KAMIYA、漆のフルハイトドア「URÜSIA」を発売。京都の職人技と南部鉄を融合
取材/LWL online編集部
室内ドアブランド「フルハイトドア®」を展開するKAMIYAは、京都の職人が本漆を塗り重ねて仕上げる室内ドア「URÜSIA(ウレシア)」を、2026年8月1日に発売する。価格は221万円から(税別)。
天然木の突板に伝統的な漆塗りを施し、盛岡産の南部鉄を削り出したハンドルを組み合わせた。日本各地で受け継がれてきた素材と職人技を、天井まで届く現代的なフルハイトドア®のデザインに融合。ラグジュアリー住宅に向け、室内ドアを単なる建具ではなく、空間を象徴する工芸的なインテリアエレメントとして提案する。
室内ドアを空間デザインの主役へ。KAMIYAのフルハイトドア®
KAMIYAは、室内ドアの開発・製造を専門とする日本のドアブランドである。同社を代表する「フルハイトドア®」は、2005年に開発・販売を開始した。
一般的なハイドアが背の高い室内ドアの総称であるのに対し、フルハイトドア®は、天井まで届く高さと、上枠を設けない独自の納まりを特徴とする。ドアを開けた際にも天井面が途切れず、隣接する空間が連続して見えることで、室内に開放感をもたらす。
枠やヒンジの存在を抑え、閉じたときにはドアを壁と一体化して見せる「壁面化」の考え方も、同ブランドを象徴するものだ。標準の扉厚には40mmを採用し、見た目のミニマルさだけでなく、開閉時の重厚感や上質な触感も追求している。
KAMIYAは室内ドアを部屋と部屋を仕切るためだけの設備ではなく、住空間全体の印象や質を左右する建築要素として捉えてきた。URÜSIAは、そうしたフルハイトドア®の建築的なデザインに、日本の伝統素材と職人技を重ねた新たなラグジュアリーモデルとなる。
世界から再評価される「漆」を現代の住空間へ
URÜSIAの開発にあたり、KAMIYAが着目したのが日本の伝統素材である漆である。
漆は、独特の深い艶と透明感を持つ天然素材である。硬く耐久性に優れた塗膜を形成することから、漆器だけでなく、古くから寺社仏閣の柱や建具にも用いられてきた。
近年では、日本の伝統工芸という枠を超え、海外のラグジュアリーブランドが時計や装飾品などに漆を取り入れる例も見られる。天然素材ならではの希少性や、幾重にも塗り重ねることで生まれる艶やかで奥行きのある表情が、世界の富裕層からも注目される素材だ。
KAMIYAはこれまでにも、格子組や金沢産の金箔など、日本各地で継承されてきた素材や技術を取り入れた室内ドアを開発してきた。URÜSIAでは、漆を伝統工芸品の表面装飾として用いるだけでなく、現代住宅を構成する大型の建築部材へと展開する。
古来、寺社仏閣の建具にも使われてきた漆を、現代的なフルハイトドア®に採用することで、日本の伝統と現代建築をつなぐ新しいドアデザインを目指した。
15回を超える手仕事で、天然木の木目を浮かび上がらせる
URÜSIAの木目仕上げには、透明な漆を塗り重ねる伝統的な技法「木地呂塗り」が採用されている。
木地呂塗りは、顔料で木目を覆うのではなく、透明度のある漆の層を重ねることで、下地となる天然木の木目や質感を浮かび上がらせる技法だ。漆の深い艶の奥に木の表情が透けて見え、見る角度や光の当たり方によって、その奥行きや色彩が繊細に変化する。
漆塗りを担当するのは、寺社仏閣の補修にも携わる京都の職人。ドア一枚ごとに手作業で漆を塗り重ね、その塗装回数は15回を超えるという。

漆は、温度や湿度によって硬化の状態が変化する。表面を均一に整えながら、透明感と深い艶を引き出すには、素材の状態を見極める職人の経験が欠かせない。
一般的な工業塗装の室内ドアとは異なり、一枚を完成させるまでに長い時間と複数の工程を必要とする。手仕事によるわずかな表情の違いも含めて、一枚ごとに固有の個性を持つドアに仕上げられる。
フルハイトドアと漆が生み出す、壁面としての存在感
漆塗りというと、器や箱、家具など、比較的小さな工芸品を思い浮かべることが多い。しかしURÜSIAでは、最大で高さ3,000mm、幅1,100mmに達するフルハイトドア®の全面に漆の表情が広がる。
天井近くまで届く大きな一枚の面に漆を施すことで、その艶や天然木の木目は、空間全体の印象を左右する存在となる。
フルハイトドア®は、枠の存在を抑え、壁面と一体化するミニマルなデザインを基本としている。そこに漆の深みが加わることで、壁に溶け込ませるだけでなく、ドアそのものを空間のフォーカルポイントとして見せることも可能になる。
製品カラーは赤と黒の2色。それぞれに、色彩を全面に見せる単色仕上げと、天然突板の木目を活かした仕上げが用意される。
漆の赤は、伝統的な朱漆を想起させながら、現代的な住宅空間に強いアクセントを与える。一方の黒は、深い艶と光の反射によって、静謐で重厚な表情をつくり出す。
邸宅のエントランスやリビング、書斎、プライベートラウンジをはじめ、別荘やヴィラ、ホテルライクな住宅など、建築スケールの大きな空間で存在感を発揮しそうだ。
盛岡産の南部鉄を削り出した専用ハンドル
ハンドルには、盛岡産の南部鉄を削り出して製作した専用品を採用した。
滑らかで深い艶を持つ漆に対し、南部鉄ならではの硬質で重厚な質感を組み合わせることで、異なる素材のコントラストを生み出している。

京都の漆と、盛岡の南部鉄。異なる地域で受け継がれてきた日本の素材と技術を、一枚の室内ドアにまとめたこともURÜSIAの特徴だ。
天然木、漆、鉄はいずれも、均一な樹脂や化粧シートとは異なり、素材ごとに微妙な表情の違いが生じる。完成時の美しさだけでなく、長く使うことで深まる風合いや経年変化も、製品価値の一部として捉えられている。
伝統工芸を「鑑賞するもの」から「暮らしの一部」へ
伝統工芸を未来へ継承するためには、博物館や美術館で保存するだけでなく、現代の生活の中で実際に使われる機会をつくることも重要になる。
URÜSIAは、漆を工芸品として鑑賞するのではなく、毎日触れ、開閉する室内ドアとして住空間に組み込む製品だ。日本の伝統素材と職人技を、現代の住宅建築に適合する形へと再編集した試みといえる。
価格は221万円から(税別)。一般的な室内ドアとは大きく異なる価格帯だが、工芸品、造作家具、建築部材という複数の性格を併せ持つ製品として考えれば、その位置づけは明確だ。
既製の建材から選ぶだけでは実現できない、住宅固有の物語や素材性を求めるラグジュアリー住宅市場にとって、室内ドアの新たな選択肢となるだろう。
大阪MUJINショールームで実物を展示
URÜSIAは、2026年7月1日にオープンした「KAMIYA大阪MUJINショールーム」で展示されている。
漆の艶や透明感、天然木の木目、南部鉄製ハンドルの質感は、写真だけでは把握しにくい。自然光や室内照明の方向、見る位置によって変化する表情を、実際の空間で確認できる。
室内ドアを単なる開口部ではなく、素材、技術、建築を結び付ける空間の主役として捉える。URÜSIAは、KAMIYAがフルハイトドア®を通じて追求してきた思想を、日本のクラフトマンシップによってさらに発展させた製品といえそうだ。
「URÜSIA」製品概要
- シリーズ名:URÜSIA(ウレシア)
- 発売予定日:2026年8月1日(土)
- 価格:2,210,000円~(税別)
- ドア幅:590~1,100mm
- ドア高さ:2,000~3,000mm
- カラー:赤、黒
- 仕上げ:各色に単色仕上げ、木目仕上げを用意
- 開閉方式:スイング戸
KAMIYA大阪MUJINショールーム
所在地:大阪府大阪市北区梅田3丁目4番5号 毎日インテシオビル2階
営業時間:10:00~17:00
定休日:不定休
駐車場:なし
問い合わせ先:0463-94-6203(営業課)
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