801が登場したのは1979年のことだ。当時の開発チームは「通常の制約にとらわれず、実現し得る最高のスピーカーをつくる」ための自由が与えられていたという。このエピソードが物語るように、「801」とは販売上のラインアップを埋めるために生まれた製品ではなく、Bowers & Wilkinsがその時代に到達し得る技術と思想を妥協なく注ぎ込むためのリファレンスモデルとして誕生したのである。

その後、「801」はアビーロード・スタジオをはじめとする世界的な録音現場でモニタースピーカーとして採用されていく。音を美しく脚色するのではなく、録音された音に含まれる情報を可能な限り正確に再現する。「801」という名は、そうしたプロフェッショナルな基準と深く結びついてきた。

Bowers & Wilkinsは現行の801 D4についても、「801 D4は新しい800 Series Diamondにおけるフラッグシップであり、同社のもっとも先進的な技術をもっとも純粋かつ最適化された形で投入したリファレンス・ラウドスピーカー」と位置づけている。つまり801とは、Bowers & Wilkinsにとって単なる最上位モデルではなく、「同時代におけるBowers & Wilkinsの答え」を示す番号なのである。

そして、その801 D4をさらに磨き上げたのが、今回使用される801 D4 Signatureである。Bowers & Wilkinsは同モデルを、同社でもっとも先進的なラウドスピーカーを最適化したモデルとし、緻密に進化した技術、精巧なデザイン、独自の仕上げによって、フラッグシップスピーカーをさらに完成形へ近づけた存在と位置づけている。

801 D4 Signature。音楽を空間に立ち上げるためのフラッグシップ

801 D4 Signatureには、Bowers & Wilkinsの先進技術が惜しみなく投入されている。ダイヤモンド・ドーム・トゥイーター、ソリッドボディ・トゥイーター・オン・トップ、コンティニュアム・コーンFSTミッドレンジ、タービンヘッド、エアロフォイル・プロファイル・バス・コーン、アップグレードされたクロスオーバーなど、同社の音響思想を支える技術群が高度に統合されている。

しかし、801 D4 Signatureの本当の価値は技術名の羅列だけでは伝わらないだろう。こうした技術が何のために存在しているのか? 目指されているのは、大音量や派手な迫力ではなく、音像の精度、空間の見通し、楽器や声の質感、そして録音空間の気配を、できる限り自然に立ち上げることだ。

このスピーカーは「オーディオ愛好家のための高級機器」という枠を超えて捉えるべき存在だろう。良質な音は、インテリアや照明と同じく、空間の印象を大きく変える。どのような音で満たされるかによって、部屋はラウンジにも、プライベートサロンにも、コンサートホールにもなり得る。ハイエンドオーディオとは、音を聴くための装置であると同時に、時間と空間の質を整えるラグジュアリーなインフラでもある。

801 D4 Signatureで音楽を聴くという体験は、単に高級スピーカーの音を確認することではない。Bowers & Wilkinsが「801」という型番に託してきた、録音芸術への敬意、技術の到達点、そしてリスナーのいる空間へ音楽を正確に届けるという思想を体験することでもある。

ヴァルカナイズ・ロンドン。東京で英国文化を編集する「リアルロンドン」

南青山・骨董通りに構える「VULCANIZE LONDON Aoyama」

今回Bowers & Wilkins AOYAMAと共催するVULCANIZE LONDONは、東京・南青山に拠点を構える英国ブランドのセレクトショップである。英国の伝統的なアーケードをコンセプトに、ファッション、トラベルケース、ステーショナリー、ライフスタイルアイテムまで、英国文化を象徴するブランドを幅広く紹介している。

たとえば、トラベルケースの名門「グローブ・トロッター」、英国王室御用達として知られるステーショナリーブランド「スマイソン」、シャツの名門「ターンブル&アッサー」など、英国のクラフツマンシップと現代的な感性を伝えるブランドが集う。単なる物販の場ではなく、英国のライフスタイルやカルチャーを東京で体験できる場所として、「東京のリアルロンドン」とも表現される空間だ。

Bowers & Wilkins AOYAMAは、そのVULCANIZE LONDON青山内に位置する、同ブランドの旗艦ショールーム/ストアである。ファッション、旅、文具、音楽、アート。異なるジャンルが交差するこの場所にBowers & Wilkinsがあることは、オーディオが一部の趣味人だけのものではなく、上質な暮らしを構成する文化的要素のひとつであることを示している。

音楽を聴くことは、暮らしのなかで最も身近で、同時に最も奥行きのある文化体験のひとつだ。VULCANIZE LONDONとBowers & Wilkins AOYAMAの協業は、英国ラグジュアリーを「所有するもの」ではなく、「体験する時間」として提示している。

テーマは「大河」。音楽とアートが流れをつくる3日間

ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2026のテーマは「LES FLEUVES(レ・フルーヴ)――大河」。今回のヴァルカナイズ・アカデミー特別クラスでも、このテーマに呼応し、河や水の流れ、時間、記憶、自然をめぐる音楽が紹介される。

ゲストには、音楽学者・音楽評論家の広瀬大介さん、音楽プロデューサーの岡野博之さん、音楽評論家の澤谷夏樹さん、オルガニストの石丸由佳さん、指揮者の角田鋼亮さんらが登壇予定。オペラ、ピアノ音楽、バッハ、武満徹、パイプオルガン、オーケストラ音楽など、多彩な切り口から「大河」というテーマに迫る。

また、飯田有抄さんによる予約制ワークショップ「オーディオ初心者限定!レコードで音楽を聴いてみよう」も実施される。オーディオに関心はあるが、難しそうに感じている人に向け、前半ではオーディオの基本をやさしく解説し、後半では実際にレコード再生を体験できる内容となる。

さらにブース内では、パリのサン・マルタン運河のほとりにアトリエを構える画家・高橋裕一氏の作品も展示。音楽と色彩が響き合う空間として、単なる試聴イベントを超えた文化体験が用意される。

「LES FLEUVES(レ・フルーヴ) ―― 大河」にちなみ、パリのサン・マルタン運河のほとりにアトリエを構える画家、高橋裕一氏が様々な河を描いた作品を展示するとのこと。絶え間なく流れゆく時間、連なり続ける命、そして記憶や感情のゆらぎ。音楽と色彩が響き合う豊かな時間。
また、ラ・フォル・ジュルネ開催期間中は南青山・骨董通りのVULCANIZE LONDON Aoyama内のBowers & Wilkins AOYAMAでも高橋裕一氏の作品を観ることができるとのこと

祝祭としての音楽祭。都市に一時的に開かれる「音の共同体」

「LES FLEUVES(レ・フルーヴ)――大河」。スタジオから都市へ、制作の場から聴取の場へ、音楽の大河が流れ出す

ここで改めて注目したいのは、今回の場が単なる試聴イベントではなく、ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2026という都市型音楽祭のなかに開かれるという点である。

音楽祭とは、日常の時間の流れに一時的な裂け目をつくる祝祭の場でもある。普段は仕事や移動のために通り過ぎる都市の空間が、その日だけは音楽を聴き、人と出会い、偶然のプログラムに身を委ねるための場所へと変わる。

同音楽祭は、クラシック音楽を静粛なホールの内側だけに閉じ込めるのではなく、都市のなかにひらき、多様な人々がそれぞれの感覚で音楽と出会える場をつくり出している。

中沢新一的な視点を借りるならば、祝祭とは、効率や合理性に回収される前の、人間の感覚や記憶、共同性が再び息を吹き返す場である。そこでは、音楽は単なるコンテンツではなく、人と人、人と場所、人と時間を結び直す媒介となる。
今回のBowers & Wilkins AOYAMAとVULCANIZE LONDONによる出展も、その意味では、ハイエンドオーディオを単に展示するための場ではない。801 D4 Signatureというリファレンススピーカーを通じて、録音された音楽が都市の祝祭空間へと解き放たれる場なのである。

しかも、今回のテーマは「LES FLEUVES(レ・フルーヴ)――大河」。河とは、時間や記憶を運ぶ流れであり、文化を運ぶ流れでもある。作曲家の系譜や演奏の継承、録音という技術、そしてそれを聴く現代の私たち。音楽は、過去から現在へと流れ続ける大河のように、時代を越えて人々の感覚を結びつけてきた。

その流れを、Bowers & Wilkinsの801 D4 Signatureで聴くという行為は象徴的だ。801は、録音現場におけるリファレンスとして、音楽が記録される場を支えてきた型番である。そのスピーカーが、今度は音楽祭という開かれた祝祭の場で、来場者に向けて音楽を立ち上げる。そこには、スタジオから都市へ、制作の場から聴取の場へ、音楽の大河が流れ出していくような美しい連続性がある。

VULCANIZE LONDONが持つ英国文化の編集力。Bowers & Wilkinsが受け継いできた録音芸術への敬意。そしてラ・フォル・ジュルネが持つ祝祭性。三者が一体となり、重なり合うことで、今回のブースは単なるブランド展示を超えた「音の祝祭空間」となることだろう。

オーディオを暮らしの文化として聴く

オーディオはスペックだけで語られるものではない。音楽をどのような密度で、どのような空間のなかで受け取るのか。その体験全体を豊かにするための装置でもある。その体験全体によって、音楽の印象は変わる。

今回のイベントは、Bowers & Wilkinsの801 D4 Signatureというハイエンドオーディオを、英国文化を発信するVULCANIZE LONDONの文脈、そしてラ・フォル・ジュルネという都市型音楽祭の中で体験できる貴重な機会となる。

「801」という型番が背負ってきたのは録音現場におけるリファレンスの思想であり、音楽に対する厳密な敬意である。このスピーカーが、コンサートホールの外側、都市の音楽祭のなかで、来場者に開かれることには大きな意味がある。オーディオは閉じた趣味ではなく、音楽をより深く、より豊かに受け取るための文化的な入口でもあるからだ。

ラグジュアリーな暮らしとは、豪奢なものを並べることではなく、感覚を丁寧に扱うことでもある。音楽に込められた時間、演奏者の呼吸、歌い手の息遣い、録音空間の気配に近づくこと。Bowers & WilkinsとVULCANIZE LONDONによる今回の取り組みは、音を通じて暮らしの質を考えるための、美しい入口となりそうだ。

イベント概要

高級スピーカーで楽しむオーディオコンサート Produced by 飯田有抄さん

日時:
2026年5月3日(日・祝)10:00〜19:00
2026年5月4日(月・祝)10:00〜19:00
2026年5月5日(火・祝)10:00〜17:00

会場:
東京国際フォーラム 4F ガラス棟 G402
Bowers & Wilkins AOYAMAブース
東京都千代田区丸の内3丁目5-1

入場料:無料

主な使用予定機材:
スピーカー:Bowers & Wilkins 801 D4 Signature
プリメインアンプ:Marantz MODEL 10 ×2台
ストリーミング・プリアンプ:Marantz LINK 10n
レコードプレーヤー:Denon DP-3000NE

主なゲスト:
広瀬大介さん、岡野博之さん、澤谷夏樹さん、石丸由佳さん、角田鋼亮さん、飯田有抄さん ほか

予約制ワークショップ:
「オーディオ初心者限定!レコードで音楽を聴いてみよう」
参加費:無料
定員:各回24名
講師:飯田有抄さん

ラ・フォル・ジュルネTOKYO 2026 概要

  • 催事名:ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2026
  • テーマ:LES FLEUVES(レ・フルーヴ) ―― 大河
  • 開催⽇程:2024年5⽉3⽇(日)〜 5⽉5⽇(火)
  • 会 場:東京国際フォーラム、⼤⼿町・丸の内・有楽町 他
  • 主 催:ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 2026 運営委員会
  •  (三菱地所株式会社/株式会社東京国際フォーラム/株式会社KAJIMOTO) 
  • 公式サイト:https://www.lfj.jp/lfj_2026/
  • 取材

    LWL online 編集部

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