【AIスマートホーム/ホームオートメーション特集】6月海外スマートホーム月報

 取材/LWL online編集部

2026年6月の海外スマートホーム動向では、個別デバイスや新プロトコル以上に、住宅や空間そのものをどう制御し、設計し、長期運用するかという視点が目立った。象徴的だったのが、米ラスベガスで開催された「InfoComm 2026」である。プロAV、照明、制御、AI、没入型体験が接近するなか、スマートホームはもはや家電を操作する仕組みではなく、住空間全体を統合するインフラへと変わりつつある。Google HomeのAI化、Eufy S4のローカルAIカメラ、そしてAIスマートホーム研究の進展から、その現在地を読み解く。

InfoComm 2026に見る、住宅インフラ化するスマートホームの現在地

2026年6月の海外スマートホーム動向を振り返ると、個々のデバイスやプロトコルではなく、空間そのものをどう制御し、どう設計し、どう長期運用するかというレイヤーをめぐる動きが顕著だった。

その流れを象徴したのが、米ラスベガスで開催された業務用AV機器の世界最大級の展示会「InfoComm 2026」である。InfoCommは本来、住宅向けスマートホーム専門展示会ではない。しかし、照明、音響、映像、制御、コラボレーション、AI、デジタルサイネージ、没入型体験といった領域が一堂に会するこの展示会は、いまや高級住宅におけるスマートホームの未来を考えるうえで、見逃せない存在になっている。

LWL onlineで継続的に取り上げている建築統合型スマートホームは、IoTガジェット型スマートホームとは異なる。照明、空調、シェード、セキュリティ、AV、ネットワーク、エネルギーマネジメントを統合し、空間の体験価値そのものを高めるための住宅インフラである。

今月はInfoComm 2026を起点に、Google HomeのAI化、AnkerのローカルAIセキュリティ、そしてAIスマートホーム研究の進展までを整理したい。

InfoComm 2026が示した、プロAVとスマートホームの接近

業務用AVの展示会から、空間統合のプラットフォームへ

InfoComm 2026は、2026年6月13日から19日まで教育プログラム、6月17日から19日まで展示会を、米ネバダ州ラスベガス・コンベンションセンターで開催された。InfoComm公式サイトによれば、同展示会には94カ国から28,132名の認証来場者が集まり、総登録者数は35,707名。来場者の20%が米国外から、37%がエンドユーザーだったという。

出展社数は807社、展示面積は395,500平方フィートに達し、最新のオーディオビジュアル技術、コラボレーションツール、デジタルサイネージ、放送ソリューション、AI駆動型システム、ワークプレイスイノベーション、没入型体験などが紹介された。

InfoCommはもともと業務用AV機器の展示会として知られてきた。しかし、今回の公式発表から読み取れるのは、もはや「業務用AV機器」の枠に閉じない広がりである。

InfoComm公式サイトは、同展示会を「音、映像、照明、制御、コラボレーション技術がどのように連携するか」に焦点を当てた場として説明している。また、スマートなワークスペースやプレイスペースを設計・構築するための技術として、没入型オーディオ、インテリジェントディスプレイ、AI駆動制御などを挙げている。

複数のモニターと操作卓が並ぶプロAV制御室
InfoComm 2026では、AV、照明、制御、AIを横断する空間統合の動きが大きなテーマとなった。写真はプロAV制御室のイメージ
Image:Zamrznuti tonovi /Shutterstock.com

ラグジュアリー邸宅に重なる「integrated experience」

ラグジュアリー邸宅の文脈に引き寄せると、この説明は非常に示唆的だ。

ハイエンドな住空間において、AVという存在はもはやホームシアターやハイファイオーディオだけの話ではない。リビング、シアタールーム、ダイニング、書斎、寝室、屋外テラス、プールサイド、別荘のラウンジ空間まで含め、音響、映像、照明、遮光、空調、セキュリティが一体となって、空間体験を構成する。

つまり、InfoCommで語られている「integrated experience」は、そのままラグジュアリー邸宅におけるスマートホームの設計思想にもつながる。

従来のスマートホームは、家電や照明器具をアプリで操作する「デバイス中心」の発想で語られることが多かった。だが、InfoComm 2026が示したのは、デバイス単体ではなく、空間全体をどう統合するかという視点である。音は天井や壁面に埋め込まれ、映像は建築と一体化し、照明はシーンに応じて変化し、制御システムはそれらをひとつの体験として束ねる。この方向性は、LWL onlineが継続して扱ってきた「建築統合型スマートホーム」の考え方と重なる。

「InfoComm / RESIDE / Lightapalooza」が意味するもの

さらに見逃せないのが、2027年の展開である。InfoComm公式サイトは、2027年のオーランド開催に向けて「InfoComm | RESIDE | Lightapalooza」の3イベントを1つのバッジで体験できる構想を掲げている。詳細は今後の発表を待つ必要があるが、この並びは極めて象徴的だ。

InfoCommが担ってきた商業AV・プロAVの領域に、住宅インテグレーションを想起させるRESIDE、そして照明制御・照明デザインの文脈が強いLightapaloozaが接続する。つまり、ワークスペース、エンターテインメント、住宅、照明が、同じ「統合体験」の市場として再編されつつある。

住宅のスマートホーム化を考えるとき、日本では未だに「家電をスマホで操作する」というレベルで語られがちだ。しかし、海外のプロAV領域では、照明、映像、音響、制御、ネットワーク、AIを横断する空間インフラの議論が進んでいる。InfoComm 2026は、その変化を読み解くうえで、今月の重要なニュースだったといえる。

Crestronが示した「空間を運用するためのインフラ」

そのInfoComm 2026の空間インフラをめぐる議論において、象徴的な存在がCrestronである。

Crestronはご存じの方も多いと思うが、海外では高級住宅の頭脳を司るHome OSのメーカーである。

今回、住宅向けスマートホームを前面に出したというより、ワークプレイス、ホスピタリティ、大型施設、教育機関など、複雑な空間を統合的に運用するためのインフラ企業としての姿勢を鮮明にした。

特に注目すべきは、FCバルセロナの本拠地であるSpotify Camp Nouの再開発プロジェクト「Espai Barça」において、Crestronが「Official Smart Hospitality Systems」に選定されたことだ。ホスピタリティスイート、VIPエリア、プレスルーム、会議室、運営拠点などに、コンテンツ、コラボレーション、制御を統合する基盤を導入し、試合日、イベント、会議、日常運用の間で空間を柔軟に切り替える。これはスタジアムの事例でありながら、高級住宅、別荘、ホテルレジデンス、クラブハウスにも通じる発想である。

また、InfoComm 2026では、AI対応の会議室用コア「Collab Compute」、AIによってカメラやマイクの配置設定を支援する「AutoMeasure」、AV、照明、HVAC、シェードなどの制御を担う「80 Series Touch Screens」なども紹介された。ここで注目したいのは、AIが単にユーザーの音声指示を受けるためのものではなく、設計、施工、調整、保守、運用の精度を高めるために使われている点だ。

スマートホームを住宅インフラとして捉えるなら、この視点はきわめて重要である。これからの住空間に求められるのは、アプリで個別機器を操作することではなく、空間全体をどのように標準化し、誰が、どこから、どの権限で、長期的に運用できるかである。Crestronの展示は、プロAVの世界で進む空間制御の思想が、やがて建築統合型スマートホームにも波及していくことを示していた。

Google Homeの進化。AIカメラは住宅の「状態」ではなく「意味」を読み始めた

Geminiがカメラ映像をオートメーションのトリガーに変える

InfoCommが空間統合の大きな流れを示した一方で、コンシューマー向けスマートホームでもAI化は着実に進んでいる。その中心にあるのがGoogle Homeだ。

The Vergeは2026年5月28日付で、Google HomeがGeminiを活用し、セキュリティカメラの映像をトリガーにしたオートメーション機能を展開し始めたと報じている。

なお、The Vergeは、米Vox Mediaが運営するテクノロジー系メディアで、スマートホーム、AI、プラットフォーム、デジタルデバイス領域の動向を幅広く扱う媒体である。

対象はNestカメラおよび一部の「Gemini Built-In」対応カメラで、ユーザーは自然言語で「何が起きたら、何を実行するか」を指定できる。たとえば、ゴミ箱の近くにアライグマが現れたら屋外照明を点灯する、荷物が玄関前に置かれたら通知する、特定の車がドライブウェイに入ったら室内のブラインドや空調を動かす、といった使い方が想定されているという。

Google Homeの新機能は、スマートホームにおけるセンサーの意味を変える動きだ。従来のセンサーは、人感、開閉、温度、照度、CO2、漏水といった「状態」を検知するものだった。しかし、Geminiを組み合わせたGoogle Homeのカメラは、映像内で起きている出来事を「意味」として解釈し、その意味をオートメーションの条件に変換しようとしている。スマートホームが「センサー反応型」から「文脈理解型」へ向かう兆しと見るべきだ。

AIによる顔認識や映像解析を示すスマートカメラのイメージ
Google HomeやEufy S4の動きに見られるように、カメラは単なる録画装置から、住宅内外の出来事を理解するセンサーへと変わり始めている
Image:NMStudio789 /Shutterstock.com

「誰が、どこで、何をしているか」を住宅が理解する

さらにThe Vergeは2026年6月23日付で、Google HomeのFamiliar Faces機能が、顔だけでなく体格や服の色といった非生体情報も補助的に用いて、家族や知人の認識を改善すると報じている。また、犬の鳴き声、アラーム、足音といった音もAI生成のイベント説明に反映されるようになるという。Nest Thermostatについては、HVACの異常を通知するSystem Health alertsも追加される。

この動きは、スマートホームが「何かが動いた」「誰かがいた」という段階から、「誰が、どこで、何をしている可能性があるか」を把握する方向へ進んでいることを示す。高級住宅や別荘の文脈で考えれば、防犯だけでなく、不在時管理、来客対応、管理会社連携、家族ごとのシーン制御にも関係してくる。たとえば、家族の帰宅、清掃スタッフの入室、管理会社の巡回、宅配、庭への侵入、車庫の開閉といった出来事を、単なるカメラ映像ではなく、住宅側が理解すべきイベントとして扱うことができるようになる。

一方で、注意点も明確だ。The Vergeの報道によれば、Googleはこのカメラ連動オートメーションについて、即時性が必要な警報や防犯・安全用途には適さないとも説明している。映像をAIが処理するには一定の時間が必要であり、誤認識の可能性もある。つまり、AIカメラは便利な自動化の入口にはなるが、生命・財産に関わるセキュリティシステムの中核として過信すべきではない。

Eufy S4が示す、ローカルAIとNVRというもうひとつの方向性

この文脈で、今年3月にLWL onlineで取り上げたAnker/Eufyの動きにも再度言及しておきたい。LWL onlineの2026年3月27日掲載記事「AIカメラとは何か? Eufy S4が示す『理解するカメラ』とスマートホームの未来」では、Eufy S4シリーズを、AIカメラが「空間」を理解し始めた事例として紹介した。

同記事で注目したのは、ネットワークビデオレコーダー「Eufy Network Video Recorder S4」を中核に、複数のPoEカメラを接続し、NVR側で一元管理する構造である。映像をクラウドに送って解析するのではなく、ローカルAIが人物や行動、車両の属性を解析し、「赤い服の人物」「特定の車両」「動き」といった条件で過去映像を検索できる。ここで起きているのは、カメラが単なる撮影・録画装置から、空間の出来事を意味として構造化する装置へ変わりつつあるという変化だ。

Google HomeがGeminiを通じて、カメラ映像をもとに自然言語のオートメーションへ接続しようとしているのに対し、Eufy S4シリーズは、ローカルAIとNVRを軸に、住宅内で映像を解析・検索する方向性を示している。両者のアプローチは異なる。Google HomeはクラウドAIを含む大規模エコシステムとして、住まいの文脈理解を進める。一方、Eufy S4シリーズは、ローカル処理と複数カメラの統合によって、住宅や敷地内の出来事を「意味」として把握する方向へ進んでいる。

Eufy Network Video Recorder S4 with local storage
Eufy Network Video Recorder S4。複数カメラの映像を統合し、ローカルAIで解析・検索を可能にする中枢装置

カメラ単体ではなく、設計と運用まで含めて考える

もちろん、これだけで建築統合型スマートホームが完成するわけではない。ラグジュアリー邸宅や別荘で求められるのは、カメラだけではなく、VLANを含めたネットワーク設計、録画データの管理、アクセス権限、管理会社との連携、警備システムとの接続、そして誤認識時の責任分界まで含めた設計である。

ただし、カメラが「見る装置」から「理解するセンサー」へ変わり始めていることは間違いない。AIスマートホームの入口は「音声アシスタント」だけではない。空間を知覚するカメラもまた、住宅が「状況を理解する環境」へ近づくための重要な要素になりつつある。

AIスマートホーム研究が示す、LLMだけでは家は賢くならない

研究分野が示す、AIスマートホームの限界と可能性

今月のスマートホーム/ホームオートメーション関連で、実は最も本質的な論点は、AIスマートホーム研究が示している。

ここからは少し研究寄りの話になるが、AIスマートホームの本質を考えるうえで重要な論点である。

Google Homeのように、自然言語で住宅を制御する動きが広がる一方で、研究分野では「LLM(大規模言語モデル)に指示すれば家が動く」という単純な未来像の限界が見え始めている。住宅はデバイスの集合体ではない。部屋ごとの用途、家族構成、季節、時間帯、在宅・不在、来客、管理会社の立ち入り、セキュリティ、エネルギー制御など、多数の条件が重なり合う複雑な環境である。

「幸福な家庭はどれも似ているが、不幸な家庭はそれぞれに不幸なものである」という有名な一文があるが、そもそも幸福だろうと不幸だろうと、家庭のかたちは一様ではない。そういう複雑な環境のもとでは、単発の音声コマンドに反応するだけでは不十分なのだ。

スマートホームの設計や運用をデジタル画面で確認するイメージ
高級住宅や別荘のスマートホームでは、機器単体の性能だけでなく、ネットワーク設計、権限管理、保守、管理会社との連携まで含めた運用設計が重要になる
Image:SOMKID THONGDEE /Shutterstock.com

SMH-Bench:複雑な住宅ほど、LLMの弱点は顕在化する

2026年6月1日にarXivで公開された「SMH-Bench」は、スマートホーム環境におけるLLM(大規模言語モデル)エージェントの推論と行動を評価するためのベンチマークである。同論文は、1,100のタスク、7カテゴリー、22の細分類を用意し、小規模な住戸から最大135台のデバイスを持つ複雑な住宅環境までを対象にしている。

その結果、最先端のLLMは明示的な制御や問い合わせには強い一方、オートメーションのスケジューリング、曖昧な指示の処理、個人化された推論には弱さが残ると指摘している。しかも住宅が複雑になればなるほど、その弱点は顕在化する。

これは現実の住宅にもそのまま当てはまる。リビングの照明を点ける、エアコンの温度を下げる、ブラインドを閉めるといった単純操作であれば、LLMは高い精度で応答できるだろう。しかし、高級住宅や別荘で求められるのは、もっと複雑な判断である。

たとえば「来客前にいつもの状態にしておいて」という曖昧な指示を出すとしよう。そこには、照明、シェード、空調、床暖房、音響、映像、香り、セキュリティ、玄関動線、場合によっては屋外照明や水盤、暖炉、サウナまでが関わる。そもそも「いつもの状態」とは誰にとってのいつもの状態なのか。それは昼なのか、夜なのか。季節はいつなのか。親しい来客なのか、フォーマルなゲストを迎えるのか等々。こうした文脈を扱えなければ、AIスマートホームは単なる音声操作の延長にとどまる。

SHACR:オートメーションが増えるほど、ルール衝突が起きる

2026年6月21日にarXivで公開された「SHACR」も示唆的だ。同研究は、スマートホームのオートメーションルールが増えるほど、複数のルールが衝突し、安全性、エネルギー効率、プライバシーに悪影響を与える可能性があると指摘する。

たとえば、あるルールは窓を開け、別のルールは空調を強め、さらに別のルールは湿度を下げようとする。単体では正しく見えるルールも、同時に動けば矛盾を起こす。SHACRは、デバイス、機能、物理状態、TCAルールを知識グラフとして記述し、LLMの推論をその構造化された知識に接続することで、ルール衝突の検出と修復を目指している。論文によれば、70戸のスマートビルディングに導入された203ルールを対象に評価した結果、知識グラフを導入することで分類エラーが36.7%低下し、F1スコアも改善したという。

この研究が重要なのは、AIスマートホームに必要なのは、より大きなLLMだけではないと示している点だ。住宅を制御するAIには、空間、設備、機器、家族構成、生活習慣、権限、物理的な因果関係、優先順位、安全制約を記述する「住宅の知識モデル」が必要になる。単に「賢いAI」を載せればよいのではなく、AIが参照できる構造化された住宅情報がなければ、信頼できる自動化は成立しないのだ。

PEC-HomeHomeFlow:曖昧な会話と安全な訓練環境

2026年6月17日にarXivで公開された「PEC-Home」は、さらに日常的な課題を扱っている。人間の会話では、共有文脈が増えるほど発話は省略される。「それも消して」「いつものにして」「さっきの部屋もお願い」といった省略表現は、家庭内では自然に使われる。人間同士の会話であれば、こうした曖昧さがあっても、言語以外の文脈から理解できる可能性がある。特に家族間であれば、「いつものとおりでよろしく」といった言葉から意味を取り出せるだろう。

しかし、スマートホームアシスタントにとっては、参照先や意図の曖昧さが大きな問題になる。同論文は、会話履歴を使ったとしても、完全な指示に比べて実行精度が下がると指摘している。 また、2026年5月31日に公開された「HomeFlow」は、スマートホームエージェントを訓練するための検証可能なシミュレーション環境とデータ生成の仕組みを提案している。現実の住まいでAIエージェントを直接試行錯誤させることは危険であり、失敗時のコストも大きい。だからこそ、住宅環境をシミュレーションし、成功条件を定義し、複数ターンの行動を検証しながら学習する仕組みが必要になる。

Home OSに必要なのは住宅の知識モデルである

さて、こうした研究から見えてくるのは、AIスマートホームの中核が、音声認識やチャットUIではないということだ。住宅を構造化された環境として記述し、AIがその中で安全に、説明可能に、再現性を持って判断できるかどうかが重要になってくる。

高級住宅におけるHome OSとは、まさにそのための基盤でなければならない。単に家電を束ねるアプリではなく、空間、設備、シーン、権限、履歴、優先順位、安全制約を管理する住宅の制御基盤である。勘違いされがちだが、AIが住宅に入るということは、住宅が「話せる」ようになることではなく、住宅が自らの構造と状態を記述できるようになることなのである。

AIが照明や空調、セキュリティなど住宅設備を統合するイメージ
AIスマートホームの本質は、音声で家電を操作することではない。住宅の空間、設備、権限、履歴、安全制約をどう記述し、制御するかが問われている
Image:Marko Aliaksandr /Shutterstock.com

今月の結論:スマートホームは、製品から設計・制御・運用へ

空間体験は、AV・照明・制御・AIの統合へ向かう

2026年6月の海外スマートホーム動向を俯瞰すると、いくつかの流れが明確になる。

第一に、InfoComm 2026が示したように、スマートホームの周辺領域では、照明、音響、映像、制御、AI、没入型体験が統合された「空間体験」へ重心が移っている。2027年に「InfoComm | RESIDE | Lightapalooza」が同時展開されるという構想は、商業AV、住宅インテグレーション、照明制御が同じ市場文脈で語られ始めていることを示す。

カメラとセンサーは状態検知から意味理解へ

第二に、Google HomeやEufy S4の動きが示すように、カメラやセンサーは、単なる状態検知から意味理解へ進みつつある。映像や音から出来事を読み取り、住宅のオートメーションにつなげる流れは確実に進むだろう。ただし、それはクラウド依存、ローカル処理、プライバシー、誤認識、責任分界という論点と切り離せない。ここは、スマートホーム/ホームオートメーションをめぐる議論の中核となるはずだ。

AIスマートホームの本質は、住宅をどう記述するかにある

そして、AIスマートホーム研究が示すように、LLMを搭載すれば住宅が自動的に賢くなるわけではない。住宅には、空間、設備、家族、行動、権限、物理的制約を記述する知識モデルが必要になる。AIスマートホームの未来は、チャットボットが家電を操作することではなく、住宅そのものが文脈を持ち、矛盾を避け、安全に判断できる制御基盤を備えることにある。

スマートホームの主戦場は、いまや製品から設計へ、デバイスからインフラへ、そして操作から運用へと移りつつある。今月の海外動向は、その変化をはっきりと示していた。

主な引用元・参考資料

高級住宅を背景にスマートホームの制御アイコンが表示されたイメージ
スマートホームは、家電を操作する仕組みから、照明、空調、セキュリティ、AVを統合する住宅インフラへと進化しつつある
Image:MR.AUKID PHUMSIRICHAT /Shutterstock.com

  • 取材

    LWL online 編集部

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