FLEXFORMが2026コレクションを発表。家具を「記憶を宿す存在」として捉える新作群
取材/LWL online編集部
イタリアを代表するラグジュアリーファニチャーブランド「FLEXFORM(フレックスフォルム)」が、2026コレクションの新作家具を発表した。2026年ミラノ・デザインウィークで披露された新コンセプトは、「The Private Lives of Objects」。家具を単なる所有物やインテリアの構成要素としてではなく、人とともに時を重ね、記憶や愛着を育んでいく存在として捉える、FLEXFORMの思想を象徴するものだ。
住まいの中で日々触れ、使い、そこに身を預ける家具は、家族との団らんや友人との語らい、人生の節目となる時間を静かに見守っている。そうした時間の積層が、家具を「その家の風景」へと育て、暮らしに寄り添うかけがえのない存在へと変わっていく。今回のコレクションは、まさにその豊かな関係性に光を当てたものと言える。
1959年創業。静謐なエレガンスを体現するFLEXFORM
FLEXFORMは1959年に創業したイタリアのラグジュアリーファニチャーブランド。
イタリアの豊かな職人文化を背景に、世代を超えて受け継がれるクラフツマンシップと、時代を超越するタイムレスなデザインを融合させてきた。
その魅力は、決して声高に主張する華美さではない。上質な素材、精緻なディテール、身体を深く受け止める快適性、そして、空間全体に静かな品格をもたらすプロポーション。FLEXFORMの家具は、住まいの中で強い個性を放ちながらも、暮らす人の時間を妨げない。むしろ、建築、光、素材、生活の所作と穏やかに響き合いながら、空間に深い落ち着きを与える。
ラグジュアリーとは単に高価であることではなく、時間を重ねても古びず、暮らしの中で少しずつ意味を増していくことでもある。FLEXFORMの家具には、そうした成熟したラグジュアリーの在り方が宿っている。


アントニオ・チッテリオとFLEXFORM、50年以上にわたる協働
今回の2026コレクションには、アントニオ・チッテリオをはじめ、モニカ・アルマーニ、柴田文江、パトリック・ノルゲ、セバスチャン・ヘルクナーら、国際的に活躍するデザイナーが参加している。
なかでもアントニオ・チッテリオは、FLEXFORMを語る上で欠かせない存在である。
イタリアを代表する建築家・デザイナーであり、ADIコンパッソ・ドーロ賞をはじめ、多くの受賞歴を持つチッテリオは、FLEXFORMと50年以上にわたって協働し、ブランドを象徴する数々のプロダクトを手がけてきた。
彼が今回のコンセプトについて語る言葉は、FLEXFORMの家具観そのものを示している。チッテリオは、「ものが本当の意味で「プライベート」な存在になるのは、ともにあり続けるときです」と語る。住まいが変わっても使い続けられ、張り地を変え長く寄り添い、レザーは使う人の身体や所作に馴染んでいく。家具は、単に新しく美しいものではなく、ともに生き、時を重ね、未来へ受け継がれていく存在なのだ。
この思想は、LWL onlineが重視してきた「住まいと時間」「暮らしの質」「長く愛せるもの」という視点とも深く重なる。最先端の住宅設備やスマートホームが日々進化する一方で、住まいの中心には、身体を預け、記憶を受け止める家具がある。FLEXFORMの新作は、その本質を静かに、しかし確かに提示している。

2026コレクションを象徴するソファ「QUINCY」
チッテリオが手がけた新作ソファ「QUINCY(クインシー)」は、2026コレクションを象徴するモデルである。

空間の主役となるよう構想されたQUINCYは、直線的な構成から離れ、有機的なフォルムによってリビングに新たな個性をもたらす。しなやかな曲線と穏やかな直線が交差し、丸みを帯びたコーナーが包容力のあるシルエットを描き出す。その佇まいは彫刻的でありながらも、決して硬質ではない。むしろ、リビングに人を引き寄せ、自然とくつろぎや会話を生むような温かい柔らかさを備えている。
一体成形構造による継ぎ目のないシェルが目を引く。このシェルが、グースダウンをたっぷりと用いたシートクッションを包み込み、深い快適性と包容感をもたらす。豊富なモジュール構成により、シェーズロングを含む自由度の高いレイアウトが可能であり、フォーマルなインテリアからリラックスした住空間まで幅広く対応する。
ファブリックやレザーの選択によって、住まい手の感性に合わせたパーソナライズが可能である点も、まさにFLEXFORMらしい。QUINCYは、単に座るための家具ではなく、暮らしの中心に置かれる「時間を包み込む器」としてデザインされている。
柴田文江による「SORETO」。日常の所作に寄り添うアクセサリー
日本を代表するプロダクトデザイナー、柴田文江が手がけた「SORETO(ソレト)」は、日本語の「それと(And also…)」に由来するアクセサリーコレクション。ミラーとバレットスタンドで構成され、しなやかな曲線を描くメタルシートを上質なレザーで包み込んだデザインが特徴だ。
ミラーは空間を映し出すだけでなく、奥行きを豊かに広げる存在として機能する。バレットスタンドは衣服や小物をやさしく受け止め、エントランスからナイトエリアまで、日常の何気ない所作をエレガントに支える。
柴田は「空間に静かに溶け込み、⼈とその周囲を⾃然につなぐとき、デザインは初めて完成に近づいていると思います。」と語る。SORETOは、まさにその思想を体現するプロダクトだ。強く主張するのではなく、暮らしの中に静かに入り込み、使う人の記憶を少しずつ受け止めていく。そこに、日本的な余白の感覚とFLEXFORMの静謐なエレガンスが響き合っている。


インドアからアウトドアへ。住まいの内外をつなぐコレクション
2026コレクションでは、インドアだけでなくアウトドアコレクションも充実している。
インドアコレクションでは、QUINCY、SORETOに加え、パトリック・ノルゲによる収納コレクション「LOUISE(ルイーズ)」、セバスチャン・ヘルクナーによるテーブル「TARA(タラ)」なども展開する。レザー、ガラス、コンクリートといった素材を用いながら、異なる質感の対話によって、住まいに静かな奥行きをもたらす。



一方、アウトドアコレクションでは、モニカ・アルマーニによる「MARGHERÌ(マルゲリ)」と「BOUTÉ(ブテ)」が登場する。MARGHERÌは、19世紀末ヨーロッパのベル・エポックに着想を得たソファおよびダイニングチェアのコレクション。光と影の間でゆったりと時間が流れる庭園の美意識を、現代のアウトドアリビングへと翻訳している。

BOUTÉは、オートクチュールにおける「ボタン」から着想を得たサイドテーブル。小さな存在でありながら空間の印象を決定づけるディテールとして、ロープで覆われたベースとセラミックトップのコントラストが、屋外空間に心地よいリズムを生み出す。

アウトドア空間は、建築と風景のあわいにある。守られながらも開かれ、自然と共鳴する場でもある。FLEXFORMのアウトドアコレクションは、もうひとつのリビングとしての豊かな体験をもたらしてくれる。
FLEXFORM TOKYOで新作を体感
これらの新作は、2026年7月3日にグランドオープンする「FLEXFORM TOKYO」にて見ることができる。所在地は東京都港区南青山5-3-20 ブルーサンクポイントB棟。表参道駅A5出口から徒歩約4分という立地で、営業時間は11時から19時、定休日は水曜日となっている。
住まいにおける家具の価値は、購入した瞬間に完結するものではない。むしろ、そこから人とともに時間を重ね、暮らしの記憶を受け止めながら、少しずつ深まっていく。
FLEXFORMの2026コレクション「The Private Lives of Objects」は、家具を「もの」としてではなく、人生に寄り添う存在として見つめ直すコレクションである。上質な素材、穏やかなフォルム、そしてタイムレスな美しさ。そのすべてが、これからのラグジュアリーな住まいに必要な、静かで豊かな時間を教えてくれる。
FLEXFORM TOKYO 店舗概要
- 所在地:〒107-0062 東京都港区南青山5-3-20 ブルーサンクポイント B棟
- オープン日:2026年7月3日(金)
- 営業時間:11:00〜19:00
- 定休日:水曜日(祝日を除く)
- アクセス:東京メトロ「表参道駅」A5出口より徒歩約4分
- TEL:03-6418-5590
- FLEXFORM TOKYOは、南青山・表参道エリアに位置する新たなブランド拠点。2026コレクションの世界観を、実際の空間構成や素材感、家具同士の響き合いを通して体感できるショールームとなる。新作の一部アウトドアコレクションについては、今後展示を予定している。
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LWL online 編集部