GERVASONI銀座で新作発表会。CEOミケーレが語る、サローネ2026と「背景のあるデザイン」

fy7d(エフワイセブンディー)代表/遠藤義人 

東京・銀座のGERVASONI銀座にて、「ミラノサローネ2026報告/新作紹介」が開催された。会場には、60歳を迎えるGERVASONI CEOのミケーレ・ジェルバゾーニ氏も駆けつけ、2026年新作コレクションの背景やブランドの今後について紹介。水性塗料による新たなカラー展開、フォーマルな佇まいを備えたClub、アートピースのような収納Tapies、そしてヴィコ・マジストレッティによるR513の復刻など、ジェルバゾーニがいま描くラグジュアリーな住空間の現在地が示された。

AKASEグループとしてミラノサローネを総括

冒頭、AKASE(アカセ)グループOverseas事業部課長中川悠太が、ジェルバゾーニ製品に限らず、64回目を迎えたミラノサローネ2026全体の方向性についてリポートした。

彼が今年とくに感じたのは、ミラノサローネが家具だけの場ではなくファッションその他ラグジュアリーブランドまで巻き込んだ、ブランドの世界観を体験する場となっていたこと。単なる機能美だけではなく、人が集う場としての雰囲気や居心地といった空間表現までが展示を通じて表現されていたと総括する。

まとめると、(1)低重心・モジュール化、(2)角のないキッチン、(3)見せる収納、(4)テラコッタ系の色、アースカラー、(5)艶や反射などの素材表現、(6)価値を高める、背景のあるデザイン、が今年のトレンドだという。

ジェルバゾーニの新作収納Tapies(タピエス)を、トレンドカラーの説明に関連させて紹介。テラコッタ系の色が単なる差し色ではなく、素材感や空間の温度感を強めるために用いられていた印象だと解説する。

また、マテリアルのトレンドに関連してMedleyシリーズを紹介。

コーヒーテーブルについては、「コンパクトながらボリューム感があり、まるで素材から削り出されたような存在感があります。表面にはテクスチャーやエッチングのような処理が施されており、光を受けたときに、ただ滑らかに反射するのではなく、素材の凹凸や表情が浮かび上がるように見えました」と解説。

ペンダント照明については、「下に向かって広がる放射状のシェードは金属でありながら重く見えず、光を柔らかく受け止めていました。同じメドレーシリーズでありながら、素材と光の関係を異なる形で表現していた点が印象的でした」と述べた。


もっとも興味深かったのは、今年初めて導入された展示カテゴリー「Raritas(ラリタス)」。工業製品としての高い完成度は、逆にブランドごとの差別化を生みにくい。むしろ、職人の手仕事や素材も含めた背景まで含めて価値として見せることで希少性を訴求する製品が並んでいたという。これは高級オーディオ機器等にも言えることだが、機能的に卓越しているのは承前、所有すること自体に悦びを見いだすだけのストーリー性がより一層求められる時代になったことを表している。

デザインとはもとより見た目のみならず機能も含めた概念だが、中川はアートに近い価値や資産性を有するデザインとしてコレクタブルデザインという考え方を引き合いに出した。ラグジュアリーとは、サステナブルやエコといったことよりも、クラフト、アーカイブ、希少性、所有価値といったものに重点が移っており、「それを空間に置くことによってどんな体験が生まれるのか、そこまで説明できることが重要なのではないか」と指摘した。

ここでVico Magistretti(ヴィコ・マジェストレッティ)が1980年代にジェルバゾーニのためにデザインしたアームチェアR513を紹介。マジェストレッティというイタリアデザインの歴史や、ジェルバゾーニが有するラタンや自然素材の感覚、それがコンテンポラリーな空間でも成立することを示すものとして復刻された。

サローネにおけるジェルバゾーニの展示

つづいて中川は、サローネでジェルバゾーニが展開した展示内容について紹介した。

大きく分けて2つの場所で展示が行われ、1つ目がSalone del Mobile(サローネ・デル・モービル)本会場のブース。

「インドア側の展示コンセプトはシリーズオブライトです。素材を通じて、光と影の関係が強く意識されていました。ブース全体が閉じすぎず、かといって全てを一度に見せるわけでもなく、奥へ奥へと誘導する抜け感が設計されていた印象です」

新作のClub(クラブ)
Samet(サメット)シリーズ。Medleyのテーブルも
張り地の限定シリーズCapsule Collection(カプセルコレクション)も
復刻チェアR513と新作ストレージTapies(タピエス)が共存

一方のアウトドア側。

「単なる屋外用の家具ではなく、インドアから自然に連続する暮らしの一部として提案していました」

ジェルバゾーニ銀座にも展示があるテーブルTORII(トリイ)
カバーリングを変えられるMEDITERRANEO(メディテラネオ)
銀座ショールームでもアウトドアの展示が増えている

もう一箇所は、市内のショップで、The Garden(ザ・ガーデン)、The Apartment(ジ・アパートメント)というコンセプト。庭とアパートメント、つまり屋外と屋内を分けずに一つの住居感として見せる展示だ。

「グリーンで統一された色違いが非常に素敵でした」(中川)
「こちらはテラコッタ系で統一。新しい水性仕上げも紹介されていました」(中川)

「部屋ごとに異なる色や感覚的な個性を持ちながら、全体としては一つの流れで繋がる展示となっており、全体としてジェルバゾーニらしい柔らかさと自然な空気感で統一されています」と中川が言うように、個々の新作家具を見せるというよりも、生活空間を横断しながらも一貫した世界観を提供するブランドであることを示す展示だったことが推察される。

CEOミケーレ・ジェルバゾーニが語る2026年新作

中川からの説明の後、満を持して登場したミケーレは自ら新製品について解説を加えた。

「サローネ会場は、私たちにとって、毎年新しいニュースをリリースする重要な場所になっています。今年は、新しい色や素材、ファブリックなど、新しい家具コレクションも発表していますが、あくまでもジェルバゾーニの世界観を表すためのものです」として、以下のように解説した。

(1)新しい素材やカラーリング

これまで木部にラッカー塗装を施してきたが、今回新たに水性塗料10色を追加した。

「水性塗料は、木の質感を感じやすいですし、木目を見ることもできます。また、ラッカー塗装に比べ環境に配慮しているという点からしても時代に合っています。この10色は全てのジェルバゾーニコレクションに共通して使える色なので、コレクションをまたいでコーディネートできるメリットがあります。ジェルバゾーニのDNAでもあるラタンのコレクションでも同じような色で展開している点が非常に重要なポイントです」

続いて、5つのファブリックを紹介。

「毎年サローネでは新しいファブリックを紹介しており、これらもその一環になります。ファブリックは250種類以上あり、アウトドアも百数十種類あります。

「また、3つの特殊なファブリックで構成されるCapsule Collection(カプセルコレクション)を提供します」

「LOLL 09(ロル09)というふんわりとした柔らかい一人掛けのアームチェアがありますが、ファッションのトレンドと同じように、今年はこのファブリックがジェルバゾーニとしての推しです」

よりフォーマルな佇まいへ。Roberto LazzeroniによるClubコレクション

今年の目玉であるClub(クラブ)コレクションは、Roberto Lazzeroni(ロベルト・ラッツェローニ)のデザイン。

「彼は、Paola Navone(パオラ・ナヴォーネ)よりも10年前にアートディレクターでした。これまでジェルバゾーニといえば、Ghost(ゴースト)コレクションやロルといったカジュアルなソファーが非常に有名ですが、それに加え、カバーを簡単に掛け替えられるのが特長でした。今年はよりフォーマルなソファとして、このクラブをリリースします。クラブは、2年ほど前に発表したサメットの流れを汲んで、カジュアルからよりフォーマルにシフトさせたものです」

特徴としては、形状記憶のウレタンフォームの採用。折り曲がったアームと背は、より快適かつデコラティブ
脚部は大きなアッシュウッドで、10色の水性塗料が選べる
バリエーションも豊富で、I型が2m10cm、2m40cm、2m80cm。L型に組むことも

「様々な色や素材を選択することによって、空間によって全く違う雰囲気を醸し出します。ファブリック次第で、非常にクラシックな空間でも現代的な空間でもマッチします」

同じクラブコレクションで、ダイニングチェアとダイニングテーブルも発表

新たなアイコンとなるか。アートピースのような収納Tapies

続いて、新しいサイドボード・収納、Tapies(タピエス)を紹介し、「これはジェルバゾーニにとって特徴的なアイテムになると思います」とアピールした。

4種類の角張ったモジュールの表面には、まるで手作りの陶器のような独特のフィニッシュが施されている。MDFの構造体にコンクリート塗装、表面には縦に溝を切ってある。

5色から選べるが、Clayといった色が用意されるとおり、素材感、クラフト感に溢れており、まさにアート感覚の家具であるという点で非常にジェルバゾーニらしい製品だ。

ガラスのハンドルも美しい

人気デザイナーを起用したJornテーブル

つづいて、Jorn(ヨル)テーブルを紹介した。デザインは、サメットソファをデザインしたFederica Biasi(フェデリカ・ビアジ)。

「非常に人気の高いデザイナーの作です。このテーブルの特徴は、一見長方形の普通のテーブルでありながら、脚が天板に対して斜めになっており、各断面のディテールにも凝っている点にあります」

テーブルや照明の新作Medley

そのほか、アルミニウムダイキャストを研磨したコーヒーテーブルMedley40(メドレー40)やサイドテーブルMedley42(メドレー42)なども紹介された。マットなアルミニウムとゴールドから選べる。

新作照明としては、売れ筋のBrass(ブラス)の流れを汲むようなMedley95やMedley96を紹介。金属のスチールのワイヤー手作業で編み込み、メッキを施している。

ヴィコ・マジストレッティのR513が、現代の空間に蘇る

最後に、今回来場者を最も驚かせたに違いない、新しいR513コレクションを紹介した。前述したとおりパオラ・ナヴォーネ以前の1995年頃までジェルバゾーニのラタン家具を中心に担っていたヴィコ・マジストレッティによるデザイン。80年代の製品でもコンテンポラリーな空間にフィットすることを示そうという意欲作だ。

このように、ジェルバゾーニは今年のサローネでも自らのDNAの流れを汲んで、木だけでなくラタンからコンクリート、ガラスやアルミニウムに至るまでの異素材を駆使し、水性のステインという新たな武器を加えつついっそう洗練された世界観を見せた。ショールームで現物を目にする日を待ちたい。

GERVASONI銀座 店舗概要

GERVASONI銀座
東京都中央区銀座5-9-15 銀座清月堂ビル B2F
営業時間:11:00 – 18:00(予約制)
定休日:木曜日(年末年始・他臨時休業有り)

公式サイト

  • fy7d(エフワイセブンディー)代表

    遠藤義人

    ホームシアターのある暮らしをコンサルティングするfy7d(エフワイセブンディー)代表。ホームシアター専門誌「ホームシアター/Foyer(ホワイエ)」の編集長を経て独立、住宅・インテリアとの調和も考えたオーディオビジュアル記事の編集・執筆のほか、システムプランニングも行う。「LINN the learning journey to make better sound.」(編集、ステレオサウンド)、「聞いて聞いて!音と耳のはなし」(共著、福音館書店。読書感想文全国コンクール課題図書、福祉文化財推薦作品)など。

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